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能登へ送る、小さなメッセージ|アナウンサーコラム

そのワインは、爽やかな酸味と共に、しっかりとしたうまみが静かに広がっていった。昨年末、能登を取材した際に出会った能登ワインだ。

能登半島地震から2年。私は、能登で買い物をし、地元の味を楽しむことで被災地を応援しようという1泊2日のバスツアーに同行した。「今の能登を知りたい」と参加者は関東を中心に全国各地から集まっていた。

主要な道路はつながり、復旧は着実に進んでいる。一方で、陥没したままの道路や舗装が終わっていない場所も多く、完全な復旧までは、まだまだ時間が必要だと感じた。それでも「何としてでも道をつなげたい」という人々の強い意志がバスの緩やかな振動と共に伝わり、胸が熱くなった。

ツアー客は道の駅を巡り、海産物を味わい、輪島塗の工房などで買い物を楽しんだ。中でも印象に残ったのが能登ワインである。地震の際には、タンクから赤ワインが流出し、熟成用のたるも損壊するなど大きな被害を受けた。それでも「送るのはいつでもいいから、待っています」といった注文時の応援メッセージが力になったという。カキ殻を活用した土壌で育ったぶどうから生まれるワインには能登の自然と、おいしいワインを届けたいという人の思いが溶け込んでいる。遠く福岡にいても支援できることがあると改めて感じた。


1月24日(土)毎日新聞掲載

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池尻 和佳子

RKBアナウンサー

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出身地:福岡県北九州市 誕生日:7月13日 趣味・特技 ドライブ・旅行・スキューバダイビング

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