先月、県内の大学の新入生向けイベントで司会を担当した。終盤、新入生へのメッセージを私から伝えることになった。
「2年前まで学生だった私ですが、社会人になった今も、学生時代の友人に支えられています。勉強、部活、行事に熱心に取り組み、その過程で出会う人たちを大切にしてください。一生の友人に出会えると思います」。何とも偉そうだと恥ずかしくなってしまったが、それは紛れもなく本心だった。
在学中にコロナ禍となり、2年間大学に通うことができなかった。オンライン授業のため朝から晩までパソコンと向き合う日々。そんな生活が半年ほど続いた頃、私と同様、地方出身の同級生が孤独を感じていることが分かった。コロナ下の外出・外食制限が解除されてからは、その4人で食卓を囲んだ。授業が終わった者から集まって食事を作り、全員で食べる。おひたし、アヒージョ、ハンバーグとレパートリーも増え、心にも栄養が届いている感覚があった。友人がいなければあの期間を乗り越えられなかっただろう。
5月の連休も明け、日常が戻ってきた。憂鬱になることもあるだろう。そんな時は友人を思い出して踏ん張ってみる。あの辛い時期を共に乗り越えただけに、また力が湧いてきそうだ。
5月17日(土)毎日新聞掲載
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