博多の総鎮守「櫛田神社」のお膝元である冷泉町は、古き良き下町の風情が残る街。路地には青果店や薬局、米穀店、箸店などの商店が並び、老舗の料理店も点在しています。
今回訪問したのは、そんな昔ながらの町並みに惹かれ「この地で長く愛される店を作りたい」と、独立を果たした焼鳥職人の店「れいせん町 悟くう」です。店主の野田昂平さんは、高砂の人気店「やきとり弥七」で12年間に渡り腕を磨いた実力派。居抜きや改装ではなく一から店舗を建設し、昨年の10月に開業しました。
扉の先にはスタイリッシュながらも木の温かみを感じる空間が広がっています。入口側はカウンター席となっており、店内中央には炭焼き場が。奥にはテーブル席と靴を脱いでくつろげる掘りごたつ式の個室も用意されていました。
品書きは潔く焼鳥中心で勝負。「ふらっと立ち寄って、気軽に食べ飲みしてもらえる店に」との思いから、コースなどは設定せず1本198円から好きなものを楽しめるスタイルとなっています。九州産をはじめとした新鮮な鶏、豚、野菜を一本一本丁寧に串打ちし、備長炭で焼き上げる自慢の焼鳥を早速お願いしました。
「大学時代、縁あって『やきとり弥七』を知り、大将の宇佐美政次さんに出会ったんです。大将の仕事っぷりに男ながらに惚れ込んで、“ここで働かせてください!”と強引にお願いしたところから僕の焼鳥人生がスタートしました。学校を辞め、アルバイトから社員になり、素材の下処理から串打ち、塩打ち、備長炭の扱い方、焼き方……と焼鳥のことだけを一心に学んできました。当時人手が足りていたにも関わらず僕を雇い焼鳥を教えてくれた大将、たくさんの先輩方、お客様には感謝してもしきれません」。
そう話し、真摯な眼差しで焼き場に立つ野田さん。
「やきとり弥七」では、修業期間12年のうち7年の間焼き場を任せてもらっていたそう。流れるような手さばきで塩を打ち、炭や串の位置を見極めながら焼き上げていきます。
焼き上った焼鳥は、博多らしく酢ダレがかかったキャベツの上にのせて供されました。左端の「ハツ」(220円)はバツンッと爆ぜるような食感が格別。中央の自家製の「つくね」(264円)は軟骨の歯触りが小気味よく、あふれ出す鶏の旨味がたまりません。その隣の「豚バラ」(209円)と「せせり」(220円)も、ジューシーでさすがの焼き加減です。
また「とり肝」(242円)はとろ~り、写真左の「とり皮」(198円)はカリッむちっと美味で、自家製の甘辛ダレもクセになります。豚バラ肉で野菜を巻く「レタス巻」(385円)や「しそ巻」(275円)といった巻モノもあり、良い塩梅で塩がバチッと決まっているので食材の美味しさが引き立っていますね。
さらに追加で「炭焼ロメインレタス」(770円)も注文。ロメインレタスを豪快に炭焼きして、シーザーサラダ仕立てにした一品です。シャキシャキとして香ばしく、一緒に炭焼きした厚切りベーコンの旨味やチーズのコクも相まってお酒もぐんぐん進みます。生ビールやレモンサワーはもちろん、久留米「花の露」の吟醸酒粕で造った米焼酎「舞水」や糸島「白糸酒造」の日本酒「田中六五」など、九州の地酒(550円~)と合わせるのもいいですよ。
最後に、気になる店名の由来も伺ってみました。
「僕の中のヒーローといえば孫悟空なんです。子供の頃から、堺正章さん主演のドラマ・西遊記が大好きで。子供の頃から親しんでいる名だし、覚えてもらいやすい名前だなと考えて名付けました。今は厨房に一人で立っていますが、仲間を増やしながら店を盛り立てて、天竺を目指す気持ちで頑張っていきたいです」。
そう言ってニッと笑う姿が何だか孫悟空っぽくて、私までつられて笑ってしまいました。「恥ずかしいので(笑)」と、残念ながら顔写真は断られてしまいましたが、気になる方はぜひ「れいせん町 悟くう」へ。人を惹き付ける魅力満点の野田さんと美味しい焼鳥が待っていますよ。
《れいせん町 悟くう》
福岡市博多区冷泉町8-3
TEL/092-271-2895
営業時間/17:30~OS22:30
ジャンル:居酒屋、焼鳥
住所:福岡市博多区冷泉町8-3
電話番号:092-271-2895
営業時間:17:30~OS22:30
定休日:木曜
席数:カウンター8席、テーブル10席、掘りごたつ8席
個室:4~10名
メニュー:とり皮198円、豚バラ209円、とり肝220円、四つ身242円、つくね264円、レタス巻385円、炭焼おにぎり330円、レモンサワー・角ハイボール各550円
URL:https://www.instagram.com/reisenmachigokuu
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