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大学生になった相川七瀬「自然と共生するための祭祀を後世に残したい」

1995年に「夢見る少女じゃいられない」でデビューし、「BREAK OUT!」「恋心」などのヒット曲で知られる歌手の相川七瀬さんは去年、國學院大学神道文化学部に入学した“現役の女子大生”だ。なぜいま大学に通い、神道を学んでいるのか?RKBラジオ『櫻井浩二インサイト』に出演した相川さんに聞いた。

櫻井浩二アナウンサー(以下、櫻井):神道文化学部を選んだのはなぜですか?

相川七瀬さん(以下、相川):もともと神社がすごく好きで、伝統文化とか祭祀に古い日本人の形があるというのに気づいたことと、ここ10年ほど地方の活性化に関する活動に携わってきて、改めて真剣に学んで、もっとみんなの役に立てるように頑張りたいなって思ったのが動機です。その理解を深めてくれる学校ってどこだろうって探した結果、國學院大学のこの学部しかないと思いました。

櫻井:どういうことを勉強しているんですか?

相川:「神道と環境」です。神道って、自然と共生していくことをお祭り(祭祀)で表現して、みんなで分かち合ってきた文化だと私は思うんです。

櫻井:自然の恵みに感謝するっていう?

相川:そうです。それを集落の社会の中で共有してきたというのが、古き日本人の姿でした。ところが、都市化や過疎化、少子高齢化で、どんどんその形が崩れてきて、いろんな問題が起きています。「神道と環境」というクラスは、神道と関わる人間として、どうやって、もういちど自然と人を繋ぐことができるのかを考えているんですけど、それがものすごく私にとっては面白く興味深く思っています。

櫻井:神道を学んだうえでの地方の活性化について、具体的にはどういうふうに結びつけていきたいと考えているんですか?

相川:私は地方の活性化の中心にあるのが神社の祭祀だと考えています。各地で祭祀がなくなっている例がいっぱいあるので「自分たちの代で終わらせないで、もう一世代でもいいから伸ばしていこう」ということを、私なりに手伝っていきたいと思っています。

櫻井:とはいっても、地方に行けば人口も減っているし高齢化も進んでいます。祭祀もやめざるを得ないっていうところが多いでしょう?

相川:私はいま、対馬を活動のフィールドにしています。そこで、赤米神事というものを守っていこうとしているのですが、地元の方だけだとアイデアも煮詰まってしまうこともあるので、私のように氏子でもない、地元出身でもない人間が入ってくることで、たとえば外部に発信する力になるといった“外の資源”をふんだんに使ってもらって、内側にある資源を生かしていくことも可能ではないでしょうか。

櫻井:なるほど。その対馬の祭祀は今後も続いていく目処が立ちつつあるんですか?

相川:残念ながら絶滅の危機です。たった1人なんですね、それを守ってる方が。その方が病に倒れてしまって、まさに神事が止まってしまいそうな、その瞬間に今いるんです。

櫻井:それはどういうふうに乗り越えていったらいいんでしょうね。若い継承者がいないのが一番の問題でしょうか?

相川:そうですね。いろんな要素が混ざっていますが、やはり社会的な背景って大きいと思うんです。若い人たちが集落の外に出てしまうのは、誰にも止められない社会の背景じゃないですか。だけどその若い人がまた興味を持ってくれるような仕掛けをするのも、私たち大人の役割ではないでしょうか。大学では同級生が私の長男と同じ歳なんですよ。これからの時代は彼らが主役だから、彼らにたくさん届くようなことを自分も模索したいと思っています。

櫻井:これからも全国のお祭りを守るべく、勉学に励んでいただいて、ロック歌手としてもとしてもご活躍していただければと思います。ありがとうございました。

相川七瀬さんは10月8日(金)~10(日)に開かれる、宗像国際環境会議(オンラインでも視聴可)にパネリストとして参加する。この会議は、世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群がある福岡県宗像市で、海水温度の上昇や、漂着ゴミ(マイクロプラスチック)の問題を中心に、近年の急激な海の変化への提言や情報を国内外に発信するもので2014年から毎年開催されている。研究者やジャーナリスト、行政関係者に加え、“環境インフルエンサー”となっているタレントたちも登壇する。

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