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開業1か月「西九州新幹線」明暗くっきり 期待高まる観光地 通勤も快適 在来線は減便「見捨てられたよう」

開業1か月を迎えた西九州新幹線は、佐賀県の武雄温泉駅から長崎駅まで5つの駅を結び、そのうち2つの駅は、新幹線とともに新しく誕生しました。この1か月間でどんな効果をもたらしているのでしょうか。  

「日本一短い新幹線」

9月23日に開業した西九州新幹線。佐賀県の武雄温泉駅から長崎駅までの約66キロを結ぶ「日本一短い新幹線」で、所要時間は最短で23分です。博多から長崎へ行く場合、武雄温泉駅で在来線の特急から新幹線へ同じホームで乗り換え、最短で1時間20分とこれまでより30分ほど短縮されました。

「観光客に期待」嬉野温泉駅

「今からが正念場」と温泉旅館

武雄温泉駅からわずか6分。新たに誕生した嬉野温泉駅です。大正から昭和の初めにあった鉄道が廃止されて以来、街に鉄道が乗り入れるのは実に91年ぶりで、駅は観光客を迎える玄関口になっています。

「もう感激、いっぱい写真撮った。とにかく温泉と、佐賀牛も最高だったし、海の幸も」

嬉野といえば「美肌の湯」。温泉街にも開業の効果が出ているようです。

草野製茶園 草野展子さん「ずいぶん増えてきましたよ。話題性があるので。『武雄から1駅、嬉野温泉駅まで乗ってきましたよ』という方とか」

「今からが正念場」と温泉旅館

温泉街の老舗旅館「大正屋」です。新型コロナの影響で苦しい状況が続きましたが、新幹線の開業効果に加えて「全国旅行支援」も追い風になり、10月の予約数は2021年の1.6倍にのぼっています。

大正屋 山口剛副社長「やっと今まで通り戻ってきて、今からが正念場と。今武雄から長崎まで続いていますけど、それをいかに使って西九州地域をアピールするかが今からのカギとなっていくと思います」

取材した温泉旅館は、週末の土曜日は来月までほぼ満室だそうです。「全国旅行支援」に加えて、今月から3か月間は全国のJRグループが佐賀と長崎の観光を集中的にPRする「デスティネーションキャンペーン」も実施されています。

「通勤がとても楽に」新大村駅

高良俊輔さん「朝座れなかったりとか、なかなか目に見えないところで体に負担がきてたのかなと。だいぶ朝もゆっくり寝られて帰りも早く帰れて、だいぶ楽になりました」

家族との時間を楽しむ余裕が生まれ、仕事と生活のバランスが良くなったといいます。

高良俊輔さん「(帰宅すると)平日はもう寝てたんで、子どもたちは。結局私も家に帰って夕食とお風呂と寝るだけの生活が平日は続いていたんで、味気なかったんですけど、今はもうそれが毎日会えるんで、非常に楽しみで仕方ないですね。モチベーションも上がって仕事にもいい影響が出ていますね」

新大村駅には課題もあります。空の玄関、長崎空港への最寄り駅でもありますが、駅からは約5キロ離れていて、公共交通機関がありません。そこで大村市と市のタクシー協会は、駅と空港、それに長崎道の大村インターバス停を結ぶ乗り合いタクシーの運行を始めています。

「見捨てられたような……」肥前鹿島駅

企業の半数「事業に影響が」

高良俊輔さん「朝座れなかったりとか、なかなか目に見えないところで体に負担がきてたのかなと。だいぶ朝もゆっくり寝られて帰りも早く帰れて、だいぶ楽になりました」

家族との時間を楽しむ余裕が生まれ、仕事と生活のバランスが良くなったといいます。

高良俊輔さん「(帰宅すると)平日はもう寝てたんで、子どもたちは。結局私も家に帰って夕食とお風呂と寝るだけの生活が平日は続いていたんで、味気なかったんですけど、今はもうそれが毎日会えるんで、非常に楽しみで仕方ないですね。モチベーションも上がって仕事にもいい影響が出ていますね」

