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検査しても異常が見つからない不調…自律神経の乱れの体質的な特徴と予防について

大賀薬局

以前から、やや不安な症状があり不調を感じていたため、思い切って病院に行って色々と検査をしてみたけれど、特に異常は見つからず、これといった原因がはっきりしなかった経験はないですか。

その際、病院では、今つらい症状があればしっかりと抑える薬を処方した上で、経過を観察しながら以後の治療法や対処法を判断していかれるケースが多いかと思われます。

また、中には「その症状はひょっとしたら自律神経の乱れからきているかもしれませんね」といった原因に関する可能性を伝えられて、その日の診断を終える場合もあるようです。

最近、店頭での様々な症状の相談においても、じっくりカウンセリングや体質判定を行って考察をしていくことで、この自律神経の乱れが原因では?と感じることがよくあります。

自律神経とは

とはいえ〝自律神経の乱れ″という言葉、なかなかイメージしずらいものですよね。
そもそも、この「自律神経」とは、どんな働きをしているものでしょうか。

体の中を走る神経には、大きく分けて、脳と脊髄にあって神経全体をコントロールしている「中枢神経」と、そこから枝分かれして体の各器官につながって情報伝達を行う「末梢神経」の2つがあります。

さらに「末梢神経」は、自分の意思でコントロールができる「体性神経」と、コントロール出来ない「自律神経」に分別され、この「自律神経」は、私たちの意識とは無関係に、全身の器官や機能の調節に、24時間絶え間なく働いてくれている神経になります。

自律神経のバランスが乱れる原因

自律神経は、活発に動いている時を中心に働く「交感神経」と、夜などリラックスしている時を中心に働く「副交感神経」で構成されています。

人の体は、この2つの自律神経がバランスよく働くことにより、生理機能が正常に保たれ、健康な状態が維持されています。

2つのバランスが乱れやすくなる原因には、主に、以下のようなことが考えられます。


◆『長期にわたるストレス、あるいは、過度なストレス
人間の体はもともと、ある程度の外部からのストレスに耐えられるようにできており、その調節を行っているのも自律神経の機能です。ただし、ストレスが強くかかったり、長く続いたりすると、そのバランスが乱れてしまうことがあります。

◆『寒暖差や気圧の変動が激しい時
1日のうちで寒暖差が大きくなる季節や、気圧の変動がめまぐるしい時期なども、自律神経が刺激され続け、交感神経が興奮して、ずっと優位な状態が続いてしまうことで、保たれていた神経のバランスが乱れやすくなります。

◆『常にエアコンの効いた快適な環境に長くいる時
また上記とは逆に、常に寒暖差の影響を受けないようにと、空調の効いた快適な所ばかりにいると、本来、体温調節を司っている自律神経の機能自体が、低下して整いにくくなります。
暑くて体を冷やすために汗をかいたりするのは、自律神経がきちんと働いている証拠です。

◆『生活習慣の乱れや睡眠不足
不規則な生活や、夜ふかし等による生活習慣の乱れが続くと、そのまま自律神経のバランスの乱れにつながってしまいます。それから、睡眠不足は、副交感神経の機能を低下させます。

◆『更年期や加齢によるホルモンの分泌量の減少
更年期や加齢がきっかけとなり、女性ホルモンが減少していくと、その分泌量に指令を送る脳の「視床下部」や「脳下垂体」が影響を受けます。自律神経もまた、同じ「視床下部」に指令部があるため、そのあおりをうけてバランスが乱れやすくなります。
また同様に、男性ホルモンの減少も、別の経路で自律神経の乱れに密接に関わっています。

あらわれてくる症状

このようなことがきっかけとなり、自律神経のバランスが乱れて起こる様々な症状に対し、病院では、内臓疾患や精神疾患がないことを前提に、〝自律神経失調症″という総称で診断が下されることがあります。

しかしながら、不調やつらい症状がどこにあらわれるのかは、人によってかなり違ってくることもあり、その明確な定義や判断基準、治療方針が確立されていないのが現状のようです。

自律神経の乱れが原因となりあらわれてくる症状は、身体的なものでは「だるさ」「動悸」「めまい」「頭痛」「息切れ」「吐き気」「多汗」「下痢や便秘」「冷えやのぼせ」など、精神的なものでは「不安感」「イライラ」「不眠」「集中力や意欲の低下」などと多岐にわたります。

複数の症状が一度に出ることもあれば、時間とともに症状が変化したりなど、様々な形で、心身の不調としてあらわれます。
 

目安となる体質的な特徴

また、自律神経のバランスが乱れやすい人には、その体質にいくつかの特徴があります。

・不調を感じるのは、午前中の方がやや強く、午後以降は軽くなる傾向がある
・寝起きが悪く、朝に弱いが、夜になるにつれてだんだん元気になる。
・すぐに乗り物酔いをしてしまうことがある。(乗り物酔いをしやすくなった)
・山に登ったり、飛行機や新幹線に乗ったりすると、急に耳が詰まって痛くなりやすい。
・暑がりも寒がりも、どちらの体質もある。
・いつも季節の変わり目あたりになると、体調を崩しやすい。

などなど...。上記の中で、自身の体質に思い当たる項目があれば、注意が必要です。

予防や対処の方法としては

現在、自律神経の状態を調べる方法としては、横になった時と立った時の血圧や脈の変化を参考にする「シェロング起立試験」や「心電図起立試験」、「寒冷昇圧試験」などがありますが、広く普及するまでには至っていません。

日頃から自律神経のバランスが乱れやすいかも?と感じている人は、先に述べてきたことからも分かるように、その予防や対策として、普段より出来るだけ規則正しい生活を心掛け、寒暖差には気をつけて、自分なりのストレスをためない方法を見つけておくことが、とても重要だと考えます。

それでも、もし不調が長引くようであれば、病院で神経系等のお薬を処方してもらう前に、心と体のバランスを整えながら、多様な症状に対して効果を発揮する「漢方薬」を活用してみるのもおすすめです。

詳しい薬局などでは、その時に応じた漢方薬や呼吸法、養生法も細かく教えてもらえます。


自律神経の乱れからくる症状は、人それぞれの体質やストレスの感じ方などによって、そのあらわれ方も様々です。

またそれは、ちょっとした環境の変化が原因となって、誰にでも起こり得る症状であることは確かなようです。

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この記事を書いたひと

大賀薬局

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福岡市博多区に本社を置き、ドラッグストア、調剤薬局などを展開する。創業、明治35年(西暦1902年) 。健康に関する様々なコラムを展開しています。