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食通の街、福岡を支える立役者② 「La Maison de la Nature Goh (ラ メゾン ドゥ ラ ナチュール ゴウ)」のオーナーシェフ福山剛さん

~RKBラジオ 弓削聞平スマイルディッシュ(毎週金曜午後6時45分~)より~
飲食店がひしめき、全国の食通が注目する街・福岡。この街で、食を通して人々に笑顔を与えている、料理人やソムリエたちをゲストに迎え、ここ10年でのべ1万軒外食している弓削聞平と、世界中の食を語れるアナウンサーになりたい田中みずきの2人が、彼らの情熱の源に迫ります。

ゲストは福岡市中央区西中洲にある「La Maison de la Nature Goh」のオーナーシェフ福山剛さん。

西中洲に2002年の10月お店をスタートして18年目のフレンチレストラン。
田中みずきアナウンサーも当時、若手のシェフが西中洲で新しいことを始めた、という強い印象を持ったようです。
「あの頃は西中洲も今と違ってお店もそんなになかったですからねー、大人の元祖隠れ家レストランでしたねー」と弓削さん。

福山さん曰く、「実はオープンする前、物件あそこしか見てなくて(笑)」
えー!! 意外でしたが、それには福山さんらしい理由がありました。
「住所が西中洲2-26なんですね。僕の誕生日が2月26日なので、これは運命的な出会いと思って、すぐ決めちゃったんです!」
そうだったんですね。そんな直感力の強さも福山さんの魅力です。

当時は西中洲も過渡期で老舗のお店が沈んでいる頃。
歴史を刻んだ料亭とか、古いお店がどんどんなくなって、ここ数年でビルやマンションまで建って様変わりした中、ずっとそのままの形で「Goh」であり続けてくれている......
と弓削さんも当時からの「Goh」を振り返ります。

「一言では語り尽くせないと思うんですけど、どんな思いでこの店を始めたのですか?」
という田中アナの問いかけに、

「来て頂いたお客さまが、安心して楽しい時間を過ごしてくれたらなーと。西中洲って僕でもそうなんですけど、結構入りづらいじゃないですか。でも頑張って入ってきてくれたお客さまが、なんか安心して過ごせるお店であり、また誰かを連れて来たいと思えるお店を作りたいなぁと思いました」

「確かに! 細い路地の奥にぼんやり灯りがついてドアしか見えないですもんね、でもそのドアを開けたら正面に調理場があって、ガラス越しに福山さんの笑顔が迎えてくれる。あのギャップって言うか......」と、田中アナもドキドキ感と安心感のギャップが良いと語ります。
弓削さん曰く、福山さんには「中洲の太陽」というキャッチフレーズがついているそうです!「ドアを開けたら太陽がパーーーッと眩しい光を放ってくれる位置にシェフがいますからね」そんな素敵な笑顔のシェフに逢いたくてお店に足を運ぶお客さんも多いのかもしれません。

さてお料理ですが「本当に美味しいし、美しい!」と田中アナ。
「オープン当初と今の料理は、また全然違いますね」と弓削さん。

「僕は生まれてから修行時代もずっと福岡だったんで、海外とか東京とか大阪とかに出たことなかったんですが、40代になり、ここ5、6年ぐらい、いろんなところに行ったり、いろんな人と交流し始めたりしたんで、それで変わったのはあると思います」

高校を卒業してすぐ大好きだった料理の世界に飛び込んだ福山さん。
最初に修行した店は福岡の老舗フレンチ店。クラシックな基本を7年学びました。
その後お店をオープンするまでは中洲のワインバー「マーキュリーカフェ」で、全然違うジャンルの料理やカウンター席で客の反応をリアルに感じながら料理することを学んだといいます。

「教えられた料理をちゃんと作っていくっていうのが最初のレストランだったんですけど、次の店は中洲で呑んだ帰りのお客さんが、ちゃんぽんを作ってとかカツ丼食べたいとか、いろんなオーダーがありました。それに少しずつ応えていけて、料理もですけど気持ちの幅も広がったっていう感じがありますね」

