PageTopButton

店主の故郷・ソウルの味を、現地そのまま美味しくお届け!

UMAGA

K-POPの影響もあるのか、ここ数年何度目かの盛りあがりを感じる韓国料理。大名界隈でもさらに店舗が増えた気がしますが、ここ薬院の「空とぶ豚」は今年で開業11年。本場に忠実な料理の味で、客の胃袋をガッチリ掴む様にはベテランの風格さえ漂います。

空とぶ豚外観

薬院大通の交差点から高宮通りを進み、すぐに現れる英字の看板が目印。ドアを開けると好青年風のキム・スンヘエさんが迎えてくれました。「本当は日本で料理を学び、韓国で和食店を開く予定だったんですが」と笑うソウル出身のオーナーですが、日本で営むこの店も評判は上々。「韓国そのままの味」にこだわったメニューが“本物”に飢える愛好家たちに刺さり、一躍人気店の仲間入りを果たしました。福岡在住の韓国人がよく通うというのも“本物”の証しでしょう。

空とぶ豚店内 空とぶ豚掘りごたつ

韓国では縁起物のブタが飾られた店内には、これまた現地ムードを吹き込むK-POPが流れています。個人的に「韓国料理店=若い人の店」という印象を持ってましたが、客にはアダルト層の客が多くひと安心(笑)。プロの料理人や食通のファンがいるという料理に期待が高まります。
奥には掘りごたつ席があり、扉を閉めれば個室状態に。貸切なら最大24名まで利用できますよ。

空とぶ豚チヂミ

さて、この日最初のオーダーは定番のチヂミ。全6種から人気上位の「海鮮チヂミ」(858円)を選びました。タレをつけずとも十分うまい粉はオリジナルブレンド。それに加え、ひと噛みごとに広がる魚介類の香りが実に豊かです。とくに味の決め手であるスルメイカの濃い旨味がたまりません。海鮮系の素材は水分が多く、チヂミの中がベチャッとなりがちですが、ここでは事前に素材の水分を抜き、中まで程よく焼きこむなど目配り万全。「できる店」らしい技を感じます。

韓国料理ならではのうま辛さは、やはりいつもより食欲をかき立ててくれます。おかげで僕も肉モードに突入し、予定外の「サムギョプサル」(1人前1,408円、写真は2人前)を頼むハメになりました。
しかしこれが大正解! まず素材が運ばれ、1人1枚の150gはある糸島産豚肉に目を見張ります。そのままスタッフが肉を焼きだすと、余分な脂が鉄板の傾斜をどんどん落ちていきました。

空とぶ豚サムギョプサル3

そして完成したのは、あふれる肉汁と弾む歯応えが凝縮した極上の繊維質。カリッと甘く香ばしい、肉食の醍醐味そのものの豚肉です。薬味を乗せた野菜に巻いて頬張ると、口の中を極彩色の風が吹き抜けました。夏場で失いかけたスタミナもチャージ完了!

スタミナといえば、韓国では手長タコが滋養強壮の食材として扱われるとか。となれば、次の注文はそのタコを使った「釜山ナッチポック」(1人前1,078円)でしょう。ただし「もつ」(858円)をトッピングしたため、正しくは最近人気の「ナッコプセ」と呼ぶそうです。

ソウルの味を集める中で、この鍋だけ釜山名物なのはキムさん自身の好物だから。その思い入れは、特定海域で捕れたタコだけを大阪経由で仕入れたり、和牛モツも福岡トップクラスを自負する一級品を選んだり……とのこだわりに窺えます。その成果は、ほぼ無言で完食するほど引力の強い美味に結実。辛さ・甘さ・旨味が見事に調和し、心まで熱くなるパワフルな美味でした。

空とぶ豚〆

鍋の後はおじや風の〆も頼めますが、今回は「ポックンバ」(748円)をセレクト。海苔と胡麻油を振ったご飯に、残った鍋の具や汁をかけるスタイルに惹かれての注文です。もちろんこれも予感的中。海鮮、モツ、野菜の旨みが濃縮した汁が、海苔と胡麻油の香気で美味しさを倍増させるのです。これまた“黙食”必至の絶妙な〆でした。

カラフルな刺激に満ちた料理を楽しむうち、ふと思い出すのが昔旅した韓国の風景。コロナ禍の昨今、料理で気軽に旅情を味わえる店は貴重ですよね。「韓国は料理の流行が目まぐるしいので、僕も常に情報収集して現地の“リアル”を届けていきます」とキムさん。ソウルのトレンドを美味しく体験しましょう。

空とぶ豚メニュー1 空とぶ豚メニュー2 空とぶ豚メニュー3
店舗名:空とぶ豚
ジャンル:韓国料理
住所:福岡市中央区薬院3-11-30エステート・モア薬院通り1F
電話番号:092-521-8181
営業時間:17:00~OS翌1:00
定休日:なし
席数:テーブル50席、掘りごたつ16席
個室:16~24名
メニュー:テーブル50席、掘りごたつ16席
海鮮チヂミ858円、釜山ナッチポック1人前1,078円(注文2人前~)、サムギョプサル1人前1,408円(注文2人前~)、5色石焼ビピンパ968円、チーズトッポキ748円、自然スンドゥブチゲ858円

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう

この記事を書いたひと

UMAGA

homePagefacebookyoutubexinstagram

魅力的な福岡の食文化をもっと楽しんでいただくためのバイブルとして、厳選した信頼性のある情報を毎日更新中。