新大村駅には課題もあります。空の玄関、長崎空港への最寄り駅でもありますが、駅からは約5キロ離れていて、公共交通機関がありません。そこで大村市と市のタクシー協会は、駅と空港、それに長崎道の大村インターバス停を結ぶ乗り合いタクシーの運行を始めています。

「見捨てられたような……」肥前鹿島駅

江北駅の乗り換えは3分ほどの間隔で、階段をのぼって別のホームへ移動する場合もあり、重い工具を抱えているとかなり苦労するといいます。

社員「30キロ弱あると思います。階段を持って上がる時は、けっこう大変ですね」

また、納品前の確認などで取引相手が訪ねて来た場合に、江北駅まで車で送迎することも増えました。

「前は(送迎は)鹿島駅だったんですけど、月に200人くらい乗り降りし、お客さんがきたりスタッフが行ったりしますから、コスト的にも時間的にも負担が増えてきたなと」
新幹線開業に合わせて、在来線の運行ダイヤも大きく変わりました。佐賀県の肥前鹿島駅では、特急列車の本数が減り、「佐賀市や博多駅方面に向かうのに不便になった」という声が上がっています。

RKB原口佳歩「佐賀県の肥前鹿島駅では、博多とを結ぶ特急の数が3分の1ほどに減りました」

長崎線の肥前鹿島駅。新幹線開業に合わせた在来線のダイヤ改正で、博多との間を結ぶ直通の特急列車は1日45本から14本に減りました。普通列車で江北駅まで行き、運行本数が圧倒的に多い武雄温泉方面からの特急に乗り換えることが増えたということで、利用者からはさまざまな声が聞かれました。

「乗り継ぎしないといけなくて、ちょっと不便かな」
「いろいろこっちで仕事してそれで特急に乗って大丈夫だったんですけど、今はちょうどいい時刻がないもんだから。見捨てられたという感じ」
「乗り継ぎしないといけなくて、ちょっと不便かな」
「いろいろこっちで仕事してそれで特急に乗って大丈夫だったんですけど、今はちょうどいい時刻がないもんだから。見捨てられたという感じ」

企業の半数「事業に影響が」

地元企業のビジネスにも影響が出ています。鹿島商工会議所が実施したアンケート調査では、ほぼ半数の企業が、特急の減少などで「事業に影響が出る」と回答しました。

「商談等において来訪者が減るのが一番心配です」
「場合によっては2日またいだ出張、お客様の来社という形でコスト高になる」

自動車などの部品を形作る「プレス機械」の製造を手がける会社です。全国に取引先があり、修理の依頼があればすぐに駆けつけますが、特急が少なくなって不便になったといいます。

森鉄工 森孝一社長「準備ができたけど(列車が)2時間ないよ、とか。特急で乗り換えなしで行けたのが、ほとんど乗り換えなくちゃ行けないのが非常に不便になった」

「乗り換え時間が短い」コスト増にも

江北駅の乗り換えは3分ほどの間隔で、階段をのぼって別のホームへ移動する場合もあり、重い工具を抱えているとかなり苦労するといいます。

社員「30キロ弱あると思います。階段を持って上がる時は、けっこう大変ですね」

また、納品前の確認などで取引相手が訪ねて来た場合に、江北駅まで車で送迎することも増えました。

「前は(送迎は)鹿島駅だったんですけど、月に200人くらい乗り降りし、お客さんがきたりスタッフが行ったりしますから、コスト的にも時間的にも負担が増えてきたなと」

JR九州は今後も23年間、在来線の江北駅と諫早駅の間の運行を維持する約束ですが、地域の方にとってはやはり、特急列車が一気に減ったという印象が強いようです。地域の交通を守るために、積極的に利用して乗車率を維持することも重要ですが、新たに登場した観光列車「ふたつ星4047」などで新幹線にはない旅の魅力や地域の特色をPRしていくことも大切です。

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