PageTopButton

「ラブソングの口で政治も語ろう」参院選投票を呼びかけるプロジェクト

radiko podcastで聴く

参議院選挙の投開票日は7月20日です。SNSが選挙結果に大きな影響を及ぼすようになり、今回も大きな変動が起きる可能性があります。「#わたしも投票します」とハッシュタグを付けて投票を呼びかけるSNS動画の取り組みを、RKB毎日放送の神戸金史解説委員長が7月8日放送のRKBラジオ『田畑竜介Grooooow Up』で紹介しました。

ハッシュタグ「#わたしも投票します」

RKB神戸金史解説委員長(以下、神戸): 参議院選挙が近づいていますが、ネット上である取り組みが始まっています。「VOICE PROJECT 投票はあなたの声」。YouTubeやInstagram、Xなどで、若者が投票を呼びかける動画がたくさん出ています。

神戸: たくさんの若者に混じって、知っている人が1人いました。この番組のリスナーだったら、声を聞いたらすぐに誰か分かるだろうと思います。ちょっとお聴きください。

音楽プロデューサーです。政治は、生まれた時から、社会の一員として生まれた以上ずっとついて回るものですし、どんなに無関心であっても無関係ではいられないって言い方ありますけど、であれば『うまい付き合い方』というのを考えてもいいんじゃないかなと思いますね。

そういう話題をするのがちょっとはばかられるみたいなのがあるけど、僕は政治のことを話すのがはばかられるというのは変なことだと思うし、自分が今一番好きなラブソングの名前を挙げるのと同じように、『あの人、いいと思うんだよね』と候補者の名前を挙げるとか。やわなラブソングを歌ったその口で政治のことも語ろうよ、と。その時は別モードとかっていうんじゃなくて、もう全部地続きのものだから。

#わたしも投票します

神戸: この声は、音楽プロデューサーの松尾潔さんですね。この番組『田畑竜介Grooooow Up』で月曜のコメンテーターを長く務めていました。

松尾潔さん #わたしも投票します

コムアイさん、菅田将暉さん、石橋静河さんも参加

神戸: 「VOICE PROJECT 投票はあなたの声」を企画した映像プロデューサー、菅原直太さんとZOOMがつながっています。おはようございます。

菅原直太さん: おはようございます。

菅原直太
映像プロデューサー。1965年東京都出身。YKK AP「窓と猫の物語」シリーズなど、多くのCMやミュージックビデオをプロデュース。また映画の企画・プロデュースも手がける。劇映画『クワイエットルームにようこそ』(監督:松尾スズキ)、『鈍獣』(脚本:宮藤官九郎)、ドキュメンタリー映画『パンドラ ザ・イエローモンキー』(監督:高橋栄樹)、『太陽の塔』(監督:関根光才)、WOWOWノンフィクションW『松尾スズキ 人生、まだ途中也』(ディレクター&プロデューサー)など。

神戸: このプロジェクトは「YOUTUBE WORKS AWARDS JAPAN 2022」でグランプリを受賞していると聞きました。どんな取り組みなのでしょうか?

菅原: 始めたのは2021年です。日本の投票率が50%くらいだとすると、逆説的に言うと残りの「投票に行かない50%」が選挙の結果を決めてしまっている側面があると思うんです。僕は神戸さんと同じくらいの世代なんですが、「僕らの後の若い世代の未来が、そんなことで決まってしまっていいのかな」という気持ちがありました。前から自分の周りの映像制作をしている人間の中で「もうちょっとどうにかならないのかな」と話をしたり、個々でアクションしたりしていたんですが、「もうちょっと効果的なものは何かないんだろうか」と、2021年に小栗旬さんや仲野太賀さんなど著名な方にご出演いただいて始めたのが最初です。

神戸: 菅原さんはCMや映画などを手がけてきた映像プロデューサーなので、芸能人の方々に直接のお知り合いが多かったのですか?

菅原: 今までお仕事した方にお声掛けして、その人たちが「誰々にも聞いてみる」みたいな声掛けの輪が広がっていった感じです。

著名人もたくさん賛同した「VOICE PROJECT」 #わたしも投票します

「投票はあなたの声2021」に参加した著名人:秋元才加、安藤玉恵、石橋静河、小栗旬、コムアイ、菅田将暉、Taka、滝藤賢一、仲野太賀、二階堂ふみ、橋本環奈、前野朋哉、ローラ、渡辺謙

菅原: 最初は、みんなに届けるには有名人を出した方が見てもらえるだろうと始めたんですけれども、元々の構想はそういう人たちと一般の人たちが混ざっている形にしたかったんです。やっと今、そういう形になったという感じです。

神戸: その著名人の1人が松尾潔さんだということですね。いつも番組に出ていただいていたので、うれしいなと思いました。

菅原: 快く参加していただけました。

「政治って、選挙を通して私たちが運営していくもの」

投票を呼びかける高校生たち #わたしも投票します

神戸: 今回は若者、中学生もいましたが、若い人たちがたくさん参加していました。どういう経緯で若者が参加したのでしょう?

