天草陶石(あまくさとうせき)は、熊本県天草地方で採掘される白くきめ細かな陶磁器用原料。強度が高く濁りのない白さが特徴で、江戸の「ダ・ヴィンチ」平賀源内も称賛。国内陶石生産量の約8割を占め、有田焼や波佐見焼にも使用されている。
この天草陶石の魅力を世界に発信する陶芸家が髙木健多さん(38)。素材本来の美しさを生かし、絵付けをせずに制作する作風で、代表作は本物そっくりの「豆腐」。豆腐にことわざを表現するなど遊び心ある作品や、紙が落ちる揺らぎを表現した「かみざら」など独創的な作品を手がける。
そんな髙木さんは天草陶石の課題に新たな商品開発を行っている。天草陶石には等級がある。鉄など他の成分が少ないものほど等級が高く純粋な白を表現できるが採掘量は大幅に減少。有限とされるため、ほとんど取れなくなってきている。希少となる陶石だが、有田焼など有名な焼き物の引き立て役で、知名度も低い。
そのため始めたのが、等級の低い石だからこそできる新たな表現。天草陶石で碍子を製造する地元企業と粘土開発を始め、等級の低い石だからこそできる白の表現ができないかと模索。また、天草陶石の独特な紋様を活かし、石を切削して皿作りも始めた。
天草陶石の魅力を世界へ。ニューヨーク、ロサンゼルスなどを舞台に、魅力と情熱を発信する陶芸家の挑戦を追った。
会社・学校名など: 天草陶石 陶芸家(個人)
担当者:髙木 健多さん
住所: 熊本県合志市須屋
HP:https://www.kenta-takaki.com/
取材後記
今回のテーマは、「ものの見方」にあるように思います。
天草陶石で作った磁器「真っ白でなければいけない」「白いものは素晴らしい」伝統的な考えは尊重しつつも、石それぞれが持つものを「個性」と捉え、その個性でしか出せない「新たな白も良いよね」という見方。それは、ほんのちょっとした視点、考え方の違い。素材を愛する健多さんだから、見えた考えなのだと思います。
(裏話) どうやって海外に磁器を運んでいるのか?実は、自ら大きいキャリーケース四個分ほど詰め込んで持って行っています。長距離の移動。端正込めた作品は、2割ほど、割れてしまっていました。
それでも「世界中の人に好きなものを見せたい」「天草陶石を知ってほしい」と海外へ。現場で見る光景に今、手応えを感じていると髙木さんは話します。
(RKK熊本放送/山本修平)
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