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慶太がお空に帰る前に「最後の写真を撮りたい」 母に抱っこされた14歳 400枚の思い出遺して

14歳の少年が4月、この世を去りました。チューブで栄養を摂取するなどの“医療的ケア”を長く続けていました。新型コロナの影響で院内での面会ができないなかで、何とか最後の家族写真を残そうと、様々な人たちが協力しました。

『抱っこして、写真を撮りたい』母の一言

 

石崎さんが、病院のスタッフを通じて撮影を依頼したのが、北九州市を拠点に活動するボランティア団体「muikku」です。障害がある人や家族の写真を撮影する団体で、スタッフはみんな障害がある子供がいます。設立からの3年間で、これまで44家族を要望にあわせて撮影してきました。代表の上原藍さんは、事前に石崎さんからお願いされた「ある一言」が印象的だった、と話します。

 

muikku 上原藍さん「『どんな写真が撮りたい?』と聞いたら、『抱っこして撮りたいです』とおっしゃられて。お母さんの思いがぎゅっとつまった、一文ですよね。叶えることができれば、少しはお母さんと慶ちゃんの気持ちに寄り添えるのかな、と」

体調の急激な悪化…「何とか早く撮影を」

撮影会は当初、慶太さんの誕生日の6月に予定されていました。しかし4月に入り、慶太さんの体調が急激に悪化します。当時は新型コロナの分類が5類に引き下げられる前で、患者の家族などが病棟に入ることが制限されていました。
撮影会を前倒ししようと奔走したのが、慶太さんとともに約10年間過ごしてきた病院のスタッフでした。

 

国立病院機構小倉医療センター 病棟保育士 柴田優子さん「もうすぐお空に帰って行く子供がいて、そういう時に(撮影を)受け入れてくれた先生だったり、スタッフだったりの決断が、スムーズにいったきっかけなのかなと思います。それだけみんなに愛されていた」

医療スタッフたちの尽力によって、主治医から撮影会の許可が下ります。

「抱っこした瞬間、片目だけ開いて私の方を見た」

当日は、撮影スタッフたちの声かけもあり、和やかな雰囲気で進んでいったといいます。

 

石崎さんは、久しぶりに慶太さんに触れることができました。長年、一緒に過ごしてきた病院のスタッフたちも、慶太さんを笑顔で囲みます。人工呼吸器を外して慶太さんを抱っこする願いも叶いました。

 

石崎綾さん「それまで目を閉じていたんですけど、抱っこした瞬間に片目だけ開いたんですよ。私の方を見てて、めっちゃうれしくて。なかなか目をもう開けてくれなかったから」

 

muikku 上原藍さん「『慶ちゃん、わかっているんだね』と周りのみんなが…。『やっぱりママが一番いいよね。抱っこされてよかったね』って、すごくあたたかい時間がその時に流れていて」

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