約700年の歴史をもつ福岡市の伝統工芸品「博多鋏(ばさみ)」。
その技術は国の無形民俗文化財に認定されている。そのフォルムは日本の「はさみ」の原点といわれる「X型」が特徴、その姿は美しい。地金に鋼を付け、何度もたたいては研ぎ、焼きを入れ完成、その切れ味は抜群、まるで刀のようだ。
その技術を学んだ職人・浅草研二さん(57)。交通事故で右下肢切断というハンデを負いながら障害者支援施設で介護業務に従事、二刀流で鋏を作り続けている。その浅草さんに人形師・中村弘峰さんからオファーが!「和装」に、鋏作りの技術を活かしてみないかという新商品開発の提案がやってきた。それは和装の帯に信玄袋(巾着)を引っ掛ける「フック」、鋏作りの技術を用いアルミニウムを叩いて成形し器用なカーブのフックを完成させた。
軽量だが強度は抜群!ポップアップショップ、東京の雑貨店での販売が決まった。その浅草さんの次の目標は「ユニバーサル鋏」を完成させること。3本指の鋏、バネ式鋏など老若男女、誰もが使いやすい鋏を試作中。自分にできることをやっていきたい!と、鋏作りにかける職人の技と思いを追う。
(RKB毎日放送/ 谷口 あゆみ)
取材後記
親指と人差し指にしっくりと馴染む持ち手、サクサクと爽快な切れ味。
火を入れ、叩いて、研いで・・・4日かけて完成する「博多ばさみ」。
左右対称のシャープな姿はかっこよく、使うのがもったいない!飾っておきたい!というお客様もいるそうですが、浅草さんは「雑用ばさみだから、どんどん使って」と笑顔で言います。
元々雑誌の編集者として活躍していた浅草さん、今は博多ばさみを製作しながら、介護福祉士として施設で働く二刀流の職人。
その浅草さんが作る「ユニバーサルデザインのはさみ」は性別・年齢、障害の有無に関係なく、すべての人が同じように使えるようにと「思いやりの気持ち」が込められた1本、今はまだ試作段階ですが、完成が楽しみです!
そして浅草さんの技が光る和装アイテム「Yamakagi」、その独特なカーブは帯にベルト、ベビーカーに車いす・・・と、様々な場面にぶらさがって活躍中!東京の専門店での販売も決定し、益々注目を浴びそうです。
伝統を守りながらも、挑戦を続ける浅草さんの手から、これからどんな「はさみ」が生まれるのか。まだまだ注目したいです。
RKB毎日放送 谷口あゆみ
取材先情報
● 浅研鋏製作所
博多鋏 15000円~ ※注文を受けてから製作
インスタグラム kenjiasakusa 検索
● Yamakagi 11000円
販売先 中村人形ギャラリー 傀藝堂
西村織物
● ポップアップショップ開催
「Yamaobi 2025 発表展」 6月7~8日開催(予定)
場所:博多リバレインモール ぶどうのたね
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