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木曽・上松町~赤沢自然休養林

「地元では“木曽は山と山の間に物干し竿がかかる”なんて言われてて…」などと聞き、「ま~た大げさな(笑)」と、思っていましたが…、本当!山と山の間に川と道と鉄道と町があるので、まっすぐ前を向いていても視界の両端に常に山の姿が入っているんです!「わ~。山が近い~。高い~。」なんて言ってはしゃいでいた松本に、木曽から戻ったら「あ、空が広い」と思ったほどです。生まれて初めて、ハイレベルな谷あいの町を体験いたしました。
その木曽でのオススメのひとつが、上松町にある「赤沢自然休養林」。“森林浴発祥の地”だけあって、その気持ちよさといったら!携帯電話の写真メールを受け取った会社の人々が、口をそろえて「癒された~」と言うほどです。

3年前からは「森林セラピー基地」としての役割もスタート。森林セラピーとは、森林の有効な成分によって心身を癒す新たな健康増進法です。ここでは「森林セラピードッグ」といって、一般的な健康診断メニューと森林浴のリフレッシュを組み合わせて体験できるのです。県立木曽病院のお医者さんが処方してくれるのは“最適な散策のしかた”。医師の診断を元に、NPOのガイドさんがペース配分やアップダウンの取り入れ場所、川のせせらぎの組み込み方を決めて、赤沢の自然を紹介しながら案内してくれます。8つあるコースの中で一番ゆるやかな「ふれあいの道」コースは往復2.8km。お年寄りでも1時間もあれば散策できるそうです。このコースは道自体がバリアフリーになっているので車椅子でもOKだそう。セラピー体験館は総ヒノキ作りです。建物のみならず、椅子やテーブルもヒノキ。すごーくいい香りがしましたよ。

ここは、木曽五木(ヒノキ・サワラ・ネズコ・アスナロ・コウヤマキ)を中心に木々の生命力を体じゅうで受け止められる場所ですが、最大の魅力は、樹齢300年を超えるヒノキの天然林(日本三大美林のひとつです)だということでしょう。「針葉樹で300年ものというのは、なかなかないと思います。」とおっしゃるのは、案内してくれた上松町役場の織田浩市さん(この方の名刺はヒノキの間伐材。いい香りがします)。しかし樹齢300年のヒノキ、幹周りは3mくらい?直径だと1mちょいかな?「想像してたほど太くない気が…。」と思ってたら織田さんが「木曽は寒冷地ですから、木が生育しづらいんですよ。だから、年輪が幅広くなく詰まってるんです。数えるのに針の先を使わなくちゃならないくらいに。だからこそ建築材として最高で、香りもすばらしく、神社仏閣で重宝されてきたんです。」と教えてくれました。さらに「五感で楽しむべきですから触っていいですよ」とのアドバイスに従い、接触!う~ん…なんか気持ちいいですぅ。

伊勢神宮の20年に一度の遷宮の際には、この林からヒノキの柱が切り出されるそうです。国有林になる前は皇室の御料林、その前は尾張藩の保護の下で守られたからこそ、今、樹齢300年のヒノキに出会えるんですねえ。ちなみに尾張藩はここを留山(とめやま)といって人が入って木を切ってはならない林とし、「枝一本腕ひとつ、幹一本首ひとつ」という厳しい刑罰をもって管理したそうです。
そしてここでの楽しみの中に「赤沢森林鉄道」があります。林内の一部、往復2.2kmを25分かけて、時速7kmで走るこの鉄道、レールの幅は76.2cmと狭いものです。客車は実際の材木運搬台車の上に客席をつけたものだそうで、カタコトと揺られながら涼しい風を受け、川のせせらぎを聞いていると、どんどんテンションがあがっていきます。気分は『世界の車窓から』。♪タラッターター、ターララ、ターラー…。あ、失礼。そうそう、切符は木製で~す。現役の機関車は新しいものですが、記念館には過去の機関車などが保存されていますよ。

赤沢自然休養林は冬期は閉鎖されます。オープンは4月下旬から11月上旬となります。早くも色づき始めた木もありましたよ。夏はさわやかに、秋は見事な紅葉が楽しみな場所です。
赤沢自然休養林→ http://w2.avis.ne.jp/~akasawa/index.html

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