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年商20万円から1億円に プロ野球界では心配された「優しすぎる性格」が養豚業で開花した 元ソフトバンク鷹のドラ1が目指す日本一の豚

ピンチに陥った家業を立て直すため、ソフトバンク一筋15年の元ドラフト1位が故郷・三重で第2の人生をスタートさせた。右の長距離砲として活躍した江川智晃さん(37)が取り組むのは養豚事業。目指すのは逆境からの日本一、第2の人生で再び頂点を目指している。

仲間が困難を乗り越える力に 「江川さんのためなら」

直売所オープン


苦しい時期に江川さんを救ったのが、プロ野球選手としては優し過ぎると言われたまさに彼のその人柄だった。

最初の頃は中々豚肉を置いてくれる店が見つからず、飛び込みで営業に行っても何度も断られた。
しかし半年が経とうとしたころ、徐々に口コミで味の良さが広がり、販売してくれる店が増えていった。中には「一志SPポーク」を置くために冷蔵庫を増設してくれるところもあったという。

さらに、ひたむきに家業の立て直しに取り組む江川さんの背中を、仲間たちが押してくれる。直売所をオープンした時には、柳田悠岐選手や中村晃選手といったソフトバンクのスター選手から大きなお祝いの花が届いた。

江川智晃さん(37)
「開店祝いの花を見るために多くの人が店に集まってくれて、それがきっかけで味を気に入って常連になってくれた人がいたんです」

またほぼ同じタイミングで高校時代のチームメイトは、「自分たちのヒーローが地元に帰ってきてくれた。江川のために何かしたい」と自身が経営する居酒屋で「一志SPポーク」のトンカツをメニューに加えてくれた。

ペイペイドームグルメ 2023年撮影

そして、その翌年、球団を離れたにも関わらず、ソフトバンクの本拠地・PayPayドームから、『スタジアムグルメとコラボレーションしないか』と声がかかった。課題だった販路が拡大していき、ますます江川さんの豚肉のファンが増えていった。

新しい家族が支えになる「芽生えた両親への感謝」

妻・長男と江川さん


販路の開拓に駆け回る中で、プロ野球選手時代に交際していた真由子さんと偶然の再会を果たした。現役引退後の話や仕事の相談をしているうちに再び距離が縮まり、おととし3月に結婚。その年の10月には第1子となる男の子が生まれた。

江川智晃さん(37)
「家族を持って感じたことは感謝の気持ち。両親は今の自分と同じように子供を育てながら必死に家業を守ってくれました。どれほど大変だったのか、今なら分かる。」

日本一の豚と呼ばれる日まで「高い山をめざす」


去年、初めて直営のトンカツ店を伊勢市にオープンさせ、今年1月には2号店を松阪市に出した。従業員数は倍になり、精肉部門の今年度の売り上げは年間1億円に達する見込みだ。

江川さんは「スター選手の後輩にも、いいお店でご馳走できるぐらい頑張らないと」と照れながら笑う。

江川智晃さん(37)
「低い山を目指していても、その山は越えられない。高い山を目指し続けて、いつかは日本のテッペンをとる。『一志SPポーク』を誰もが知っているブランド豚にしたいんです。」

たくさんの仲間に恵まれた江川さんは、第2の人生でも日本一を目指し続ける。

RKB毎日放送 アナウンサー 宮脇憲一

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