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西中洲で“唐津の名店”の系譜を受け継ぐ、若き寿司職人の未来

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「鮨 ぶんぺい」を訪ねた10月某日、その夜も西中洲は独特の静けさに包まれていました。洗練や哲学を備えた良店が並ぶ、この“大人のグルメ特区”には現在約30の寿司屋があるそうです。なかでも2024年12月創業の「ぶんぺい」はもっとも若い店。最近は「進化が目覚ましい」との噂も聞こえ、訪問の機会を狙っていた一軒でした。

鮨ぶんぺい階段 鮨ぶんぺい玄関

入居先は、モダンな砦を思わせる「STAGE1西中洲」の2階。樹木が挟む雰囲気のある階段をのぼり、控えめな表札がかかった玄関へ向かいます。
さて、実はここに来たかった理由は「新しさ」だけではありません。店主・松尾文平さんの生家が唐津市の「鮨処 つく田」と聞き、大いに興味を引かれたのです。あの名店の二代目が、福岡でどんな世界観を築いているのか?──寿司愛好家には気になる存在ですよね。

鮨ぶんぺい店主

そうした期待に、まずは雅な内装が応えてくれます。茶室の心を映す簡素な美。そこにホッとする温もりを添える天然素材の壁と天井。14坪を広く見せる設計も秀逸で、何時間でもくつろげそうです。デザイン・施工を手掛けたのは数寄屋造を得意とする嘉麻市の「久衛(ひさもり)組」。木曽檜を使った一枚板のカウンターも柔らかな輝きを放っていました。

そして、この風流な空間を取り仕切るのが店主の松尾さん。落ち着いた物腰に“未来の匠”を予感させる37歳の職人で、20歳から14年間「つく田」で働き、父の松尾雄二さんにすべてを学んだと言います。
「昔は料理人になるつもりはありませんでした。でもある時、父の師匠(銀座の名店「きよ田」)を始め、多くの方の尽力やご縁で育てていただいた「つく田」の歴史を途切れさせてはならないと思ったんです」と松尾さん。「そこから僕も寿司の魅力に目覚め、職人を目指しました。挫折しそうな時もありますが、そのたびにあの時の想いに鼓舞されますね」

鮨ぶんぺい料理1 鮨ぶんぺい料理2

そんな「つく田」のDNAが息づく「おまかせコース」(25,300円)は月替わり。前半は5~6品の料理が供されますが、決して寿司の添え物ではなく、創意と手間をかけた内容で客を唸らせます。
例えば2品目の定番、島原手延べそうめんにはカラスミと香味海苔のほか、シラスの素揚げを加えた点がユニーク。香ばしさとサクサク感が倍増し、舌に美味しい爪痕を刻んでいきます。
それに続く一皿は、炭火焼きのナスをペーストにして、ボイルした毛蟹を和えたもの。調味料は一切使わず、油・薫香・素材のみで描く旨味はたおやかな余韻に満ちていました。

鮨ぶんぺい料理3

さらに、フカヒレ料理が前半最大の驚きをもたらします。扱いの難しい高級品ゆえ、寿司屋ではまず見かけない素材ですが、松尾さんは試行錯誤の末に「カツオベースの出汁で炊いたフカヒレのフリット」という新定番を編みだしました。米粉ベースの軽い衣と、フカヒレの繊維質が生む歯触りはまさに唯一無二。熱心なファンも多い自慢のスペシャリテです。

鮨ぶんぺいカスゴ 鮨ぶんぺいイカ

その後に始まる10~12貫の寿司も、前評判に違わぬ出来でした。唐津産コシヒカリに赤酢と塩を合わせるシャリは「つく田」譲り。しかし地元・唐津のネタにこだわる「つく田」と違い、松尾さんは旬の魚介を全国から取り寄せます。「父に学んだ江戸前の技術や、“気をてらわない”との教えを守りつつ、僕にしか握れない寿司を追求していきます」。その覚悟は、屋号に(「つく田」ではなく)自分の名を冠したことでも分かるでしょう。

同様に、1貫目に必ずカスゴを出すのも覚悟の表れ。「カスゴはいわゆる下魚なので、相当仕事を施さないとお客様を失望させてしまいます。だからこそ、あえてそこに挑みたくて」という意志のこもった“名刺がわりの一貫”です。そのシャープな味と対照的に、2貫目の長崎産ケンサキイカの甘みも鮮やかでした。

鮨ぶんぺいマグロ1 鮨ぶんぺいマグロ2

マグロも「つく田」にはないネタで、豊洲の著名な業者「やま幸」から届く逸品が使われます。松尾さんはそこの社長にシャリを持参し「この味に合うマグロを送ってください」と依頼したとか。「血を抜きすぎず、香りがしっかり感じられるマグロが好みですね」。この夜振る舞われた中トロ・大トロ・赤身は130kg級の大間産。三者三様のとろける至福がたまりません!

鮨ぶんぺい帆立 鮨ぶんぺいコハダ

低温調理後に一度潰し、固め直した北海道産ホタテは「父のスタイルです」の一語と共に供されました。本来の形状でも文句なしの美味ですが、このしっとりふっくらした“つく田流”はかなりクセになる食感。芳醇な香りがより際立つのは、シャリとの一体感が増すせいでしょう。
また天草産のコハダは2日がかりで仕込んだもので、キリッとした酸味と美しい流線型のおかげでスルリと喉を滑り落ちます。コース全体の緩急も心地よく、約20品を完食後も「もう少し食べたいな」と思ったほどでした。

鮨ぶんぺい店主2

インバウンドからの人気も高い、群雄割拠の福岡寿司業界。そのなかで切磋琢磨し、「いつかは福岡一の店に」と松尾さんが夢を語ります。前述のように、これまで松尾家を支えてくれた人々への感謝を糧にしながら。「いろんなご縁を未来に繋ぐことが、いまの僕のモチベーションなんです」
──と、所作にも言葉にもひたむきさが滲む松尾さんの料理には、つい肩入れしたくなる熱さがありました。こうした店を応援することは、共に高みを目指す旅の仲間になること。日々常連客を増やす「ぶんぺい」は、そんな時間を共有し、一緒に未来を見たくなる寿司屋なのだと思います。

この記事は積水ハウス グランドメゾンの提供でお届けしました。

店舗名:鮨 ぶんぺい
ジャンル:寿司
住所:福岡市中央区西中洲2-25 STAGE1西中洲2F
電話番号:070-4202-2753 要事前ネット予約(下記インスタURLにリンク先あり)
営業時間:18:00一斉スタート、日曜17:00一斉スタート
定休日:水曜
席数:カウンター8席
個室:なし
メニュー:おまかせコース25,300円(季節により変更あり)
URL:https://www.instagram.com/bumpei_tsukuta/

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この記事を書いたひと

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