
虐待相談は年々増加し20万件超に…「里親」不足の解消が急務 「子どもの村」の取り組み~福岡市
事情があって家族と住めない子供たちが里親と暮らす「子どもの村」が福岡市西区にある。運営団体が先日、里親への理解を進めるための活動報告会を開催した。「子どもの村」を継続的に取材しているRKB毎日放送の神戸金史解説委員長が、RKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で伝えた。
目次
「虐待」児童相談所の相談対応は20万件超
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里親が預かる子供には様々な事情があって、その中には虐待もあります。虐待の現状を、藤本さんが参加者にこう説明しました。
藤本:児童虐待の統計を取り始めたのは1990年です。毎年少しずつ増えていって、1999年に1万件を突破しました。今大体どれぐらいの件数でしょうか。
参加者:2万人弱?
藤本:もっと多くて、20万件です。1日に500件以上。3分に1件のペースで、「虐待かもしれない」と行政に連絡が行って対応している、ということです。ただ、「虐待そのものが増えた」と捉えると、ちょっと間違えるかなと思っています。虐待に対する認知が上がって、「虐待かもしれない時に何をしたらいいか」が明確になったので、「今まで発見されなかった虐待が発見された」が正しい捉え方かな、と。
原因としては、子供の頃に虐待を受けていた親もいるかもしれないし、格差社会の中での生活の苦しさ、1人親で相談する相手もいないケースも多いんじゃないかな、と話しています。
特に福岡は転勤族も多くて、周りに知っている人、頼れる人がいないという面もあるので、「子どもの村」ではショートステイ事業もしています。建物5棟のうち2棟を使い、数日間から2週間程度、子供を預かります。その間に、心身の健康を取り戻してもらうという取り組みです。
利用する理由の半数近くは「育児疲れ」。追い込まれた時に「ちょっとでいいから時間が欲しい」と悩み苦しんだ時の逃げ道になっています。
30年間ずっと変わらぬ「定員」
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ところが、里親自体が日本ではすごく少ないのです。これには、文化の違いが横たわっているようです。
藤本:「やっぱり実の親御さんに戻すのは難しい」となった場合は、「社会的養護」という法の枠組みの中で、子供たちは育っていくことになります。一つは「里親家庭」、もう一つは「児童養護施設・乳児院」です。ここでしっかり子供たちを引き受けて育てる。この法の枠組みのことを社会的養護と言います。「社会が責任持って育てましょう」というのが法の理念です。
藤本:社会的養護下で生活している日本の子供は、大体4万2000人ぐらいます。実は、とても日本は少ないんです。1万人あたりの児童人口で比較すると、日本はとても少ない17人。多い国では100人ぐらい。カナダ、デンマーク、フランスなどがそうです。
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藤本:少なくて「日本はやっぱりいいよね」ということじゃなくて、理由があります。社会的養護の子供たちの数はこの30年間ほぼ変わらず、4~5万人の間でずっと推移しています。まさに「里親家庭の数」「児童養護施設・乳児院の定員の数」そのものです。30年間、ほぼ同じ数で推移しているということです。
一方で、児童虐待相談対応件数は増えています。明らかに定員を超えている。このギャップの部分は「実のご家庭でちょっと厳しいながら生活をしている可能性のあるお子さんがいる」と捉えた方がいいんじゃないかと思います。
施設を増やすだけでは足りないので、里親家庭がもっと増えていかないといけません。里親のニーズはまだあると思います。
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