地下鉄七隈線・渡辺通駅の目の前にある「たべごろ百旬館」(以下、百旬館)は、プロの料理人や食にこだわりのある人が集う食材店。店内には質の良い鮮魚・精肉・青果、ジャンルごとの専門食材がズラリと並びます。UMAGAではそんな「百旬館」プレゼンツの特別企画を連載。「百旬館」のこだわりの食材やそれを愛用する名店を探訪し、“美味しさの秘密”に迫ります。
プロ御用達の博多の食材市場
連載第2回目のテーマは、この季節に食べたくなる「ジビエ」。精肉兼西洋食材マーケティングディレクターの遠藤桂輔さんを直撃したところ、「僕がお世話になっているイタリアンシェフのお店へ行きましょう」という嬉しい返答が。早速案内してもらいました。
あのベテランシェフの店が博多駅前に!
着いた先は、昨年4月、高宮から博多駅前に移転オープンした「イタ飯処 美味小家」。昼は3種類の「生パスタ」や「自家製欧風ビーフカレー」(各1,000円)といったランチセット、夜は多彩なイタリア料理とワインをカジュアルに楽しめる一軒です。
高架工事による立ち退きが移転の理由でしたが、客席は以前の倍以上となり広々と開放的に。カウンター、テーブルに加え、個室も2部屋用意されています。そして、店名でピンときた方もいらっしゃるかもしれません。厨房に立ち、腕を振るうのはこの道45年のベテラン・井形達哉シェフです。
井形シェフの最初の修業先は、故・岡本傅一シェフが営む「イタリア懐石 レストラン傅(天神店)」でした。岡本シェフといえば、福岡に洋食文化を広めた「ロイヤル」で腕を磨き、グループのセントラルキッチンで料理長を務めたレジェンドの一人です。井形シェフはその後独立し、1990年初頭に当時の天神・西鉄電車高架下(現在の福岡三越辺り)で「美味小家」を開業しました。そこから大名に移転して「トラットリア美味小家」を開き、百道には姉妹店の「美味小家Due(ドゥエ)」を展開するなど、福岡のイタ飯ブームを牽引。2006年以降は春吉で「イタリア処 井形家」、清川で「ハカタネーゼ・エノテカリツ」、高宮で「イタ飯処 美味小家」と、時代と共に変遷してきました。「この年になっても、こうやって料理を作れるのは本当にありがたいですね」と笑顔で話します。
特別な日にもぴったりのジビエ料理
「海老と小柱のアメリカンクリーム」をはじめとした生パスタはもちろんですが、肉料理も得意とする井形シェフ。今回は「百旬館」で最近取り扱いがはじまり、井形シェフもお気に入りという「広島県産ジビエ・栄肉」を使ったご馳走料理を作ってもらいました。「栄肉」は「東広島ジビエセンター」が直接捕獲し、処理を行ったジビエにだけ与えられるブランド名。止め刺しといわれる手法のみで鹿や猪を仕留め、最大限新鮮な状態で血抜きなどの処理・加工を行っているそうです。
「イタ飯処 美味小家」では、日替わりや季節のおすすめメニューとしてジビエ料理を出しているそうで、こちらは鹿ロースブロックで作る「鹿肉の赤ワイン煮込み」。鹿肉は肉の旨味を力強く感じさせながらも、特有のクセやくどさはありません。濃厚で滑らかなソースと合わせても重くならないので、個人的には牛頬肉よりも食べやすく感じました。柔らかくもパサつきはなく、しっとり感と程よい弾力を残した仕上がりはさすがの一言です。
「通常だと臭み消しにお肉を一晩マリネしたりするのですが、栄肉は特有の匂いやクセがないため、過度な下処理は必要ありません。まずは鹿肉に塩コショウをして薄く小麦粉をまぶし、表面を香ばしく焼き上げます。お肉を赤ワインでフランベしたら鍋に移し、そこにフォンドヴォー、赤ワイン、グラスドビアン(※)を注ぎます。1時間半ほど煮込んだら鹿肉を取り出し、煮汁を詰めてソースを作れば完成です。フォンドヴォーは一から作るとなると8時間以上かかりますが、今はアクシュワンという会社から冷凍状態のフォンドヴォーが販売されていて、これが重宝します。グラスドビアンは缶で販売されているので、こういったものを使うとご家庭でも簡単にプロの味が再現できると思います」と井形シェフ。
※グラスドビアン=フォンドヴォーを、途中何度も漉しながら更に煮詰めた濃縮肉汁
「『栄肉』は下処理が的確で鮮度がいいから、味わいもキレイ。サッと焼くだけでも十分美味しいんですよ。トリュフ塩とトリュフオイルをサッと回しかければ、さらにご馳走感が増します」。井形シェフがそう言って出してくれたのは猪ローススライスを使った「猪のロースト」。シンプルだからこそ肉の旨味と脂の甘味が際立ち、トリュフのリッチな香りでワインも進みます。
名店の味を自宅でも!
