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ガザ攻撃「人を殺さないで…」福岡の中高生が呼びかけ300人が反戦デモ

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パレスチナ・ガザの最南部ラファで、イスラエル軍の攻撃が激化している。福岡市中心部で5月26日、反戦デモがあった。「デモや署名で戦争は止まらない」「自分の国でやれ」。SNS上ではそんな声もあるが、ではなぜ今、世界の若者に反戦の動きが広がっているのか。デモを取材したRKB毎日放送の神戸金史解説委員長は、28日に出演したRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で「気になったら一緒に少し歩いてみよう」と呼びかけた。

フリー、フリー、パレスチナ!

パレスチナ自治区・ガザ地区の状況がいよいよ緊迫してきています。ラファへの攻撃で、民間人45人が亡くなって、国際的な非難が集まっています。

5月26日、福岡市中心部の天神で、アラブ系のルーツを持つ人々や留学生、それに日本人も加わって、デモが行われました。主催者側発表で約300人、私も取材に行って「多いな」と思いました。「虐殺止めろ」「戦争止めろ」と即時停戦を訴えました。

福岡市中心部を歩くデモ

デモ隊の呼びかけ:天神のみなさん、こんにちは。今日私たちは、パレスチナに平和が一刻も早く訪れるように、この活動をしています。

デモ隊のコール:Free Free Palestine! Free Free Palestine! 止めろ、止めろ、戦争止めろ! 

このデモは、ガザ出身の両親を持つ中学3年生と高校2年生の姉弟が5月22日に福岡市役所で会見して呼びかけ、市民団体「福岡パレスチナの会」などが開催しました。

パレスチナの両親を持ち福岡で生まれた16歳

姉の高校2年、エルジャマル・アヤさん(16歳)は天神パルコ前でマイクを握り、ガザの窮状を街行く人に訴えました。

マイクを握るエルジャマル・アヤさん

エルジャマル・アヤさん:みなさん、こんにちは。私は、両親がパレスチナ人で福岡市に住んでいますエルジャマル・アヤです。今日はみんなで、パレスチナの戦争が終わってみんなが平和に暮らせるように、一緒に呼びかけを頑張っていきましょう。

エルジャマル・アヤさん:皆さんご存知の通り、今パレスチナの状況はとても大変です。食べるものも飲むものもない状態で、子供たちはいつも空腹に苦しんでいます。この状態を一刻も早く終わらせるためには、皆さんの協力が必要です。皆さん今日は一緒に頑張りましょう。お集まりいただき、本当にありがとうございます。

神戸:居ても立ってもいられないような気持ちなんじゃないかなと思うんですが。

エルジャマル・アヤさん:もう、本当にそうです。「平和になってほしい」という気持ちで活動しています。パレスチナで起きている状況を皆さんが知ってくれて、メディアが広めてくれたら、もっと声を上げてくれる人も増えて、平和になると思います。アメリカの大学の学生とか他のいろんな国の大学生とか若い人たちが集まってデモをしたりとか、抗議をしてくれたりとか、そういうことも増えているので。

パレスチナに住むアヤさんの父方の曾祖母は、今回の戦争で爆撃を受けて亡くなったそうです。祖父母や親戚もどこにいるか分からない状態で、生死が危ぶまれる状況になっているようです。

「博多区に福岡の全市民160万人が閉じ込められた」

福岡市の人口は160万人ですが、パレスチナのガザ地区は、福岡市とほぼ同じ程度の広さに220万人が暮らしていました。北部が最初に攻撃されましたが、避難先となった南部のラファは、博多区と同じくらいの面積です。そこに今、160万人が集まっています。「博多区に、福岡市民全員が閉じ込められた」という状況で空爆が始まった、と想像すると、恐ろしいことだと思います。

すでに3万人以上が殺害されていますが、その中には多くの子供や女性が含まれています。アヤさんたちの記者会見の様子を新聞で見て「初めてデモに参加した」という夫婦がいました。

多くの日本人も参加した

参加者の男性:この時代に、戦争というのは時代遅れじゃないか。世界の人たちがみんな力を合わせれば、と今日は参加しました。

神戸:こういうデモとか集会をやっても無駄だという人も多いんですけど、どうお考えですか。

男性:いやあ、無駄じゃないですよ。小さな一歩が、これだけの人を集めるから。はい、無駄じゃないです。

神戸:(参加者は)多いですね、今日…。

男性:多いです、はい。

女性:今日は本当にもう、「戦争をやめてほしい」っていう、それだけの気持ちです。人を、殺さないでほしい…

反戦訴える若い世代が世界で増えている

「デモや署名で戦争は止められない」と言う人はいます。「それはそうだろう」と私も思いますが、でもこう考えたらどうでしょうか。「イスラエルの行動が、全世界で“炎上”し始めている」と。

