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松尾潔「上川外相は麻生氏の暴言に抗議すべき」ラジオ番組で痛烈批判

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自民党の麻生太郎副総裁が上川陽子外相について「そんなに美しい方とは言わない」「おばさん」などと発言したことが問題視されている。一方、上川外相当人は「どのような声もありがたく受け止めている」と受け流している。音楽プロデューサー・松尾潔さんは2月5日に出演したRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で「両者ともに罪深い」と痛烈に批判した。

麻生副総裁が上川外相の容姿について発言

自民党の麻生太郎副総裁が自身の選挙区でもある福岡県芦屋町での講演会で、上川陽子外務大臣について「おばさん」とか「そんなに美しい方とは言わない」と発言しました。もう1週間前のことなので既に語り尽くされた感もあるんですが、これについて改めて考えてみます。

この件に関しては僕も日刊ゲンダイのコラムやSNSに書いていて、さまざまな反応がありました。僕がびっくりしたのは、この件を大した問題だと思っていない人がたくさんいることです。

この話のポイントをどこに見出すか、というのは人それぞれですが、いわゆる政治通とされる人たちは「これは麻生さんが岸田首相に対して牽制していて、自分の息のかかった人を次の首相に、というキングメーカーとしての意向で上川さんの名前を出した。一度下げてから上げるという麻生さん流の注目のさせ方で。だから今回のことで上川さんの知名度も上がっているから、麻生さんの狙い通りだね」みたいに言っています。

しかも「多少失礼なことを言われても受け流すのが上川さんの大人たる所以で、やっぱり彼女はタフで素晴らしい」と、称揚するような意見もあって、僕は本当に呆れています。

社会が「言葉の暴力」に寛容だということが浮き彫りに

これ、麻生さんの発言を「麻生節」と矮小化するメディアにも辟易しますが、どこが一番の問題かというと、上川さんの発言です。いや、正しくは発言でなはく「発言しないこと」が本当に罪深いと思います。

多くの人が「本人が気にしないって言っているんだから、周りが騒ぎ立てるなよ」と言っています。そのうえで、騒ぎ立てている人たちを党派性で語ったりもする。つまり「自民党政権を良しと思っていない人たちが言っているだけだろう」みたいに。そういうふうに話を持っていくのは本当によろしくないですよ。

政争の話ではなく、これは文化的な問題だと認識するべきです。どういうことかというと、女性に対する暴言、あるいは男女関係なくルッキズムを政治の世界に持ち込むという実にレベルの低い話です。

さらに別の言い方をすれば、セクシャルハラスメントとか、女性に対する暴言やその先にある言葉による暴力、そういったものに対して社会があまりにも寛容であるということです。非常に問題ですよね。そこが今回浮き彫りになったんだと思います。

上川外相は抗議すべき

麻生さんは「俺たちから見ても、このおばさんやるね」ということも言っています。「俺たち」という、この複数形の主語は何なのでしょう。日本の男性は「自分たちが特権的な立場にある」と自覚している人たちが多くいますが、そのことを示した表現だと思います。

この「俺たち」ほかにもいろんな言い方ができます。「この国を仕切っている俺たち」「政治を仕切っている俺たち」「閣僚を経験している俺たち」…。彼らと俺たち、themとusに分けるような排他的な言い方、こういったところにこそ問題の芽があるということ、そして再度言いますが、政局とかのもっと手前の根源的な、文化的な問題だということに気づくべきです。

「麻生さんは謝罪・撤回している」と許容することも、上川さんの対応を大人の態度といって称揚するようなこともやめましょう。「ありがたく」受け止めるのは、この問題に向き合っているほかの女性に対しても罪深いですし、LGBTQ+という言葉がある時代において、男と女という二つだけの図式に矮小化してしまうのも大変罪深いものです。

奔放に言いたいことをいう偉い人、それを聞く人という、この二つの図式に分けるのも本当に醜悪かつ前時代的すぎます。いろんな人たちの努力の積み重ねをふいにするようなことはやめてほしいと思います。

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