料理人としてその辺りから本領発揮! この仕事の面白さも感じるようになったようです。
自分で色々なものを考えたり、出会ったお客さま達の反応にも発見がたくさんあったりして、
「自分がいいと思って作ったものが意外とそうでもなかった。そういう反応を見始めたんで、料理の考え方も少しずつ変わっていったような感じがします」

反応を直に見るという、料理人の喜びと楽しみと苦しみを体験した修行時代。
でも福山さんにとって一番辛かったのは料理の世界に飛び込んだ、最初の頃だったといいます。

「小学校からずっと料理が好きで家でも料理作ったりとかして、人に食べさせたりとか、今までは自分の好きな時間に好きな材料買って好きなタイミングで作れば良かったのが、プロになるとある程度、原価もしっかり決めて、時間もお客さまに合わせて、一気に10人20人30人といっぱいの量を作んないといけない。やっぱりそれって全然違って、そこの難しさもあって、最初の2年ぐらいは好きだった料理が嫌いになりましたね」

今では考えられませんが、福山さんにも挫折しそうな時期があり、それを乗り越えて「やっぱり料理っていいなぁ」と改めて感じたそうです。

「料理でいろんな人と繋がることが出来て、いろんな経験ができるんで、これはもうこの仕事しかできないなーっていう感じがします!」と福山さんは語ります。
2016年にアジアベストレストラン50に選ばれて、さらに注目を集めることとなった「Goh」

「その頃からいろんなシェフとのコラボや、海外にも呼ばれて行ったりして、傍から見てても、幅が広がってるなぁ、刺激受けてるなぁっていうのを感じたし、それは福山くんもそうだし、一緒に働いているスタッフの意識も変わってきて、店自体のスキルがどんどんどんどん上がるのが目に見えてわかる感じでしたね」
と弓削さん。そこには福山さんの人柄が大きいといいます。

そんな福山さん、新しいお店をオープンする構想があるそうです。
どんなコンセプトの店なのでしょうか?

「今とたぶん料理とか少し異なると思うんですね。アジアベストレストラン50で4年連続1位のレストランがバンコクにあるんですが、そこのオーナーシェフ・ガガンと一緒に、福岡でやっていく予定なんです。彼はインド人。バンコクでインド料理をモダンにした料理を作ってるんですが、その彼のインド料理と自分の料理をMIXさせてオープンします。福岡の人、日本の人、世界の人に愛されるような、美味しいだけじゃなくていろんな経験、来てよかったなと思えるようなお店を作れればなと思います」

食べることも、楽しむことも、人と交わることも大好きな福山さんは、プライベートを充実させるために仕事もしっかりやる! たくさんの遊び心の中から発想が生まれてくるのでしょうね。

「いろんなとこに行けば行くほど福岡の飲食業のレベルの高さが本当に分かります。海外のシェフも福岡に来たら食べ物も美味しいし、そのために来たいっていう人もいるぐらいです。よりいろんな人に知られて行くことで、福岡の飲食業界とか街のレベルが上がっていく感じがしますよね。スペインのサンセバスチャンのような食の街になるといいですね。ローカルの料理もあり、高級店もある。より洗練されていけばいいなーって思います」

そう語る福山さんにこれから料理人を目指す人たちにエールをいただきました。

「大変なことは幾つになっても人生に付き纏う。だからこそ大変なことも楽しんで一つずつやっていけば何かが見えてくると思いながら、コツコツ毎日頑張ってもらえたらなと思います。女性からモテる?(笑) 人と人とのコミュニケーションができる、すごくいい仕事です」

田中アナからの「生まれ変わってもシェフですか?」という問いにも満面の笑顔で「yes」と答えた福山さん、新しい店も今から楽しみです。

RKBラジオ「弓削聞平スマイルディッシュ」番組公式Twitter @rkbyuge
2020年4月放送
#Goh #西中洲 #福山剛 #アジアベストレストラン50 #弓削聞平 #田中みずき

ライタープロフィール:本田淑子
フードディレクター
食の企画あれこれ。魚食を盛り上げる「サカナグミ」や子ども達と一緒に料理を楽しむ
「放課後ゴハン倶楽部」なども主催。 https://www.plantecook.com

RKBラジオ「スマイルディッシュ」は2021年3月で終了いたしました

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