「今どき電話してくるなんて信じられない」という若い社員もいるとか。電話を受ける。相手が不在。伝言を頼まれる。メモを書きデスクに置く、折り返し電話をかける……。「電話」は周りを巻き込み、多くの行程を発生させる「迷惑行為」だというのだ。令和のビジネスマナーでは「メールで済ませよ」とのことか。
昭和世代にとっては「話せば早い」と感じる。メールを送りその返信を待つより、1本の電話で双方が合意に至る。業務がより早く前進すると思うのだが。また声を聞くことによって相手がこちらの意向を喜んで受け入れているのか、渋々なのか、繊細なところも感じ取れる。誤解を解くにもメールより、直接対話のほうが有効だと感じる。
最近は人工知能(AI)が骨子を読み取って、感じよく失礼のないビジネス文書に校正してくれるサービスもある。個性のぶつかり合いは昔の話だろうか。その個性は顔立ちや性格だけではない。声でその人を知ることができる。元気なのか、気落ちしているのか。生活や人生は声に表れる。だからあなたの声を聞かせてほしい、と思う。肉声で話し続けなければ、将来、アナウンサーという職業も消えていくのではないか。「話すこと」が特別なことになりませんように。声を発したい、そして聞かせてほしい。そう思う日々だ。
2月28日(土)毎日新聞掲載
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