長く続いた異常な残暑をくぐり抜け、ようやく秋の訪れを感じるようになった。舌でも秋を満喫したいものだ。秋といえばサンマ。焼き魚で一番好きなのは脂の乗ったサンマだ。
長年、サンマにはうろこがないと思い込んでいた。ところが、はらわたのうまさを覚えると、内臓からうろこのようなものが出てくることに気が付いた。なぜサンマの内臓からうろこが出てくるのか。
サンマ漁は主に、魚群を見つけると集魚灯でサンマを寄せ付け、船体に近づいた群れを外側から一気にすくい上げる「棒受け網漁」という漁法で行われる。巨大な網いっぱいにサンマが獲れた様は壮観だ。
サンマのうろこはこの時、網の中の摩擦でほとんど取れてしまうのだそうだ。それほどサンマのうろこははがれやすいのだ。大量にはがれたうろこがサンマの口の中に入るのも無理もない。
ちなみに、サンマのうろこは透明だが、一部分は半透明の青色をしている。時々サンマの体にカビかビニール片のような青い異物が見られることがあるが、この正体も実はうろこ。安心して良い。
豊漁のニュースも届いている。かつてのように安い魚であってほしい。
10月5日(土)毎日新聞掲載
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