イスラエルに武器や商品を提供している企業へのボイコットも広がっています。中東にいなくてもできることですね。世界的な反戦運動をもたらしたベトナム戦争もありましたが、民衆行動の拡大が戦争のそれ以上の拡大を押しとどめるエネルギーになったことは、歴史上にいくらでもあります。ですから、「デモや署名で戦争を止められない」というのは、基本的に間違っているということです。

今回のデモも、スマホで撮影している人がいっぱいいました。この人たちが「こんなことやってるよ」とまたSNSに出していきます。よく知らない人が「何でデモ?」とか、「邪魔だ」と思ってSNSに出したとしても、それを目にした人たちは「福岡でも、こんなことをしているんだな」となります。こうやって“炎上”が拡散していくということもあるのではないでしょうか。

パルコ前での集会

ほかのデモではあまり見られない、若い人たちが多いという印象がありました。アヤさんが言ったように、イスラエルを支持する学生たちがアメリカでも座り込み、即時停戦を広めています。その動きは日本にも飛び火してきて、東京の大学でも始まっています。この天神の会場でも、パレスチナにルーツを持つ高校生と、日本人の高校生が、こんなやり取りをしていました。

神戸:(2人は)お友達?

日本人の女性:たった今、(友達に)なりました!

神戸:たった今? ははは。今日はこのために来られたんですか。

日本人の女性:はい、そうです。

神戸:今話して、友達になったの?

パレスチナルーツの女性:はい、インスタも交換しました!

SNSで見て集まってきたと言っていました。こういう広がりが始まっています。状況は少しずつ変わってきているのではないか、という印象を持ちました。

共鳴したら一緒に50メートル歩いてみよう

風になびくパレスチナの旗

「福岡でやるな、地元でやれ」「関係ない、僕らには」という言い方をする人もいますよね。でも「何とか止めたい」「止めるには何かするしかない」と考える人たちが、目の前で動き始めることを止める資格は誰にもないと思うんですね。自分の家族が殺害されようとしている時に、何かしたいと思うのは当然のことですし。

「殺されようが自分には関係ない人たちのことだから」とSNSで言ってしまう人は、ぜひその話を自分の子供にしてください。子供からおそらく、軽蔑されるでしょうね。そういう言葉をSNSで吐くこと自体が非常にまずいと思うのです。自分の子供に聞かせられないようなことは書かない方がいいんじゃないでしょうか。

みんながみんな、デモに参加することはできません。時間もないし、仕事もあるし。でも今回、飛び入りで参加した人がけっこう多い印象がありました。デモを見かけたのでここで入っておこう、と。主張を聞いて「なるほど」と思って、「では、自分にできることとして、今ここで50メートルを一緒に歩こう」。そうすることも大事なことなのではないか、と私はすごく思います。

自分で声を上げるのはなかなか難しいという方は、「自分の代わりに声を上げてくれているんだ」と思って見守ったらいいんじゃないかと思うんです。なかなか言い切れない。歩けない。であれば、沿道から手を挙げるでもいい。拍手するでもいい。見つめるだけでもいい。妨害をしないでいただけたら、と思うんです。

イスラエル「ボイコット運動」も

市民運動が歴史上、いろいろな効果をもたらしてきています。すぐに戦争を止めさせることはできなくても、非常に大事なことです。会場でチラシをもらいました。

「STOP! ラファ攻撃 始めよう、イスラエルボイコット運動」
主催:福岡パレスチナの会
連絡先:070-8795-6648(沖園リエ)

6月8日お昼12時に天神パルコ前に集合して、その後分散してイスラエルに関係しているとみられる企業に対する抗議行動を行うそうです。一緒に参加しなくても、話を聞いてSNSで拡散するだけでもいい。こういったことが、遠くで殺されている人たちがいることに対して、目の前で何かできることなんじゃないかな、と思います。

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この記事を書いたひと

神戸金史

報道局解説委員長

1967年、群馬県生まれ。毎日新聞に入社直後、雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。東京報道部時代に「やまゆり園」障害者殺傷事件を取材してラジオドキュメンタリー『SCRATCH 差別と平成』やテレビ『イントレランスの時代』を制作した。現在、報道局で解説委員長。