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「労組がなくとも賃上げを」 深刻な人手不足で春闘活況 “働きがい”と“働きやすさ”の両輪で

2024年の春闘では、福岡県内の大手企業では過去最高水準、中小企業でも4%を超える賃上げ率となっています。こうした背景には物価高に加えて深刻な人手不足があります。


◆「30年間で過去最大の賃上げ」西鉄
西鉄 林田浩一社長「バス乗務員不足に向けた待遇改善を目配りしつつ設定したのが、今回の設定ということになる」

西鉄は2024年の春闘で、満額回答ではないものの、ベースアップと定期昇給分をあわせて、30年間で過去最大の月額1万2800円の賃上げをすると回答しました。また、今年入社するバスの運転手の初任給を1万円引き上げました。
背景にはあるのは深刻な人手不足です。運転手の平均年齢は50歳を超え、採用してもそれを上回る数の退職者が出ていて、グループ全体では約130人足りていないといいます。
さらに、4月から運転手の時間外労働の規制が強化される、いわゆる「2024年問題」にも対応しなければなりません。

西鉄・林田浩一社長「バスの(乗務員の)場合は中途(採用)がほとんどで、年代もさまざま。そういったことも考えると、やはり少し厚めの待遇にしとかないとなかなか集まらない」


◆中小企業でも賃上げ率は4%超
2024年の春闘では、福岡県の企業でも高水準の賃上げ回答が相次ぎました。九州電力やトヨタ自動車九州、TOTOなどが労働組合の申し出に満額回答。JR九州は、定期昇給を含め平均9.3%で月額平均2万4448円の賃上げとなっています。
連合福岡によりますと、中小企業でも3月25日時点で賃上げ率が4%を超えるなど、高水準の回答が続いています。

連合福岡 小林数善副事務局長「これから交渉を妥結していく流れにおいては、今の高水準を維持できるように期待したいですし、やはり労働組合がない企業、あらゆる労働者の企業においての賃金引き上げが実現することを期待している」

自動車部品メーカー、ユニプレス九州(福岡県みやこ町)の工場です。ほとんどを日産自動車九州などに納品していて、350人以上がこの工場で働いています。これまでの春闘では3回の労使交渉が行われていましたが、今回は2回の交渉で満額の回答を出しました。

ユニプレス九州 桃坂克己管理部長「昨今の物価高について、従業員の生活の質の維持向上を果たしていく役割を企業に求められるだろうと、“いい回答”は早く従業員に伝えてモチベーションにつなげていきたいと思い、回答しました」


◆トイレも快適 働きやすさも重視
一方、組合側は「人材を確保するためには何より賃上げが欠かせないと訴えます。

日産労連ユニプレス九州労働組合 木村誉豪執行委員長「(工場系は)今の若い人たちにとっては人気はないのかなと感じてしまう結果ですので、今回の結果を受けて魅力ある賃金になってくれば、また入ってくれる方が増えると思う」

従業員が働きやすい環境をつくるために、この会社が特に力を入れている場所があります。

RKB植高貴寛「大理石調の床、スタイリッシュな鏡。実はここ、工場の中にあるトイレなんです。」

ユニプレス九州 桃坂克己管理部長「ホテルでも通用するようなもしくはそれ以上の物を目指せということで」

2023年から進めているのが、トイレの改修工事です。毎日必ず使う場所を清潔に保つことが、働きやすさにつながると考えています。工場内は快適に過ごせるよう冷暖房を完備。さらに、2024年度からはもしもの場合に休暇が取得できる「ライフサポート休暇」制度も導入します。

ユニプレス九州 桃坂克己管理部長「よい状態の中で働いてもらい、最大限のパフォーマンスを出してもらう。今回の春闘についても、働きがいの面でいうと一部なのかなと。働きがいと働きやすさの両輪で企業を運営していきたいと思っている」

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