福岡市内から車でドライブがてら食事を楽しむなら、西の糸島、東の福津あたりが定番ですが、ここ最近気になっているのが久山町。UMAGAでも紹介した「chicchi richi(キッキリッキー)」や「鯨家 いすず庵」などの個性的な店がオープンし、休日にわざわざ足を運びたいエリアとして注目を集めています。
そんな久山町で、今年の1月にオープンした新顔が「バーゼ・ラディーチェ・ヴェルデ」。34歳のオーナーシェフ・木曽敦士さんが開業したイタリアンレストランは、福岡市内から犬鳴峠へ抜ける街道近くにある一軒家です。
店舗は元々「みどりの根っこ」という喫茶店だったそうで、「前のオーナーが家庭の事情で店を閉めることになり、その思いも引き継いだ店にしたいと思いました」と、木曽さん。イタリア語の店名も、木曽(基礎)を意味する"BASE"に、"RADICE VERDE"(緑の根)を組み合わせたもので、久山の地にしっかり根を張りたいという思いが伝わってきます。
カウンターメインの手作り感にあふれた店内はほとんど手を加えることなく、椅子やテーブルなどの家具もほぼそのまま継承しています。提供するメニューはランチ4,400円、ディナー6,600円、11,000円のコースのみ。現在は木曽さん1人のワンオペ体制のため「料理をお待たせすると申し訳ないので」と、昼夜ともに完全予約制です。今回はこの4月から提供を始めたという、11,000円で9~10品のディナーコースをお願いしました。
「うちの料理は野菜が主役です」という木曽さんが久山町に店を出すきっかけになった理由の一つが、同じ町内でイタリア野菜を栽培する農園「里山サポリ」の存在です。コースの構成も季節の野菜を軸にしながら、4~5品の前菜にパスタ、メイン、ドルチェ、ハーブティーといった内容で組み立てられています。
この日最初に登場したのは、植木鉢に見たてた器からニョッキリと生えてきたような里山サポリ産のホワイト&グリーンアスパラ。小さなスコップ型のスプーンで、ベースになっている根セロリのムースを掘るようにしていただきます。
冷前菜のアワビと筍のコンソメジュレは、木曽さんの地元・新宮町の沖合いにある相島の漁師が採ったアワビに、桂川町の古野農場で朝掘りした筍の組み合わせ。煮こごりのように固まったジュレの中に、フレッシュな海の幸と山の幸が封印されていました。
料理に合わせる器とのコントラストも素晴らしく、こちらは宗像産タロ豚の豚足とビーツを合わせたムースの上にエディブルフラワーをあしらったもの。濃淡のある紫色で、美しいグラデーションを表現しています。
イタリア料理に欠かせないパスタにも、タロ豚の自家製パンチェッタと珍しいイタリア野菜のタルティーボが使われています。極太のスパゲッティに、タロ豚の豚骨からとったスープと極上のオリーブオイルを合わせた味つけが、素材の味をいっそう引き立てています。
メインの肉料理には柳川の豊作ファームで飼育された博多和牛を一頭買いした牛肉を熟成しながら、その都度状態の良い部位を提供しています。今回提供されたのはラッキーなことに、「博多和牛の中で最も美味しい部位の一つです」というタン中。炭火で表面をカリッとするほどに焼かれた中身は、シルクのように繊細な歯ごたえでした。
野菜、魚介、豚肉、牛肉など、すべての食材において信頼のおける生産者から直接仕入れ、「料理を通じて、その良さを伝えていきたい」という木曽さん。久山町をベースにしっかりと根を張りながら、その思いを実現しようとしています。
BASE RADICE VERDE(バーゼ・ラディーチェ・ヴェルデ)
福岡県糟屋郡久山町久原2009-4
080-7981-0831
ジャンル:イタリア料理
住所:福岡県糟屋郡久山町久原2009-4
電話番号:080-7981-0831
営業時間:11:30~13:30入店/18:00~20:00入店(要予約)
定休日:なし
席数:カウンター7席、テーブル5席
個室:なし
メニュー:おまかせコース4,400円(昼のみ)、6,600円、11,000円
URL:https://www.instagram.com/base.radice_verde/
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