「“ねじ”を巻き直していこう!」ふと緩んでしまった気持ちを心機一転、引き締め直す際に用いられる言葉だ。ちょっとした疲れや怠けから気持ちが緩むことはたまにあっても、構造物を支える“ねじ”が緩むことは許されない。
長崎市に本社を置く濱田屋商店は“ねじ・ボルト”の製造、販売メーカー。「折れない、錆びない、緩まない」究極のボルトを追い求め、ことしで創業95年。創業者の祖父、2代目の父から会社を引き継ぎ、おととし濱田隆作社長(56)が3代目に就任した。
“ねじ”と聞けば一般的に手のひらサイズのものを思い浮かべるであろう。ところが、濱田屋商店が手掛ける製品は大きいもので直径約30㎝、長さは10m以上にも及ぶ。そして最も秀でた特徴こそ「硬くて頑丈なのに、しなやか」という点だ。十分な強度がありながら、それでいてしなやかという相反する性能を併せ持ち、振動や衝撃を受けても緩みやひずみが出にくい。船や橋、高速道路や市役所庁舎、風力発電設備など様々な場所で重宝されている。
大型船用ディーゼルエンジン主要ボルトの国内シェア率90%。風力発電設備主要ボルトの国内シェア率50%を誇る濱田屋商店。トルコに合弁会社を設立し「再生可能エネルギー産業」で世界進出をもくろむ。
取材後記
「濱田屋商店さんはレスポンスがよくて助かる」「工場で製品が足りなくなったとき、たった一つ、二つだけでもわざわざトラックで届けてくれた」「こちらの無理難題な要望にも応えてくれる信頼がありますから」
濱田屋商店のお得意様に製品(ボルト)の優れている点を尋ねると決まって、製品の品質の前に「対応のスマートさ」についての意見が挙がった。
ある日の打ち合わせ中、濱田社長がボソッと「私は小学校の卒業文集に世界にボルト工場を作りたいって書いたんですよ」とおっしゃった。私が即座に「その文集は手元にありますか?」と尋ねると「う~ん、どうかな…。40年以上も前だから…。でも探しときます」との回答が。
それから数日後、濱田社長から連絡が入った。「例の卒業文集、私の手元にはなかったんですが、当時の友人をあたって見つけだしました!」まさにスマートすぎる対応だった。
取材や打ち合わせで事務所にお邪魔した際、従業員のみなさんが自分の作業を中断し、立って挨拶をして出迎えてくださった。事務所から帰るときも自分の作業を中断し、立ってお見送りしてくださった。真っ白なボディがキュートな番犬のミーちゃんも毎回大きな鳴き声で歓迎してくれた。思いやりに溢れるとても気持ちの良い会社だった。
そんなお客様ファーストの精神で社会のニーズに応え続けた結果が、直径30㎝、長さ10m、重さ1t以上といった超巨大ボルトの生産につながっているのだと納得させられた。
船にも、橋にも、高速道路にも、長崎県庁にも、長崎市役所にも、病院にも、風力発電機にも!濱田屋商店のボルトが見えないところで巨大構造物を支えて活躍している。この番組を通してボルトに着目してくれる人が1人でも増えたら本望だ。
(NBC長崎放送/岸竜之介)
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