パンダ来園で“警備隊”が出動、盛況すぎて1日60人の迷子~福岡市動物園の70年の歴史を振り返る
福岡市動物園は22日、開園から70年の節目を迎えました。これまでに5600万人が訪れ市民の憩いの場となっている動物園。懐かしい映像とともにその歴史を振り返ります。
目次
「繁殖」に注力、チンパンジーは日本で初めて成功
開園70周年を迎えた22日、福岡市動物園では、人気者のカバのタローやマレーグマのサニーに野菜や果物がプレゼントされました。市民などからの寄付を受け1953年8月に開園した福岡市動物園。1960年8月には、ケニアからアミメキリン2頭が運ばれてきました。当時の映像では飼育員が金網をよじ登り、餌をあげています。開園当初から福岡市動物園が力を入れてきたのが動物の保護と繁殖です。1962年には日本で初めてチンパンジーの繁殖に成功。ただ、母親が2日で育児を放棄したため、飼育員による人工哺育で育てました。絶滅危惧種に指定されているツシマヤマネコの繁殖にも長年取り組んできました。70周年の記念事業として、園内には繁殖施設の中をライブで見られるモニターも設置されています。
ゾウの「はな子」ゾウの汽車が子供たちを楽しませた
1973年から40年以上にわたって来園者を楽しませてきたのがアジアゾウの「はな子」です。
来園者「ゾウがいた時から来ているのでよく見に来ていた」
2017年にはな子が死に、福岡市動物園からゾウはいなくなりました。動物園にはこんなものもありました。開園以来子供たちを乗せてきた「豆汽車」です。9年前に、正門の再整備工事に伴い運行を終了しました。開園当初はゾウの汽車でしたが、その後、新幹線や機関車へとデザインも変化しました。
パンダ来園で“警備隊”が出動、盛況すぎて1日60人の迷子
RKB本田奈也花「開園以来、最大の出来事といえるのが1980年のパンダの来園です。現在も記念碑が残っています」
1979年に福岡市は中国南部の広州市と友好都市となりました。その1年後、広州の動物園で飼育されていたジャイアントパンダ2頭が、2か月間、福岡市動物園に派遣されました。(雌のパオリン17歳と雄のシャンシャン25歳)
警備隊の呼びかけ「パンダ警備を成功させるもさせないも、我ら警備隊の双肩にかかっております」
一般公開の初日は、多くの警察官や警備員が動員され、入場制限をするほどの大盛況となりました。
来園者「寝ているところばかりで」「できればもっと近くで見たかったですね、距離がありすぎて」
パンダに夢中になりすぎて、1日で60人以上もの迷子が続出しました。期間中は87万人あまりが訪れ、この年の入園者数も約172万人と70年の歴史の中で最多記録となっています。パンダは1980年4月1日から5月31日まで一般公開され、6月2日に中国に戻りました。
8億円かけてペンギンエリアを改修、ゾウも新たに受け入れる
その後、福岡市動物園は動物の数が減ったことやレジャーの多様化などを理由に入園者の減少傾向が続きました。集客アップに向けて福岡市動物園は2006年度から20年かけて段階的なリニューアルを進めています。去年8億円をかけて改修オープンしたペンギンエリアは、ガラス張りになっていて様々な角度からペンギンを見られます。以前の約5倍の広さとなりペンギンの生息地に近い環境を再現しています。また、今年度中に完成予定のゾウ舎にはミャンマーからアジアゾウ4頭を受け入れる計画です。長く市民に愛されてきた動物園、試行錯誤しながら新たな歴史を刻んでいきます。
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