PageTopButton

新型コロナ感染拡大で加速するDX・注目は空中レジと無線給電

新型コロナウイルスは今もオミクロン株が猛威をふるっているが、2020年1月15日に日本で最初の感染者が見つかって2年余り。新型コロナは単なる感染症という以上に、リモートワークやオンライン市場を拡大し、社会や生活まで変えた面がある。元サンデー毎日編集長・潟永秀一郎さんがRKBラジオ『櫻井浩二インサイト』に出演し、これから注目される“変革”について解説した。  

デジタル変革の速さは「想定の数倍」

マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者は、2020年5月の決算発表で「(コロナ感染拡大後の)2か月で2年分に匹敵するDX(デジタルトランスフォーメーション)が起こった」と話しましたが、これを単純に2年間に置き換えると24年分、そこまでないにせよ、想定の数倍の速さで変革が起きたと、私も思います。

例えば、コロナがなければリモート勤務やオンライン授業は、ここまで進んだでしょうか。職種によってはほとんど出社しなくていいどころか、ヤフーは日本中どこに住んでもいいと制度を改めましたよね。

また、相次いだ緊急事態宣言や今も発令中のまん延防止等重点措置などで外出を控えた結果、日本の通販市場はコロナ発生の前後で2割以上伸びて10兆円を超え、アマゾンプライムやネットフリックスといった動画有料配信サービスの会員数も日本だけでのべ5,000万人近くまで増えましたし、ライブのオンライン配信が1年で数百億円規模に達しました。

半面、コンサートなどのイベント市場は1年で実に8割、5,000億円分が消えました。デパートの売上高も2020年の1年間だけで1兆5,000億円も減って、セブン&アイ・ホールディングスが「そごう・西武」の百貨店事業を売却する方向、というニュースも流れましたね。ご存じの通り、飲食業も厳しくて、大都市圏だけで4兆円あった売上は半分近くになり、昨年末にようやく対前年比でプラスに転じたと思ったら、また「まん延防止」です。

衛生感覚の変化が生み出した「空中レジ」

衛生感覚もこの2年で大きく変わって、マスクの着用はもとより、人が触れるありとあらゆるところが抗菌・抗ウイルス対策です。お札や小銭のやり取りも敬遠されてキャッシュレス市場が伸び、コロナ前後でその利用額は、およそ1兆1,000億円から4兆2,000億円と、実に4倍近く増えました。

その非接触決済がもっと進んだ、というニュースがきのう報じられました。セブンイレブンが、直接画面に触れなくても決済できる「空中レジ」を、世界で初めて、2月から東京都内6店舗に導入すると発表しましたよね。

ニュースでご覧になった方も多いと思いますが、レジの画面を空中に映し出して、買い物客がその画像をタッチパネルのように操作すれば、センサーが指の動きを読み取って決済できるという、もはやSF映画の世界です。支払いはもちろんキャッシュレスで、電子マネーやバーコード決済などで行います。

充電もワイヤレスが主流に!?

そしてもう一つ、これも最近報じられて話題になっていますが、電波を使って、離れたスマホなどを充電できる「無線給電」という仕組みが、実用化の段階に入っているそうです。

無線給電と言ってもピンと来ないかもしれませんが、すでにスマホの充電は、ケーブルをつながなくても、上に載せるだけで充電できる装置があります。その装置の上に載せることなく、電波で充電できる仕組みです。

スマホではまだ実用化されていませんが、ゲーム機では既にアメリカの企業がニンテンドースイッチのコントローラーを無線で充電できる機械を発売予定ですし、日本でもソフトバンクが携帯電話の基地局から充電用の電波を飛ばす技術開発に着手したそうです。

この電波はそんなに遠くまでは飛ばないそうですが、Wi-Fiの電波も似たようなものですから、屋内とか、外でも基地局の近くとか、電波の届く範囲なら無線で充電されるようになって、スマホだけでなく、携帯ゲーム機やイヤホンなど消費電力の少ない機材はやがて充電ケーブルがなくなり、スマホの契約も「電気代込み」なんてプランが出るかもしれません。

とはいえまだ、人体への影響など、調べるべき課題もあって、前述したゲームコントローラーの無線充電器も、現在日本では使えません。ただ、欧米で認可が進むなか、日本でも近く、屋内用に限って利用が認められる方向のようです。

思い起こせばつい20年ほど前まで、パソコンはLANケーブルでインターネットにつなぐものでしたが、今や無線LAN、Wi-Fiでつなぐのが当たり前になりました。同様に携帯の充電器も20年後には「ええっ、昔はコンセントにつないでたの?」と言われるようになるんでしょうか。その市場規模は1兆円とも言われ、この速さだとあと20年どころか10年で普及するかもしれません。

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう