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新人が現職に圧勝「田川市長選」勝敗を分けたのは何だったのか~統一地方選の後半戦 福岡

今林隆史

統一地方選挙の後半戦が、23日に投開票されました。福岡県では3つの市で市長選挙、5つの町で町長選挙、そして27の市と町で議員選挙が実施されました。このうち田川市長選挙では、元市議の新人が自民党福岡県連や公明党が推薦する現職を破り初当選。勝敗を分けたものは何だったのでしょうか。


◆現職の二場氏「変な選挙に…」
二場公人氏「今回の選挙、今まで経験したことのないような、変な選挙になってまいりました。いいことをやる。正しいことをやる。これに対してなんで誹謗中傷するんですか。おかしいでしょ」

現職と新人の一騎打ちとなった田川市長選挙。今回敗れた現職の二場公人氏は、3期目を目指す選挙期間中、自身への批判を「誹謗中傷」「偏向報道」などと主張。武田良太元総務大臣や周辺自治体のトップが応援に駆け付け組織戦を展開しましたが、防戦を強いられる苦しい展開となりました。


◆新人の村上氏「ガラス張りの市政」
一方、当選した新人の元市議・村上卓哉氏が、まず問題としたのが現職の二場氏の「情報公開」に対する姿勢です。

村上卓哉氏「市民の皆様に隠し事をするような市政。こういった市政には、もういい加減、ノーを突きつけましょう。私は必ずガラス張りの市政を実現してみせます」


◆ライバル同士の市議選候補が一緒に
この日、村上氏と一緒にマイクを握ったのは、市長選と同じ日に行われる市議会議員選挙に立候補した9人の候補者です。議席を争う候補同士は本来ライバル関係にありますが、所属政党や政治信条を乗り越えて集まりました。

保守系 小林義憲氏「24年間議員活動しましたけど、こういうことは初めてでございます。いかに田川市が今おかしいかというのは議員候補の気持ちじゃないかと思います」
共産党 佐藤俊一氏「本当はライバルですよね。こんな選挙初めてです。間違った政治を正すというところで、みんなが力を合わせている」


◆新人が現職に圧勝
そして迎えた投票日・・・

RKB岩本大志「敗れた二場さんの事務所です。支援者は呆然と立ち尽くしています」

今回の結果についてはー

二場公人氏「本当に私の力が及ばなかった、それを田川市民が判断したということでございますので、これも仕方ないという結果で、真摯に受け止める」


◆村上氏「田川市を取り戻す」
何が勝敗を分けたのでしょうか?

村上卓哉氏「今の田川市は、私はあまり主体性があるというふうに感じておりません。主体性を持つことで本来の田川市を取り戻したい」

「田川市を取り戻す」というスローガンを掲げた村上氏の陣営。背景には、二場氏の義理の兄にあたる大任町の永原譲二町長が市政に介入しているとの反発がありました。田川地区の8市町村が、大任町に委託して建設している「ごみ処理施設」の問題を議論する田川市議会の委員会で、二場市長の後ろに座り傍聴していた人物。委員会室から出てきたのは永原町長でした。


◆大任町の永原町長は…
RKB今林隆史「きょうは何をされに来たんですか?」
永原町長「・・・」

また、5年前には田川市議会を訪れ、ごみ処理施設について質問した市議に「バッジを外すよう」迫る趣旨の発言をしていることが、RKBの取材で明らかになっています。永原町長は二場氏について「たとえ私が何かを頼んでも、一切聞き入れるような市長ではない」と主張していました。


◆新市長に問われるものは
4000票という大差となった今回の選挙結果について、田川市民はー

田川市民「大任町との関連とか、何となく曖昧うやむやな状態できていたのが影響したのかなと思いますけどね」「田川市独自の政策とか市の運営をやってほしいと思います。いろんな影響を受けずに。例えば大任町とかそうですけど」

情報公開などをめぐり混迷の度を深めていた田川地区。新しい市長はどのように情報を公開し、共に事業を行う周辺の自治体とどう付き合っていくのか、その手腕が問われます。

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この記事を書いたひと

今林隆史

1976年生まれ 福岡市出身 政治・経済などのニュース取材に加え、ドキュメンタリー番組の制作にも携わる。第58次南極観測隊に同行。JNNソウル特派員として韓国の大統領選挙(2022)などを取材。気象予報士・潜水士の資格を有し、環境問題や防災、水中考古学などをライフワークとして取材する。 番組「黒い樹氷~自然からの警告~」で科学技術映像祭 内閣総理大臣賞(2009)、「甦る元寇の船~神風の正体に迫る~」同映像祭 文部科学大臣賞(2013)など受賞。