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人気うどん酒場にこの鍋あり!香ばしい鴨のうまさを堪能あれ

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取材先は、福岡で“呑めるうどん屋の草分け”と言われる「杵むら」。先代店主の木村英俊さんが1998年に構え、現在は愛弟子だった中山雅弘さんが引き継ぐ人気店です。

場所は薬院六つ角近くにあるビルの2階。板張りの床に手書きのメニューと、客席はどこか昔懐かしい佇まいです。そんなアナログな温もりは、中山さんが調理にいそしむ厨房にも浮遊していました。

中山さんが店主となったのは2005年。先代が体調を崩し、一時店を離れていた中山さんに「店を継がないか。ダメならここを閉めるよ」と声がけしたのがきっかけでした。元々師匠のうどんに惚れ、別業界から飲食業を目指すことになった店。「杵むら」の灯を消したくない一心で、中山さんは“二代目”を襲名します。

「先代は職人気質だったので、修業は大変でしたよ(笑)。でも美味しい料理は丁寧で綺麗な仕事から生まれることを、身をもって教えてくれました」

そんな師匠の信条は、この「牛すじ煮込み」(600円)にも現れています。特製味噌が利いた出汁は深く優しく、思わず前のめりになる甘みが充満。少しずつ注ぎ足しながら仕込むことで、この味は生まれるそうです。すじより赤身が多く、実態は「牛肉煮込み」だったのも個人的には高得点。こんな上質な一品がサラッと出てくるのだから福岡のうどん酒場は侮れません。

他にも気になるアテをつつくうち、いつの間にやらほろ酔い気分。それを瞬時に吹き飛ばしたのが、「鴨鍋」の具材の迫力でした(1人前3,000円/写真は2人前)。「鴨が1人分多いのでは?」と勘ぐる僕に、「これがうちの普通です」と中山さんが一笑します。3~4名で来店し、料理を色々頼んだ後に鍋を2人前─という頼み方もアリですよ。

具材は水菜、京揚げ、皮目を焼いた鴨とネギ。ネギも鴨から出た脂で焼き、風味を移すのだそうです。聞いているだけで思わずノドがごくり!
また、ほんのり黒い出汁はうどんと同じものを使用。厳選した鰹節とうるめいわしに本返しを利かせた、これも先代から受け継ぐ“財産”です。

「どの具材も軽くしゃぶしゃぶする程度で大丈夫。鴨なら5秒くらいがお勧めです」と中山さん。その通りに試すと、いきなり口の中で「美味!」が炸裂。ギュッと弾む5mm厚の歯応え、鴨特有の野生味、皮目の香ばしい風味。原初的な“肉食”の歓びが目覚める、食べ応え満点のうまさでした。パンチが効いた出汁とも相性抜群。まさか蕎麦屋でなく、うどん屋でこのレベルの鴨鍋に逢えるとは……。

また鴨をブラックペッパーと合わせれば、「鴨の黒胡椒和え」とも呼ぶべき一品料理に早変わり。出汁をたっぷり吸った京揚げや、鴨の旨みをまとうネギの存在感も出色です。こんなふうに各具材がちゃんとアテになるのは良いなぁ。快く酒が呑める鴨鍋です。

そして最後のお楽しみ、中山さんが打ったうどんの登場です。「杵むら」のうどんは太さも歯応えも博多と讃岐の中間ほどで、通常のうどんメニューだと適度なモチモチ感やホッとする味わいが楽しめます。が、ひとたびコクのある鴨出汁を吸えばガラリと豹変。一口ごとにパワフルなうまさと陶酔が畳みかける、マニア垂涎の一杯になるのでした。これぞ鍋料理マジック!

じんわりした食後の温もりを楽しんでいると、ふと「なぜうどん屋で鴨鍋を?」と疑問が浮かびました。「すでに鴨南うどんを出していたこともありますが」とそれに答える中山さん。「3~4人で1つの料理を囲むのって、なんか温かくて良いですよね。『ウチでもそういう風景が見たいな』って、先代が考えたのが鴨鍋だったんです」

コストや仕込みの手間は決して少なくありません。でも先代が求めた風景を守るべく、今後も同じものを同じように出していくのだそう。「僕は今の仕事を苦労とは思いません。それよりお客様が一人でも美味しいと言ってくれたら、それで大満足ですね」(UMAGA編集部)

店舗情報

店名 うどん杵むら
住所 福岡市中央区薬院2-14-28 ADEKATZビル2F
電話番号 092-714-2323(鴨鍋は前日までに要予約)
営業時間 11:30~OS14:30/17:30~OS21:00
定休日 月曜、第3火曜
※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。
※撮影時にマスクやアクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。

【外部リンク】
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この記事を書いたひと

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