菅原: 3年くらい前から「民主主義ユースフェスティバル」が開かれています。学生たちがメインでやっている「日本若者協議会」があり、北欧の「選挙小屋」みたいなものを日本にも広めたい、というのが趣旨で、最初は東京の下北沢、駒沢公園、それから神戸市や北海道でもやっています。

神戸: 九州ではまだですか?

菅原: この先、全国に広げていきたいようです。

菅原: 「民主主義ユースフェスティバル」に、VOICEプロジェクトのブースを出して、集まってきた若者たちに「ちょっと投票に関してお話聞かせてください」と声をかけて、出演していただきました。

神戸: その内の1人の声をまず聴いてみましょうか。

女子高校生:「日本では民主主義が導入されているんですけども、なんか最近権威主義に移行しつつあったり、民主主義の中にも様々な問題がはらんでることを学んで。今17歳。18歳から政治の参政権を得られるので、『しっかり政治について学んでいかないとだめだな』と思って。周りは『全然政治あんまりよく分かんないし、政治家で誰がいいのか分かんないし、んー、行かないかな』って言ってる子が多くて、それを聞いて逆に問題意識が何か強まって、同世代特に若者の政治参加が今、ちょっと滞っている、停滞しているので、ゆくゆくは周りにもアプローチできるようになっていきたいな。政治って実際に選挙を通して私たちが運営していくものなので、政治に対する思い込みというか…、意味を取り間違えているのかな、という気がしています。」

「VOICE PROJECT」 のブースで #わたしも投票します

神戸: しっかりしていますね。なかなかやるな、と思いました。こういう取り組みで若者に接触した印象はどうですか?

菅原: もう、本当に刺激になるというか。僕の感覚だと、40~50代の辺りが一番なんか興味なかったりとかするのかなと。自分の肌感覚なんですけど。

神戸: 大人の責任を果たしてないかもしれませんね。

菅原: 出演いただいた小泉今日子さんと話したんですが、「そういう今の社会にしてしまったのは私たちの世代の責任だよね」。

神戸: 政治が遠いものだという印象を、私たちメディアもしてしまったかもしれません。責任がありますね。

菅原: もっと気軽に政治の話をみんなができるような風にしてほしいと思うんですが、集まっている子たちのお話を聞くと、日本の未来にもちょっと光を感じます。

民主主義ユースフェスティバル #わたしも投票します


 

「もっと気楽に政治のことを話せたらいいな」

神戸: SNS動画が選挙の結果に影響する状況になってきています。どんな風に考えていますか?

菅原: 本当にこの数年でSNSの影響はすごく強くなっていると思います。アルゴリズムで自分が思っていることに近い情報が入ってきちゃったり、「人の意見」と「実際のデータ・事実」を受け取る側がはっきり選別できなくなってしまっている気がします。

神戸: 事実と論評の差を意識しなきゃいけない。

菅原: 事実なのかどうかというところまで含めて、自分で調べてからどこに投票するかを考えてほしいな、と思います。

神戸: もう1人、いいことを言ってる高校生がいたので、お聴きください。

男子高校生:「元々、ちっちゃい頃から新聞とか読むのは何か割と好きで、ラジオとかを聞いてるうちに、新聞とかラジオとかの媒体から、政治に関することをいろいろ読んだりとか聞いたりする中で関心を持つようになったっていう感じです。普段学校とかで結構普通に生活してる中で、あんまり政治に関する真面目な話をする機会は結構少ないなと思います。そういう話をしてると、周りから『思想が強い』みたいなことを言われたりすることもあって、政治の話がやっぱタブー視されてるなっていうのは結構感じるところもあったりして。なので、もっと気楽に政治のことを話せたりとかするようになったらいいなと思います。#わたしも投票します」

神戸: 参議院選挙が近づいてきました。

菅原: 期日前投票もあります。皆さんの1票は自分の生活につながると思うので、とにかくもう投票に行く人が1人でも多く増えてくれたらいいなと思っています。

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう

この記事を書いたひと

神戸金史

報道局解説委員長

1967年、群馬県生まれ。毎日新聞に入社直後、雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。東京報道部時代に「やまゆり園」障害者殺傷事件を取材してラジオドキュメンタリー『SCRATCH 差別と平成』やテレビ『イントレランスの時代』を制作した。現在、報道局で解説委員長。