立川生志 金サイト

金曜 6:30
高齢者ドライバーの免許更新に「実車試験」導入で事故は減らせる?

高齢者ドライバーの免許更新に「実車試験」導入で事故は減らせる?

5月13日から、75歳以上の方が運転免許を更新する際、過去に違反歴があれば、実際に車を運転する「実車試験」が義務付けられる。RKBラジオ『立川生志 金サイト』に出演した、元サンデー毎日編集長・潟永秀一郎さんが、この制度導入の背景や問題点を解説した。

 

高齢者の実車試験、4分の1は不合格になる!?

過去3年以内に、信号無視やスピード違反、踏切や横断歩道で止まらなかったなど、警察庁が指定した11種類の違反のうち、どれかひとつでもあれば、実車試験を受けなければなりません。統計的に、これら違反をした高齢者ドライバーは、死亡・重傷事故の発生率が通常のおよそ2倍になるからだそうです。

 

どんな試験かと言うと、▽指示された速度で走れるか▽一時停止と右・左折、信号の通過を各2回、あと▽段差に車で乗り上げる――という5種類です。タクシーの運転手さんなど2種免許なら80点、一般のドライバーは70点以上で合格ですが、信号無視や逆走をした場合は一発不合格です。

 

ちなみに、警察庁がおととし、関東で75歳以上の218人を対象に行った実証実験では、半数近くで一時停止違反があったほか、逆走を含む右側通行もおよそ15%。4分の1近い50人が不合格でした。

新車に買い替える余裕がある人は「サポカー限定免許」という選択肢も

もう一つ、今日から新たな運転免許制度も始まります。「安全運転サポート車等・限定条件付免許」、通称「サポカー限定免許」と言われるもので、自動ブレーキや、ペダルを踏み間違えても急発進しない――といった安全装置が付いた車に限って運転できる免許です。

 

ただし、車種には指定があって、今のところ125車種。安全装置があらかじめ付いているもので、後からペダル踏み間違い防止具などを付けた車は対象外です。「免許は返納したくない」とか、「交通の便が悪くて返納できない」といった高齢者で、運転に不安のある方には新たな選択肢ができたわけですが、対象となる車は新型ばかりなので、買い替えに結構おカネがかかるのがネックです。

高齢者の死亡・重傷事故が急増

こうした制度変更の背景は、お分かりですよね。高齢ドライバーによる事故の増加です。3年前に池袋で起きた、87歳の元・通産省幹部による暴走事故はまだ記憶に新しいですが、実際、年代別の死亡事故発生率を見ても、85歳以上が突出して高く、次は10代ですが、以下はまた70代以上です。ペダルの踏み間違いによる死亡・重傷事故は特に顕著で、2018年~2020年の3年間に、30代では40件足らずなのに、65歳以上の高齢者は600件近く起こしています。

 

このため、25年前から高齢者は免許更新時の講習が義務付けられ、2009年からは75歳以上に「認知症検査」が義務付けられました。さらに認知症検査は5年前から厳しくなって、医師から「運転に支障がある」と判断された場合は更新できなくなりました。

 

そこに加えて、今回の実車試験です。実際、高齢ドライバーの事故率は高く、重大事故も相次いでいますから、試験の導入はやむを得ないと、私も思います。実は、私の知人のお母さんも去年、83歳まで運転していて、信号無視はするわ、標識は見落とすわ、横に乗っていて恐怖だったそうですが、2年がかりの家族の説得で、ようやく免許を返納してくれたそうです。同じような思いの方も多いと思うので、「実技で落ちたら運転をあきらめてもらう」とか、次の更新で「新しいサポカー限定免許に切り替える」とか、この制度改正が話し合いのきっかけになるといいですね。

高齢者の免許更新は早めの予約を

講習が増えたことで困ったことも起きています。高齢者の免許更新待ちが、どんどん長くなっているんです。

 

今の高齢者講習と認知症検査だけでも、施設や対応職員が足りずに、待ち日数は全国平均で2か月半に達しています。「平均」ですから長いところでは5か月待ちとか、去年12月時点のデータですが、7つの県で100日を超え、九州では長崎がそうです。

 

そこに実技検査が加わるとなると、いったいどうなるのか。ただでさえ、今年から団塊の世代が75歳を迎えて認知症検査の対象者が増えるのに、警察官の定員には決まりがあるので、そう簡単に増やすわけにいかないし、そもそも試験場や教習所の数も限られています。このままでは、実技検査まで半年待ちとかなりかねず、受けられないうちに期限切れ、なんてことも起きかねません。

 

制度に現実が追い付いていない典型ですが、当面できる対策は「早く申し込む」ことしかありません。認知症検査も実技検査も、申し込みは更新期限の半年前からできますから、忘れずに、「その日が来たらすぐ申し込む」ことです。運転免許を持つ75歳以上の方は、すぐに免許証を見て、更新月の半年前の日付を書き留めて、どこか貼ってください。それでも忘れてしまったときには…残念ながらそれは「運転はもう、あきらめた方がいい」という知らせかもしれませんね。

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2022.09.30
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