福岡発信のグルメ記事は「This is FUKUOKA」といったラインナップが多くなる。それもそのはず、ラーメン・明太子・もつ鍋・水炊き・焼き鳥・うどん等が全国的に有名であり、日本屈指のグルメの街と言っても過言ではないからだろう。
ただ、この福岡の街に全国区でなじみのある“手ごねハンバーグ”を最初にネーミングした店主が営む洋食屋があるのはご存じだろうか?
今回は芸能人もその味に惚れ込み来店する、小さな小さな洋食店を紹介したい。
私はこの店の味が好きで、盛り付けや器へのこだわりも強く感じられることから、何度も通う店である。ソースも含めて何から何までシェフの手作り。昔ながらの洋食屋さんという雰囲気が心地よい。
大物ギタリストや有名シンガーがコンサート会場の楽屋までハンバーグがジュージューと鉄板に盛られた状態で配達依頼をするほど愛されている洋食屋さん。しかし、実際には配達をしていないので、ミュージシャンのスタッフが店まで取りに来て、食べ終わったら鉄板と食器を返却に来てくれているそうだ。
そんな店が、福岡市中央区港にある創業30年の『ドンキホー亭』なのだ。
ただ、この福岡の街に全国区でなじみのある“手ごねハンバーグ”を最初にネーミングした店主が営む洋食屋があるのはご存じだろうか?
今回は芸能人もその味に惚れ込み来店する、小さな小さな洋食店を紹介したい。
私はこの店の味が好きで、盛り付けや器へのこだわりも強く感じられることから、何度も通う店である。ソースも含めて何から何までシェフの手作り。昔ながらの洋食屋さんという雰囲気が心地よい。
大物ギタリストや有名シンガーがコンサート会場の楽屋までハンバーグがジュージューと鉄板に盛られた状態で配達依頼をするほど愛されている洋食屋さん。しかし、実際には配達をしていないので、ミュージシャンのスタッフが店まで取りに来て、食べ終わったら鉄板と食器を返却に来てくれているそうだ。
そんな店が、福岡市中央区港にある創業30年の『ドンキホー亭』なのだ。
手ごねハンバーグのネーミングについて
不動の1番人気という“手ごねハンバーグ”のネーミングについて詳しく聞くためにお店を訪問。出会うなり威勢の良い料理長が“ドヤ顔”で「オレが考えた“手ごねハンバーグ”をみんなが真似してんだよ!」って言われたらどうしようかとオドオドしながら行ったのだが、もの凄く人の良さそうなオーナーシェフの中島清隆さん(60)が対応してくれた。本当にひと安心(笑)。エピソードまでもが全て謙虚な印象の方だった。
『ドンキホー亭』創業当時の30年前の福岡の外食産業は、ファミレスの全国チェーン展開によって小さな洋食屋さんの元気がなくなりつつあり、中島さんもファミレスに何度も出向いて料理を食べ、「確かに安くて美味しいし接客も良いうえに座席数も多い。でも一度にたくさん提供できる料理の全てが手作りではない。」という印象で家路をたどったそうだ。
厨房でハンバーグをこねながらメニューに“手作り”が伝わるような言葉を付け加えようと考えている時“手ごねハンバーグ”という言葉をひらめき、早速メニュー表に採用した。
しかし、あくまで個人店のメニュー表なので手書きで作成しており、字が得意ではなかった中島さんの“手ごねハンバーグ”の文字を指さし「“きつねハンバーグ”ってなんですか?」というお客さんが続出してしまった(笑)。書いた本人も「確かに読めなくもないですけど、きつねハンバーグって違和感ありますよね」と戯けて見せた(笑)。
それでも、ふんわりとした独特の食感と自慢の味付けで人気が広まり、小さな洋食店としては活気のある経営が出来ていたそうだ。そんな最中、取引業者が店に来て「大手ファミレスがメニューに手ごねハンバーグって書いてたよ!シェフの考えたメニューが真似されてしまったやん!」と言われ、一瞬だけ複雑な気持ちになったそうだ。
それでも謙虚な中島さんは「大手ファミレスが広めたらそれは影響力が違いすぎるから、あとからなんやかんや言っても向こうが強いにきまっている」と思ったそうだ。でもどこかモヤモヤしていたので“元祖”という言葉を付け加えて今では“元祖手ごねハンバーグ”とメニュー表に記されている。
創業して10年ほどで妙な問い合わせが増えた
地元で愛される洋食屋の地位を確立した『ドンキホー亭』。
創業から10年ほど経った頃に電話が頻繁に鳴るようになったそうなのだが、その内容が洋食屋さんには全く縁の無い問い合わせだったそうだ。
“すみません、ナースのコスプレは取り扱っていますか?”
“今から買いに行こうと思うんですが、子供が欲しがっているゲームの在庫はありますか?”
といった間違い電話ともとれるモノが多く、なんのことか全く分からなかったというシェフの中島さん。お察しのとおり、響きが同じ屋号の超大手ディスカウントショップが福岡に初上陸したのだ(笑)。当時を振り返りながら、「そりゃ資本力が違いますからね。仕方ないです(笑)」と穏やかに話す中島シェフ。
時を同じくして、来店したお客さんが「チーズバーグディッシュはないんですか?お皿にご飯とハンバーグとサラダが一緒にのったチーズのハンバーグです。」といった質問も相次いだそうだ(笑)。お気づきだとは思うが“びっくりドンキー”の系列店だと思われていたそうで「これも資本力の差ですよ(笑)。よりによってハンバーグが名物の大手の似たような屋号の店が福岡にきたもんですから、そりゃ大手にはかないませんね」と笑顔で懐かしむ。
政治家がSP6人連れで来店する店
多くのプロ野球選手やアイドルが来てもシェフはほとんど気づくことはないらしいが、パートスタッフの方がすぐに気づくという。プライベートで来ていただく時に騒いではいけないという方針で、お客さまがざわつき過ぎるとやんわりと店員さんがおさめるそうだ。
基本的に予約を受けていないので、誰が来ても店が混んでいる場合は待っていただくシステム。ある日、順番待ちの体格のいい黒スーツ姿の男性に順番が回ってきて7名が入店。黒塗りの車から降りたった小柄にも見えたその男性は6人のSPをしたがえた元首相だったというが、それ以降たびたび福岡に来た際に来店するという。居合わせたお客さんとも笑顔で対応し、SPの人達の食欲が凄いという印象があるそうだ。
元祖手ごねハンバーグ(900円)も人気だがトリオザメンチ(1290円)も人気だ。
サクサクした食感と味の浸透率が素晴らしい絶品メニュー。ハンバーグの種類もシェフが把握していないほど多く、どんな常連であっても全て食べた人はいないそうだ。
中島シェフは言う。
「食べ物にはブームがあって、流行が終わる時もあれば世界情勢で手に入らなくなる食材もあるけど、理想は100歳まで料理を作り続け、仕事中に倒れて“今までありがとう”と言い残して生涯を全うしたい」そうだ。
決して繁華街ではないが、日本中に広まった“手ごねハンバーグ”発祥の小さな洋食店が福岡にあることを誇りに思う。
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