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「赤いろうそくと人魚」  小川未明

北の海にひとり寂しく棲んでいた人魚は、長い間、人間の住む世界にあこがれていました。

子どもを授かった人魚は、生まれてくる子どもだけは、この世で一番優しいという人間が住む世界で育ってほしいと思い、赤ん坊を陸で産み落としたのでした。そして、赤ん坊は、ろうそく屋の優しい老夫婦に拾われ、美しい娘に成長しました。

ある日、娘が思い付きでろうそくに赤い絵の具で絵を描いてみると、ろうそくが沢山売れるようになりました。赤いろうそくをお宮に捧げ、その燃えさしを身につけていれば、漁に出て災難にあっても無事に戻って来られると評判になったのです。

しかし、優しかったおじいさんとおばあさんは、次第にお金に目がくらむようになり、南の国の商人の言葉に惑わされ、大金と引きかえに娘を商人に売ってしまう約束をしてしまうのでした。


9月30日、10月7日放送 担当:武田伊央

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