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スポーツの醍醐味|アナウンサーコラム

Jリーグの舞台に本格的に“声援”が戻ってきた。声出し応援の復活だ。これまではコロナ対策のため、声出し応援の禁止や入場制限などが実施されてきたが、9月になり、入場規制の緩和と声出し応援エリアの設置が許されるようになっていた。ただ、地域によって感染状況なども異なるため、それらの導入はホームゲームを行うクラブに判断が委ねられてきた。

J3ギラヴァンツ北九州のホームスタジアムに“声”が戻ってきたのは今月2日。実況担当は23日だったので、待ち遠しい思いだった。太鼓と共に声援がピッチを揺らし、音が心地よく空に抜けていく。
ゴール前に迫った時に選手を後押しする声。点を取り、喜びを分かち合う声。点を奪われたため息に、静寂。感情のままにスタジアム全体の表情が変わり、その時にしかない特別な瞬間が生まれる。スポーツはこうでなければ、と感じながら言葉をマイクにのせた。

ギラヴァンツ北九州は、声出し応援が戻った今月のホーム3試合を2勝1敗。選手たちはいつも以上に躍動感を身にまとったプレーで応えた。久々のスタジアムの雰囲気に胸が躍った。声に想いがしっかり乗って、ファン、サポーターの心に響く。ホームは残り2試合だが、取り戻しつつあるこの醍醐味をぜひ味わってほしい。

10月29日(土)毎日新聞掲載



佐藤 巧 RKBアナウンサー。大分県別府市出身。

【担当番組】
ラジオ:エキサイトホークス タナカトタジリト おしゃべり本棚

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