24時間絶え間なくタンカーが訪れる石油備蓄基地。ここで必要不可欠なのが夜間作業に使う「大型のLEDライト」。300m離れた場所にも光を届けることができる、鹿児島で技術開発された「FGHPライト」だ。
開発したのは、鹿児島大学の水田敬 准教授(52)。20年余りにわたり、半導体を冷やす技術を研究。この「冷やす技術」が、LEDが本来持つ高い性能を引き出すことにつながった。電球や蛍光灯などの小型照明でLED化が進む一方、運動場や体育館など天丼が高く大光量が必要な施設では、LED照明を導入しても利点が少ないという課題があった。理由が「熱問題」。LED同士の隙間を狭くして密度を高くすると、熱がこもって電子部品の故障や劣化の原因となってしまうのだ。
水田さんが開発したのは、従来のLED照明に『FGHP』と呼ばれる熱伝導板を取り付けたライト。真空状態の中に水を閉じ込め、熱が発生すると気化して管内を移動する。この動きがLEDを冷やす働きとなる。特許も得たこの商品を世に広めるため、水田さんはベンチャー企業「クルーシャル・クーリング・パフォーマンス株式会社」を起業。現在、鹿児島・熊本の様々な施設で導入されている。
カーボンニュートラルの側面からも、さらなる実用化が期待される「鹿児島発のクールな技術」に注目する。
【取材先情報】
取材先:クルーシャル・クーリング・パフォーマンス株式会社
出演者:代表取締役 水田 敬
住 所:(本社)鹿児島県鹿児島市明和1丁目19番2-2号
URL:https://crucialcoolingperformance.co.jp/
取材後記
LEDに半導体が入っていることも知らずに臨んだ今回の撮影。
お先真っ暗?いえいえ、水田先生の丁寧な“授業”のおかげで、徐々に理解を深めることができ、番組の道筋も照らされました。
「明るさ=光の密度」。でも、LEDをぎっしり詰めてしまうと熱が発生してしまう...。明るさの問題が熱の問題となり、熱をどうコントロールするかが、大型LEDライトの開発や、小型電子機器の高性能化のカギになっている...という仕組みが新鮮で驚きでした。きっと、私たちが普段何気なく使っている製品の中にも、想像以上の技術とアイデアがたくさん詰まっているのでしょうね。
今後は、コンパクトで高輝度な照明など、ラインナップも増やしていく予定とのこと。クルーシャル・クーリング・パフォーマンスの これからの取り組みに注目です!
(MBC南日本放送 / 吉村 博徳)
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