胡椒が入ってないのになぜ”柚子胡椒”と言うの?WHY?Fukuoka People
福岡の「なぜ」をジョナサン・シガーが外国人目線で探る「ジョナサンのWhy Fukuoka People!?」
柚子胡椒の原材料は?
まずは、そもそも「柚子胡椒」を食べたことがあるのか?アンケートの結果、87%以上の方が、柚子胡椒を食べたことがあるとの回答。
しかし、柚子胡椒の主な原材料3つ「柚子」「唐辛子」「塩」を答えられた人は、419人中67人という結果に。
さらに、胡椒が入っていないのに、なぜ「柚子胡椒」と言われているのか?ということについて一番多かった答えは①「コショウのような辛さだったから」②「コショウの風味と似ていたから」など。
そして注目すべきは4番目の「唐辛子をコショウと思っていた」という意見。町のインタビュー中でも主に50代以上の方で、唐辛子のことを「コショウ」と呼ぶ方もいらっしゃるようでした。
柚子コショウの正体を探る!
農林水産省の 郷土料理のサイトを調べると、諸説あるが、添田町(そえだまち)の英彦山(ひこさん)周辺が、「柚子胡椒」発祥の一つとされていました。
早速、英彦山周辺で、柚子胡椒(ゆずこしょう)を製造販売している「柚乃香本舗(ゆずのかおりほんぽ)」へ。
英彦山は山伏の巡礼地。山伏の屋敷で柚子は漢方薬や観賞用として多く育てられていたのだそう。その柚子を使って「柚子ようかん」を作ったのが始まりだとか。
柚子胡椒の正体を聞いていく中で社長からポロリと出た「唐辛子=コショウ」と呼ぶ事実。これは真相に近づいてきたのか?
〇英彦山 柚乃香本舗(ゆずのかおりほんぽ)
福岡県田川市添田町落合1287-3
0947-85-0870
柚子胡椒にコショウが入っていないのは中国への配慮!?
そこでスタッフは、世界中のスパイスを取り扱う店でその真実を聞いてみることに。
ご主人の一木(いちき)さんは、世界中のスパイスを研究し、また、さまざまな場所でスパイスの講師もおこなっている方です。昔は「唐辛子」のことを「南蛮コショウ」と言っていたそうで、その後、明治時代になり肉食文化と共に相性のいい洋コショウが広がりました。
実は「唐辛子」を「コショウ」と呼ぶのは、「唐を枯らす」という縁起が悪いイメージを避け、中国との貿易を大切にしたかったためではないか?と一木さんは言います。
江戸時代、長崎で外国との貿易を管理していた幕府の役人が書き残したものがありました。その中には、「トウガラシハ 唐を枯し(とうをからし)といふ同音(どうおん)なれば、必ず、胡椒(こしょう)という」と書かれていたのです。よって、唐辛子という言葉を避けるためにあえて、「コショウ」とよんでいたのかもしれません。
〇スパイス専門店 スパイスフレバー
福岡市中央区舞鶴1-9-10
092-401-5455
さらに昭和30年代、全国の方言を調査したところなんと、「とうがらし」の呼び方は60種類もあったのです!
それを大きく分類すると、3つの地域に分けることができました。
北海道・東北エリアでは「ナンバン」、関東や西日本地域では「トーガラシ」、そして九州エリアでは、「コショウ」や「コシュー」などと呼ばれていた事実が分かりました。
調査結果!コショウが入っていないのに、なぜ柚子胡椒なのか?中国との貿易を円滑に行うための配慮として、「唐辛子」を「コショウ」と呼んでいたため、でした。
◎ジョナサン・シガー
RKB毎日放送「タダイマ!」では「ジョナサン・シガーのWhy Fukuoka people!?」のレギュラーリポーターとして、県外の人が福岡に来た時、不思議に感じる“福岡あるある”について調査する特集を担当。「ジョナサン・シガーのWhy Fukuoka people!?」は、情報ニュースバラエティ「タダイマ!」の人気特集である。
放送:2024年1月30日(RKB毎日放送 ごご3時40分 タダイマ!内)
おことわり:掲載内容は放送当時のものです
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