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“はまぐり碁石”で活路を開け!

宮崎県日向市の伝統工芸品、ハマグリの貝殻から作られる「はまぐり碁石」。
陶器やガラスなど様々な素材の碁石の中でも、黒石は三重県熊野の「那智黒石」、白石は日向市の「はまぐり碁石」が最高級品とされている。

創業102年の黒木碁石店は、数少ない「はまぐり碁石」生産者の1つ。老舗を切り盛りするのは、5代目の黒木宏二社長(42)。囲碁人口の減少で、国内の碁石需要が縮小する中、目を向けたのは海外の囲碁文化。中でも中国の囲碁人口は4000万人~5000万人とも言われている。

中国、韓国、台湾を中心に海外販路を拡充。販売相手の7割は海外だという。一方で、転売や模造品の流通などの問題も出てきたという。こうした状況を打開するため、黒木社長が取り組んだのは、はまぐり碁石のブランド力強化。
中国、台湾では、信頼できる業者と特約店契約を結び、価格などを均一化。

また、黒木碁石店の製品であると識別できるよう、ブラックライトを当てると特殊な印字が浮かび上がる“ナンバリング碁石”を開発した。他にも、碁石の普及のため、新商品の開発にも積極的に取り組んでいる。
日向の宝、“はまぐり碁石”の活路を開く、黒木社長の挑戦を追う。
■取材先
会社名:ミツイシ株式会社 (黒木碁石店の運営会社)
担当者:黒木宏二さん
住所:宮崎県日向市平岩8491番地
電話:0982-54-3800
HP:
※ミツイシ株式会社HPhttps://www.mitsuishi.co.jp/ ※黒木碁石店 HPhttp://www.kurokigoishi.co.jp/ その他:はまぐり碁石の価格は、号数(碁石の厚さ)やランク(雪印・花印)によって値段が細かく設定されています。詳細は黒木碁石店のHPでご確認ください。実用品はブルーラベルという商品名で販売されています。同社は、ドライブイン「はまぐり碁石の里」内にあります。製作工程の見学コースや囲碁ミュージアム、ハマグリ料理や宮崎名物が味わえるレストラン、お土産品コーナーもあります。料理はどれも美味しいですが「はまぐりリゾット」は特にオススメです。

取材後記

宮崎県日向市で開かれる全国的なイベントと言えば・・・
・サーフィン大会⇒地域の大会から世界選手権まで数多く開催
・日向ひょっとこ夏まつり⇒全国各地から「ひょっとこ踊り」の踊り手が参加
そしてもう一つが、「はまぐり碁石まつり」!(※個人の感想です)
県内外、時には海外からも囲碁愛好家が集まり、碁石の最高峰「はまぐり碁石」で碁を打ちます。

宮崎県民や囲碁の愛好家にはよく知られた「はまぐり碁石」ですが、その歴史や製作過程はあまり目にすることが無く、どれほどの価値があるかを伝えればと思い番組を制作しました。
取材を通じて、そのお値段にも驚かされましたが、職人のこだわりや、碁石を取り巻く環境の移り変わりなど、改めて知ることが出来ました。今回、台湾での商談に同行させていただきましたが、
台湾や中国では、大切な宝物のことを「宝貝(パオペイ)」というそうです。「はまぐり碁石」は、まさに「宝貝」。黒木碁石店の5代目・黒木社長が守っているのは、この言葉通り、大切な宝物です。

番組では紹介しきれませんでしたが、5月14日を「ごいし(514)の日」として記念日協会に登録したり、経営するドライブインでハマグリのメニューを開発するなど、ハマグリと碁石の普及にも取り組んでいます。ちなみに、「活路」とは囲碁の用語。石を生かすための道を見出すことで、ピンチをチャンスに変えることもできるんだそうです。「一目置く」「駄目」「白黒つける」も囲碁から生まれた言葉といわれています。意外と身近にある「囲碁」の世界。「はまぐり碁石」とともに世界中に広がってもらいたいと思います。
担当:MRT宮崎放送 高橋 晋作

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