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大地のねじ

熊本市にあるGTスパイラルは、平らな鋼材にねじりを加えることによって大小さまざまなねじを造る。その用途の中心は「基礎杭」。

太陽光発電や河川の大型ブロック、公園の大型遊具など大規模な工事から、看板、電柱、ビーチパラソルまでさまざまだ。
材質は、鉄鋼、アルミニウム、チタンなど。スパイラル杭は45度のらせんに土壌が入り込み固定する。押し込むだけなので、コンクリートを使う必要もなく、廃土も出さない。工期も短くてすむ。軟弱な地盤にも対応できる。有明海の干潟に観測塔を設置したこともある。騒音がないため夜間の工事もできる。

引き抜く工事も、従来の工事に比べて簡単。環境を壊すこともなくリサイクルも可能だ。開発したのは、後藤常和さん(77)。「GTスパイラル」は、後藤さんの名に由来している。

もともと鉄工所を経営していた後藤さん、ねじりの研究を重ね国際特許も取得した。商品が世に出るにつれ、更にいいものをと開発に没頭した結果、一度は倒産の憂き目にもあったが、2経済産業省の「元気なものづくり中小企業300社」に選ばれたり「ものづくり日本大賞」で大賞を獲得したり、経済誌に取り上げられたりして、ものづくりの確かさが少しずつ認められてきた。
取材先
会社:GTスパイラル
担当者:後藤常和
住所:〒860-0823熊本市中央区世安町138
電話:096-288-0781
HP:http://www.gt-spiral.com/

取材後記

最初、鉄板が両側からねじられてスパイラル杭ができていく様子を見たときは 感動しました。
開発した後藤常和会長は、中学生の頃からものづくりが好きで、ねじの開発一筋の人。
今後も死ぬまでねじの可能性を追求するそうです。
スパイラル杭の開発に協力した、熊本大学名誉教授の藤田昌大さんは、
当初、そんなことできるだろうかと、半信半疑だったそうです。
しかし、執念でスパイラル杭が出来上がったときは、心底驚いたそうです。
その成功を「知識があるだけでは到底行き着けない領域」と表現されていました。
開発に導いたのは、ものづくりに対する、後藤さんの職人の勘と情熱。
私たち番組制作者も、こうありたいと思いました。

担当:RKK熊本放送 井上佳子

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