百旬館でこだわり食材をゲット
さぁ、井形シェフにご馳走ジビエ料理を教えてもらった後は「百旬館」の売り場へ突撃です。精肉コーナーには、今回いただいた「広島県産ジビエ・栄肉」が並んでいました。猪肉はロース、鹿肉はロースとモモがあり、真空冷凍状態で販売されています。ブロック(300g 1,980円~)、またはスライス(200g 1,250円~)と料理に合わせて選べ、使いやすいサイズ感もありがたいですね。
井形シェフに教えてもらったアクシュワン社の「フォンドヴォー」(1kg 1,890円)も冷凍コーナーにありましたよ! 「缶タイプは保存料なども入るため、本来の味が損なわれがちですがこれは違います。仔牛の骨付き肉をローストし、香味野菜と共にじっくり煮込み冷凍保存しているので、プロの味わいそのものなんです」と、精肉兼西洋食材マーケティングディレクターの遠藤さん。
アクシュワン社はホテルやレストラン御用達の食品メーカーだそうで、オマール海老の風味が豊かに広がるソースベース「アメリカンソース」(1kg 2,430円)も販売されていました。クリスマスや年末年始、買っておけばかなり活躍してくれそうですね。
西洋食材がますます充実!
「『百旬館』にはオイルや調味料をはじめ、たいていのものが揃っているし、売り場ごとに個性を出してわかりやすく陳列されているのもいいね。市場や業者が休みの日も『百旬館』は開いているから、買い忘れや急に予約人数が増えた時も助かっています」。井形シェフがそう話していたので、イタリア・西洋食材コーナーも覗いてみました。オリーブオイルだけでも約30種類あり、トリュフオイルやビネガー類もかなり充実しています。星付きレストランも愛用するマンチーニ社のパスタがズラリと揃っているのもありがた~い。これ、ホント美味しいんですよね。
ちなみに、今回お店を紹介してくれた遠藤さんは、今年8月に「百旬館」へ入社したスーパーホープ。福岡の有名精肉店に9年、高級西洋食材の卸会社に6年勤務し、多くのシェフと渡り合ってきました。最近の「百旬館」は前よりもさらに西洋食材が充実したなぁと感じていたのですが、遠藤さんのおかげだったんですね! シェフ御用達の「ARDOINO(アルドイノ)」のエクストラヴァージンオリーブオイルもありました。飲食店の方は「これがほしい」というものがあれば、遠藤さんに相談すると良いかもしれません。
ジャンル:食物販店、惣菜・弁当、生鮮
住所:福岡市中央区渡辺通1-11-16
電話番号:092-731-3014 (代表)
営業時間:8:00~21:00(対面販売コーナーは15:00頃まで)
定休日:なし
URL:https://www.instagram.com/tabegorohyakushunkan
ジャンル:イタリア料理
住所:福岡市博多区博多駅前3-14-22 1F
電話番号:092-404-3771
営業時間:11:30~OS13:30(平日のみ)/17:00~OS22:00
定休日:日曜
席数:カウンター6席、テーブル24席、テラス(喫煙席)約8席
個室:5~12名名
メニュー:平日限定・生パスタランチ1,000円~、豚足ソテーバルサミコソース770円、気まぐれ色々糸島野菜サラダ1,100円、生パスタ1,100円~、仔牛ロースのミラノ風カツレツ2,090円、コース3,850円、飲放題付きコース5,500円~(各2名~・当日予約可)
URL:https://www.instagram.com/itameshidokoro_umagoya
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