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「返済不可能なローン組まされた」全国に400人超 スルガ銀行追及「R調査班」第2弾

先月、「投資用マンション」の購入をめぐりトラブルに巻き込まれたと訴える福岡市の男性会社員を紹介しました。この男性と同様に静岡県に本社を置く「スルガ銀行」から返済不可能な額のローンを組まされたと訴えている人は、全国で400人以上に上っています。

◆常識的にあり得ない融資額で

被害を訴える男性「融資額は6億なんですね。どうせ融資が下りないと思ってたんですよ。サラリーマンで6億円の融資ってありえないじゃないですか、常識的に。僕の資産の改ざんがあって、通帳やら源泉徴収とか。もう一つは家賃の改ざん。レントロール(家賃明細表)を改ざんして割り出した。6億7千万。実際は3~4億の物件を高値づかみをさせている」

今年4月、福岡市のJR博多駅近くの公園に集まった人たち。職業や住んでいる場所は異なりますが、みな投資用のアパート・マンションのオーナーです。スルガ銀行の不正融資により、本来は買えるはずもなかった物件を不当に高い価格で購入することになったと訴えています。

◆立ち上がった被害者

冨谷皐介さん「多くの方が銀行、公的機関である金融機関が、詐欺・不正をはたらくなんて思うわけないんです。そういう世間の期待を裏切って不正をはたらいていたのがスルガ銀行なんです」

消費者問題の被害者を救済・サポートをする社団法人の代表・冨谷皐介さん。「スルガ銀行から不正な融資を受けた」と訴える投資用アパートやマンションのオーナーたちが結成した「スルガ銀行不正融資被害者同盟」の支援を続けています。

冨谷皐介さん「みんなで一斉に日にちを決めて、集まって困っているという窮状を、嵯峨社長に見せたいんです」

冨谷さん自身も6年前、スルガ銀行でローンを組むことを条件に、東京都内のシェアハウス「かぼちゃの馬車」1棟を1億9000万円で購入した、元被害者です。
家賃収入が一度も入らないまま、シェアハウスの運営会社は破綻。借金だけが残り、物件を売却しても数千万円の損失が出る状況から、同じ境遇の購入者とともに被害者同盟を結成した冨谷さんは、スルガ銀行の不正融資を追及し続けました。
その結果、銀行側が不法行為を全面的に認め、物件を手放す代わりに借金を帳消しにして損失を負担することで2020年に和解。地獄の手前から奇跡の生還でした。

冨谷皐介さん「悪いことをしたとシェアハウスの問題を認めたわけですから、『中古1棟アパ-ト・マンション』の問題にも真摯に対応していただきたい」

◆被害者400人超 ローン総額は1000億円超

冨谷さんが支援する「スルガ銀行不正融資被害者同盟」のメンバーは、国の内外に438人。メンバーがスルガ銀行から借りたローンの総額は、1051億円にも上ります。

被害者同盟のメンバー「レントロールと預金残高。貸せないはずなのに、通帳の改ざん。お金がなくなってしまって、生活を養えなくなって、それで離婚しました」
「みんなここにいる人たちは、死を覚悟したり。銀行が私利私欲のために改ざんなんかしないでまともな業務を行っていれば、私たちも今ここに立っていなくてすみますし。憎しみしかないです」
「私と同じように、スルガ銀行の返済に1人で悩み、家族を残して自殺をした同僚もいます」

被害を訴える同盟のメンバーは、「スルガ銀行」に対し、冨谷さんがかつて購入したシェアハウスと同様に、購入した物件と高額なローンとの相殺を求めて調停中です。

果たしてこの調停は、解決に向かっているのか? 50人の弁護士が名を連ねる被害弁護団に話を聞きました。

河合弘之弁護士「不正な売り付け、高値づかみ売り付けと、それに対しての融資という意味では、(シェアハウスと)同じなんです。その手法も、レントロール(家賃明細表)の偽造、預金通帳の偽造、売買契約書の偽造、払ってもいない手付金の領収書の偽造、全部からんでいる」

