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「ペットの世話があるから入院できない」 飼い主もペットも老いた時~増える老老介護

高齢者が高齢者を介護する「老老介護」 それは人間だけの話ではありません。高齢者が高齢のペットを介護する人間とペットの「老老介護」を取材しました。

高齢の犬を預かる施設


佐賀県唐津市にある「老犬ホームぱーとなー」 

RKB奥田千里記者
「約20匹の犬が飼育されています。寝たきりで動くのが難しい犬やよろよろしながら歩く犬など高齢の犬が多いようです」

この施設では利用者から高齢の犬を預かり、24時間体制で介護や世話をしています。この施設を運営する中島達也さんは、飼っていた犬が高齢になり犬の老後について調べたことをきっかけに、この施設をオープンしました。

老犬ホームぱーとなー 中島達也代表
「ワンちゃんの介護が必要でお世話できなくて安楽死するとかそういう情報がネットで流れていて、当時はまだ東京と熊本くらいしか老犬ホームはありませんでしたが、老犬ホームがあるということ自体が自分の中では驚きでした。こういうところがもっとあれば安楽死が減らせるのかなと思って」
 

延びる犬の平均寿命


ペットフードの質の向上や医療の進歩などにより飼育されている犬の平均寿命は2020年度時点で14.1歳と、2009年度の13.1歳から延び続けています。
※アニコム損保『家庭どうぶつ白書2022』より

人間で言うと70歳から90歳にあたり、身体機能や認知機能の低下が出てくるため介護が必要になってきます。

週に1回面会に訪れる飼い主


17歳の愛犬コロくんを施設に預けている吉元洋子さん(78)は、夫の体調が悪くなりペットの世話をするのが難しくなりました。3か月前からコロくんを預けています。週に一度面会に訪れています。

吉元洋子さん
「自分たちが最後まで見るつもりだったけれど、それができないのが悔しい。少しでも具合が悪いとすぐ連絡うをくれて『病院連れていくから』といってくれて、ここなら安心して預けられます」

飼い主もペットも高齢となる「ペットの老老介護」は、いま、深刻な社会問題となっています。

老犬ホームぱーとなー 中島達也代表
「飼い主さんが病気になったり、飼い主さんが亡くなられたりというケースもあります。しゃがんだりすることができなくなった方もいるし、ペットのお世話をしているときに飼い主さんが転倒してけがをして入院されたケースもあります」

たくさんの高齢犬と関わってきた中島さんは、ペットに幸せな最期を送ってほしいと話します。

老犬ホームぱーとなー 中島達也代表
「飼い主さんのもとで老後生活を送って、一緒に生活をするのが一番の理想ですが、『なにかあった時にはちょっと助けてもらおう』くらいの感覚でこの施設を利用してもらえれば」
 

高齢の飼い主とペットをサポートする自治体も


「ペットの老老介護」の負担を軽くするための取り組みを行っている自治体もあります。福岡県古賀市は、ペットを飼う高齢者の急な死亡や入院に備えて、2021年から「ペットと暮らすシニアの備えサポート」という仕組みを導入しています。ケアマネージャーと市の環境課が連携して飼育状況を事前に把握し、緊急時のペットの預け先や引き取り先をあらかじめ決めておくというものです。

古賀市環境課 花田純一さん
「猫を飼っている一人暮らしの高齢の女性がいたんですけれども、その方は、自分が入院が必要な状況にもかかわらず、猫のお世話をする人がいないという理由で、入院を拒んでいました。ペットのことに関して少しでも不安や悩みがある方がいれば、環境課で話を聞かせていただくので連絡してほしい」

実際に、予め市と面談しておいたことで、愛犬をスムーズにペットホテルへ預けることができたケースもあったということです。少子高齢化が急速に進む一方でペットの寿命は、延び続けています。今後も増加が予想される「ペットの老老介護」 サービスや制度を活用しながら、最期までペットに寄り添うことが求められています。
 

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この記事を書いたひと

奥田千里

2000年生まれ。福岡県北九州市出身。