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「スナックはロードムービーだ」本業は“社会福祉士”昼は“ママ”の二足のわらじ、人生を聞ける場所が欲しいと始めたスナックが好調

福岡市の歓楽街・中洲に昼間だけ営業するスナックがあります。ママの本業は社会福祉士。大学の研究室で働き、企業向けの研修もこなします。そんな昼スナックには、悩みを聞いてもらおうと全国から迷える客が訪れます。

漂うベテランの風格・フィッシュ明子さん

人通りもまばらな昼間の歓楽街・中洲。ビルの一角にその店はありました。午後2時から午後6時まで営業しているスナック「昼スナスナックひきだし中洲店」。カウンター越しに客と話すのがママのフィッシュ明子さんです。店を開けるのは月に3、4日程度ですがほとんど満席だそうです。

フィッシュさん「赤のハートあげちゃおう」

常連客は、フィッシュさんの「顔が見たくて」通うそうです。

ベテランママの風格が漂うフィッシュさんの本業は、社会福祉士。スナックを開けない日は、個人や企業向けに研修をしたり大学の研究室で働いたりしています。

フィッシュさん「私が情熱を注いでいるのは“パーパス”。人が何を心から愛し、生きるかを言語化する」
 

自宅待機でミツバチの世話をするうちに・・・

「ミツバチが出たり入ったりするのがすごいきれいで、見ていると時間を忘れます」

自宅でニホンミツバチを飼育するフィッシュさん。仕事のつながりで始めた養蜂ですが、今では、家族と同じくらい大事な存在だと話します。

フィッシュさん「はちみつを買いたいって言ってくださる方がいるんですけど、とても売れないですよねお金では。お金ではやりとりしたくないと思うんです。愛でやりとりしたいと思うのでスナックに来てくださった方にふるまっている」

様々な活動をするフィッシュさんですが3年前、コロナ禍で仕事が激減し、目標を失いました。

フィッシュさん「頑張ることしか生き方を知らなかったのに頑張れなくなった。自分の努力ではないところで止まるというのは初めてですよね」

自宅待機を余儀なくされミツバチを世話する時間が増えたフィッシュさん。その時、人の目を気にしながら生きるのではなく、「自分をさらけ出すこと」が大切だと気づいたといいます。

フィッシュさん「ミツバチは一生懸命生きているんですよね当たり前なんですけど何も良く見せようとか、いい格好しようとかそういうことなくただ生きているみんなで生きている。人の役に立つためだけに生きるのは嫌だなって思った時に、ひとりひとりの人生を聞ける場所が欲しいなと思ってスナックを始めた」

スナックを昼間に間借りして営業

フィッシュさんの夫「生活の態度も楽になりましたね。いつも心配でこれがどうしたらいいこれしたら、どうすればといつも未来を考えている。今は態度がいい、感動した」

“役に立たなくてもいい場所”としてコロナ禍のおととし1月にスナックをオープン。現在の店舗は3軒目で、43年間続くスナックを昼間に間借りして営業しています。

店のオーナー「気軽にやってきてほっと一息ついて隣の人とお客さんと話して何か人生のヒントをいただけるみたいな本当にオーナーとしてはありがたいと思います」

スナックの売上げの一部は、ホームレスの支援団体に寄付をしたり、吃音の若者たちの交流会の費用に充てたりするなど福祉のイベントに活用しています。オープンしてから3年足らずですが、口コミやSNSなどで評判になり客が全国から集まります。

女性客「千葉から参りました。念願だったんでうれしいです」「すごく魅力的な人なんですよ目が離せない。自由だなってそれがすごい自然な感じですごく楽しそうにやっているのがうらやましい」

こちらの女性客はフィッシュさんに仕事の悩みを相談するため店を訪れました。

フィッシュさん「いらないって言われるんじゃないかとか」
女性客「泣きそうごめんなさい」
フィッシュさん「足りないって言われるんじゃないかとか、それが怖くて隠すし相手の期待に合わせようとして頑張ってきたんだと思うんだよね」

フィッシュさんの昼スナックは、飾らないありのままの自分が出せる場所となっています。

フィッシュさん「スナックはロードムービーだと言ってくれた方がいます。本当にひとりひとりの私たちの人生って売れる映画と売れない映画とかいうんですけど、みんなすばらしい違う人生を生きているなと思ってそれを聞かせていただけるのは本当にありがたいですよね」

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この記事を書いたひと

植高貴寛

1984年生まれ 福岡県出身。福岡県警とRKB調査班担当。野球とゴルフと調査報道をこよなく愛している。プライベートでは娘の言いなり。

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