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光る職人の筆文字

大人気アニメ「鬼滅の刃」。その鬼滅の刃に関わる人物が鹿児島県さつま町にいる。

「昭和書体」は、手書きの毛筆文字をパソコンなどで使えるようにした「フォント」を制作・販売している会社だ。その昭和書体が開発した「フォント」こそが、アニメ「鬼滅の刃」に使用されたのだ。1つのフォントとして販売するのに必要な文字数は約7000で、これまで64フォントを作り出してきた。フォントのもとになる文字はすべて手書き。その文字を書いているのが綱紀栄泉さん(85)だ。昭和書体は、1960年に看板店として開業。栄泉さんが独学で会得した毛筆字体で、手書きの看板を制作してきた。しかし、時代とともに手書きの看板店が軒並み廃業していく。そんな中「これまで自分が書き続けてきた字を子や孫に引き継いでいきたい」とフォント事業に参入。栄泉さんが文字を書き、息子の茂樹さん、孫の太樹さんがフォント化して販売するなど親子3代で協力して全国に文字を届けている。

栄泉さんが独学で学び培ってきた筆文字の技術は、当初の看板だけに止まらず、今やフォント化によって人気アニメやテレビ番組、食品のパッケージなど幅広く使用されている。

「栄泉さんが書けなくなっても全国にいる書家たちの字を残していきたい」
85歳にしてなお書き続ける栄泉さんと、書家たちの技術を残そうとする昭和書体の想いに迫る。

■取材先
会社名:株式会社 昭和書体
代表:坂口茂樹
住所:鹿児島県さつま町船木210-28
電話:0996-26-0650
HP:http://www.koueisha.ecnet.jp/

 

取材後記

「ここまできたら、納得するまで書きましょう」
撮影中の栄泉さんの言葉に、中途半端なことはできないと背筋が伸びました。

文字の躍動感を表現するために、アクリル板に文字を書いてもらう撮影でのこと。
紙にしか書いたことのない栄泉さんにとって透明な板の上に書くのは困難の連続。板までの距離がうまくつかめないだけでなく、カメラの画角におさめるために書き始めの位置や字の大きさなど気を付ける点がいくつもありました。
高齢の栄泉さんに何度も書かせるわけにはいかないと思い、「これでいきましょう」と言いかけたそのとき。「納得するまで書きましょう」との一言。一瞬でも妥協しかけた自分を恥じ、良いものをつくろうと背筋が伸びました。
文字の写りを確認しては、もう一回、もう少し下に書いてみよう、いやもう一回。栄泉さんは一切の妥協を許しません。
フォントにする文字にしても、書いて気に入らなければ捨てる。何回でも書き直す。そうして自分が本当に納得した文字だけを世に送り出してきました。

「もう少し崩した字を書いてみたい。まだ今から勉強でしょう」
次はどんな文字が生まれるのだろう。その文字はどのように使われるのだろう。
魂を込めて書かれた文字は、魂をかけてつくる作品に出会ったとき、さらに輝きを放つのだと思います。

担当:MBC南日本放送/脇野 真衣

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