「少し甘い、野菜のような味が…」トマトから作ったビール?! 原料は廃棄野菜を活用
食べられるのに廃棄されていた北九州産のトマトを、ビールの原料に。SDGsの一つの目標、食品ロスの削減につながる取り組みです。
黄金に輝くビールの味の裏には…
黄金に輝くこのビール。普通のビールとはひと味違ったある原料を使っています。
RKB浅上旺太郎「あー、おいしい…とってもすっきりとしたビールで後ろの方に、少し甘い野菜のような味がします。このビール、原料にトマトが使われています」
博多阪急で開かれている「アップサイクルフードマーケット」。食べられるのに捨てられている食材を活用し、売れる商品に生まれ変わらせる「アップサイクル」の取り組みを紹介するイベントです。「トマトビール」は1ビン(330ミリリットル)で880円。評判はどうでしょうか?
「飲んでみたい気がします。酸味が強いのか、甘みの方なのか…その辺が気になるところです」
北九州市の農園で育てたトマトで
原料のトマトを栽培しているのは、北九州市若松区の響灘菜園です。約8万5000平方メートルの温室があり、大手食品メーカーやコンビニなどに向けて年間3000トンのトマトを生産しています。一方で、栽培したトマトの3%にあたる約100トンは、規格外となって出荷できず、廃棄せざるをえませんでした。
響灘菜園 猪狩英之社長「「お尻の部分が黒くなってしまったトマトが、まれにでてくる。店頭に出せないので廃棄してしまうという形になってしまいます」
こうした規格外のトマトが、ビール1本あたりに1個程度使われています。
響灘菜園 猪狩英之社長「けっこうたくさん使ってくれそうだな、という感じで、ロス自体ちょっとずつ減っていくのかなと思っています」
「トマトらしさ」と「ビールらしさ」どちらを優先?
トマトを使ったビールの商品化を手がけたのは、2019年にシンガポールで設立されアップサイクルに取り組んでいるスタートアップ企業です。
クラストジャパン 平野宏幸取締役「一番苦労したのは、トマトらしさを生かすのか、ビールらしさを生かすのか。ここが多分一番難しいポイントだった」
どんな味に仕上げるのか、試行錯誤をすること約半年。廃棄されるトマトを生まれ変わらせた、北九州ならではのビールが完成しました。約100万円の開発予算のうち20%を、スタートアップ企業の誘致を進める地元・北九州市が支援事業の一環で助成。2023年3月に市が開いたイベントでお披露目されました。
地方自治体の「地力」に海外のアイデアを
クラストジャパン 平野宏幸取締役「地方自治体が自分たちのリソースをどうやって生かしていくのか。そこに海外からのアイデアを持ってくることが、非常に素晴らしいと感じています」
食品ロスを減らし地域のPRにもつながる「トマトビール」は、博多阪急のイベント会場で6月6日まで販売されます。
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