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家でさいごまで生きる

 医師、中野一司さん(69)のクリニックに診察室はありません。白衣も着ず、自ら車を運転して患者のもとへ向かいます。中野さんは在宅医です。在宅医療とは、高齢者や末期がんの患者が、家でさいごまでその人らしく生きる日々を支える医療です。心臓病を抱えた南竹和子さん(94)は、病院から家に戻ってかえって体調がよくなったといいます。やっぱり家がいいです、という言葉には実感がこもっています。髙島芳倫さん(51)は末期のすい臓がんで、中野さんに出会った時、余命と言われた2年を半年以上過ぎていました。在宅で中野さんから緩和ケアをうけながら完成させた絵は、美術展で大賞を受賞しました。家族は「さいごまで一緒に過ごせて幸せだった」と振り返ります。中野さんは、「死は終わりではなく、ゴールなんです。在宅でさいごまで生き切ったことはある意味、成功なんです」といいます。もうすぐ70歳になる中野さんは今、在宅医療と病院を一体化した新しい地域医療づくりにも挑戦しています。人は誰でもいつかはさいごを迎える。だからこそ今をどう生きるかが大切なのだという中野さんの言葉に、生きることの意味がうかびあがってきます。

(MBC南日本放送/李潤午)

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