[図解]諫早湾干拓…門は開く?開かない?裁判泥沼

[図解]諫早湾干拓…門は開く?開かない?裁判泥沼

海の幸に恵まれた宝の海「諫早湾」。この堤防の排水門を開けるか、開けないか。2つの選択肢をめぐる法廷闘争は複雑な経緯をたどり混迷を極めている。漁業者と営農者がそれぞれ国を訴え、それぞれの主張を認める相反する判決が出ている。そのため国は相反する義務を負い、板挟みとなっている。

そして25日、再び司法の判断が示された。それは、諫早湾の漁獲量が回復したとして「門を開けない」とするものだった。

一連の訴訟では、3つの確定判決が出ている。潮受け堤防の排水門について国に対し(1)「開門せよ」と命じる判決(2010年確定)(2)「開門義務は無い」とする判決(2019年確定)、(3)「開門してはならない」と命じる判決(2019年確定)だ。

25日、これら3つの確定判決のうち「開門せよ」と命じた判決を国が「無力化」するよう求めたやり直しの裁判で判決が言い渡された。

最終手段?判決の「無力化」とは…

この裁判は、諫早湾干拓事業による漁業被害を認めて排水門を開けるよう命じた2010年の確定判決について国が「無力化」を求めたものだ。

裁判で判決が確定すると、もちろん国であってもその判断に従う必要がある。しかし、この諫早湾干拓をめぐっては一筋縄ではいかない。一連の裁判で、国は「開ける」義務と、「開けない」義務の両方を負っているからだ。

すでに確定している判決にどう向き合うか。板挟みとなった国がとった手段は、“裏技”とも言える方法だ。判決後に事情が変わったとして「判決を強制しないで欲しい」と申し立てた(請求異議訴訟)のが2014年のことだった。

争点は諫早湾周辺の「漁獲量」「事情の変化」

「無力化」を認めるかどうか。福岡高裁は4年前、漁業者側の共同漁協権の消滅を理由に「開門を請求する権利も失われた」として、国の訴えを認めた。ところがこの判断は、最高裁で覆る。最高裁は「漁業権の消滅を理由とした判決は誤り」として、裁判のやり直しを命じた。

こうした複雑ないきさつを経た「やり直し」裁判の争点となったのは、諫早湾周辺の「漁獲量」と「事情の変化」だった。国側は、漁獲量について「堤防閉め切り前を上回った」と主張。漁業者側は、「増加したのは一部の魚種だけ」と反論していた。

再び「無力化」判断…司法の流れにも影響か

25日の判決では、双方が意見を出し合った漁獲量もさることながら、それを含めた「事情の変化」に重きが置かれた。

福岡高裁は、確定判決時と比較して「漁業権に対する影響は軽減する方向となる一方、潮受け堤防の閉め切りの公共性等は増大する方向となった」と述べ、開門を命じた確定判決を「無力化」する判断を改めて示した。

漁業者側の受け止めは…

「裁判所の判決というのは一体何なのか。確定した判決というのは何なのか。それに従います。国の総理大臣がした約束は一体何だったのか。それを一方的に横車を押して無視する国の肩を持つ裁判所の判決というのは一体何なのか。私は改めて国民の皆さんに問いたい」(漁業者側の馬奈木昭雄弁護団長)

漁業者側は、再び上告することにしている。

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