◆内部資料は「偽造の裏付け」と弁護団

弁護団が「偽造の裏付け」とする資料の数々です。左が、不動産会社から入手した賃貸明細表。右が、融資の際にスルガ銀行に提出された明細表です。同じ平成28年(2016年)3月ですが、空いているはずの部屋がほとんど入居したことになっていて、家賃収入も2倍近く水増しされています。

こちらは、家賃の改ざんです。全ての部屋で、実際の家賃より1万円から2万4000円も上乗せされています。自己資金を示す預金通帳は、38万円ほどの残高が1538万円に、90万円が1090万円に改ざんされています。
実際には払っていない手付金の領収書や、契約した不動産会社とは別の会社の名前が記載された売買契約書もあります。

さらに弁護団は、スルガ銀行の行員と不動産会社の社員とのラインのやりとりも入手していました。

不動産会社の社員から、家賃収入明細表がスルガ銀行の行員に送られています。満室時の家賃は600万円程度、実際の家賃収入は450万円ほどです。この後、訂正分としてすぐにほぼ満室に近い家賃収入が記載された明細表が送られています。

預金通帳の偽造についてとみられるやりとりには、履歴の改ざんの指示と偽装が発覚しないための注意が記されています。

河合弘之弁護士「スルガ銀行は、すでに非を認めています。非を認めているけれど個別事情が強すぎるから、一括解決はできないと」

◆株主総会で対決へ

非を認めながらも個別にしか対応ができないとするスルガ銀行に対し、一括での和解を求める「スルガ銀行不正融資被害者同盟」のメンバーは、次の一手を打ちます。「株主提案権」の行使です。
同盟のメンバーと弁護団は、スルガ銀行の株を4万3800株購入。議案を提出できる3万株以上を保有して10の議案を記載した「株主提案権行使書」をスルガ銀行に提出しました。

(1)4月24日に提出提案書の影ナレ真の経営再建をめざすため嵯峨行介社長の解任を強く求める。
(2)アパートマンション不正融資事件について全く解決していない。迅速に正しい解決をすること

株主総会の約3週間前に、「スルガ銀行」は異例の通知を出します。新型コロナ感染対策を理由に株主総会の出席に抽選を導入し、3万人を超える株主の中で、出席者をわずか206人にとどめる決定をしたのです。

迎えた株主総会当日。会場には、約300人の同盟メンバーが集まりました。撮影・録音が禁止された物々しい雰囲気の中、抽選に当選した70人が会場に入っていきます。

RKB植高貴寛「株主総会の真っただ中なんですが、スルガ銀行の本店の前ではデモ活動が始まっています」
「スルガ銀行は、まっとうな銀行に生まれ変われー!」

「不正があったのは事実なので、早く僕たちのことを助けてほしいです」
「銀行は社会のお金のベースだから、そこに問題があると社会が成長しない。まだ諦めてないです」

◆「通帳偽造を容認した銀行、歴史上ない」

被害弁護団 山口広弁護士「株主総会ではありましたが、実質的には、被害者側が抗議をする、不正融資の早期解決を求める、という発言がほとんどでありました」

弁護団によると、スルガ銀行の嵯峨社長は不正融資の問題について「早期解決を追求します」という発言を繰り返したといいます。しかし、いつまでにどのような形で解決をするかという具体的な質問については、「個別対応で考えている」というこれまで通りの回答にとどまったということです。

河合弘之弁護士「預金通帳偽造を容認した銀行なんて、歴史上ないんですよ。こんなことをして、反省もしないで、被害者の救済もしないで生き延びる銀行があるなんてことは、日本の金融界にとっては大変な禍根を残すことになります。ですから、金融関係者は全員この問題に注目して、『日本の銀行の信用をなくすようなことをするなよ』と言ってほしいですね」

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R調査班

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