中国が台湾への軍事的な圧力を強める中、現役の国会議員が総理や大臣役を務め「台湾有事」の対応を検証するなど様々なシミュレーションが進められています。陸上自衛隊西部方面隊の元トップは、「台湾有事」が発生した場合、中国は実戦を避けながらサイバー攻撃などによって台湾に政治的な混乱を引き起こすと分析しています。
◆台湾周辺で軍事圧力を強める中国の動きに日本は?
先週、アメリカで開かれたバイデン大統領と岸田総理、韓国のユン大統領との首脳会談。「日米韓パートナーシップの新時代」を宣言し3か国の結束をアピールしました。
岸田総理「ここに我々3人は日米韓パートナーシップの新時代をひらいていく決意を示します」
3国の新時代を強調する背景にあるのは、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮と、台湾周辺で軍事圧力を強める中国の動きです。中国が台湾に侵攻するいわゆる「台湾有事」に備えて国内でも準備が進められています。
◆現役の国会議員が有事対応をシミュレーション
先月、東京都内で開かれた「台湾海峡危機政策シミュレーション」では、現役の国会議員が総理や大臣役を務め「台湾有事」の対応を検証しました。
総理役・小野寺五典元防衛相「我が国が攻撃を受けた場合、反撃能力を含めて武力行使せざるを得ない状況になる可能性もございます。特に防衛省に対してはその能力の行使についてどのような検討ができるか考えていただきたい。この事態になりますと、日米共同での対処ということになりますので、日米の首脳会談を求めたいと思います」
アナウンス「日米首脳会談が実施されます」
◆日本が“反撃能力”を行使することは考えられるのか?
“反撃能力”の行使に向けて、日米首脳会談を開催する場面もありました。台湾有事で、日本側が本当に“反撃能力”を行使することは考えられるのでしょうか。九州・沖縄を管轄する陸上自衛隊西部方面隊のトップを務めた本松敬史さんは、日中両国が直接戦火を交えることは基本的にはないと話します。
元陸上自衛隊西部方面総監・本松敬史さん「台湾有事は、台湾を巡る中台間の緊張がその推移いかんによって我が国に波及してくる。波及事態となって顕在化してくる。まさに台湾有事に巻き込まれるということ」
◆戦わずして“勝つ”?サイバー攻撃で台湾内に混乱を起こすシナリオ
中国側のシナリオのキーワードは「ハイブリッド」です。「ハイブリッド」は、複数の方式を組み合わせるという意味をもちます。防衛白書は「ハイブリッド戦」を「軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧にした、軍事面にとどまらない複雑な対応を強いる」と記しています。本松さんは「武力による統一がオプションとして残る」としつつ、現実的にはサイバー・電磁波攻撃などを中心とした「ハイブリッド戦」を仕掛けてくると指摘します。
元陸上自衛隊西部方面総監・本松敬史さん「中国は孫子の兵法の国であります。まさに戦わずして勝つ。勝てる戦のみを遂行すべきだと。これを中国は具現する。アプローチの仕方としては有事でも平時でもない、いわゆるグレーゾーンの事態によってハイブリッド戦を仕掛けてくる。台湾の国内で政治的な混乱や社会的な動揺を惹起させて、一国二制度にならして、降伏させる。まさに孫子の兵法を具現するような形で侵攻してくるのでないかと考えます」
そして、台湾有事が発生した場合には、地理的な理由から九州にも避難民や在留邦人の受け入れなどの対応も求められると話します。
「経済活動への懸念、サイバー、電磁波(攻撃)による社会経済活動の混乱、原発を含めた重要防護施設の保全、それを危うくさせる武装工作員の流入、台湾からの避難民対応、在留邦人の退避の中継基地としての受け入れ態勢、こういったものが北部九州に所在する福岡県や佐賀県には求められる可能性が出てくる」
台湾海峡を巡る緊張が高まる中、万が一の事態に備えた準備が進められています。
◆台湾周辺で軍事圧力を強める中国の動きに日本は?
先週、アメリカで開かれたバイデン大統領と岸田総理、韓国のユン大統領との首脳会談。「日米韓パートナーシップの新時代」を宣言し3か国の結束をアピールしました。
岸田総理「ここに我々3人は日米韓パートナーシップの新時代をひらいていく決意を示します」
3国の新時代を強調する背景にあるのは、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮と、台湾周辺で軍事圧力を強める中国の動きです。中国が台湾に侵攻するいわゆる「台湾有事」に備えて国内でも準備が進められています。
◆現役の国会議員が有事対応をシミュレーション
先月、東京都内で開かれた「台湾海峡危機政策シミュレーション」では、現役の国会議員が総理や大臣役を務め「台湾有事」の対応を検証しました。
総理役・小野寺五典元防衛相「我が国が攻撃を受けた場合、反撃能力を含めて武力行使せざるを得ない状況になる可能性もございます。特に防衛省に対してはその能力の行使についてどのような検討ができるか考えていただきたい。この事態になりますと、日米共同での対処ということになりますので、日米の首脳会談を求めたいと思います」
アナウンス「日米首脳会談が実施されます」
◆日本が“反撃能力”を行使することは考えられるのか?
“反撃能力”の行使に向けて、日米首脳会談を開催する場面もありました。台湾有事で、日本側が本当に“反撃能力”を行使することは考えられるのでしょうか。九州・沖縄を管轄する陸上自衛隊西部方面隊のトップを務めた本松敬史さんは、日中両国が直接戦火を交えることは基本的にはないと話します。
元陸上自衛隊西部方面総監・本松敬史さん「台湾有事は、台湾を巡る中台間の緊張がその推移いかんによって我が国に波及してくる。波及事態となって顕在化してくる。まさに台湾有事に巻き込まれるということ」
◆戦わずして“勝つ”?サイバー攻撃で台湾内に混乱を起こすシナリオ
中国側のシナリオのキーワードは「ハイブリッド」です。「ハイブリッド」は、複数の方式を組み合わせるという意味をもちます。防衛白書は「ハイブリッド戦」を「軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧にした、軍事面にとどまらない複雑な対応を強いる」と記しています。本松さんは「武力による統一がオプションとして残る」としつつ、現実的にはサイバー・電磁波攻撃などを中心とした「ハイブリッド戦」を仕掛けてくると指摘します。
元陸上自衛隊西部方面総監・本松敬史さん「中国は孫子の兵法の国であります。まさに戦わずして勝つ。勝てる戦のみを遂行すべきだと。これを中国は具現する。アプローチの仕方としては有事でも平時でもない、いわゆるグレーゾーンの事態によってハイブリッド戦を仕掛けてくる。台湾の国内で政治的な混乱や社会的な動揺を惹起させて、一国二制度にならして、降伏させる。まさに孫子の兵法を具現するような形で侵攻してくるのでないかと考えます」
そして、台湾有事が発生した場合には、地理的な理由から九州にも避難民や在留邦人の受け入れなどの対応も求められると話します。
「経済活動への懸念、サイバー、電磁波(攻撃)による社会経済活動の混乱、原発を含めた重要防護施設の保全、それを危うくさせる武装工作員の流入、台湾からの避難民対応、在留邦人の退避の中継基地としての受け入れ態勢、こういったものが北部九州に所在する福岡県や佐賀県には求められる可能性が出てくる」
台湾海峡を巡る緊張が高まる中、万が一の事態に備えた準備が進められています。
この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう
この記事を書いたひと
岩本大志
1991年生まれ 長崎県出身