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THE BLUE HEARTS甲本ヒロトは「詞に関して天才」元雑誌編集長が大絶賛

ラジオ
RKBラジオ『立川生志金サイト』のコメンテーター、潟永秀一郎・元サンデー毎日編集長はかつて作詞家を志望していた。そこで毎月一回お送りしているのが「この歌詞がすごい」という解説コーナー。12月30日の放送では、THE BLUE HEARTSのヒット曲2曲を紹介し、「詞に関しては天才だと思うロックミュージシャン」と評した。  

“哲学を居酒屋で語るように歌にした”「情熱の薔薇」

THE BLUE HEARTSの「情熱の薔薇」。最近、某CMでよく耳にしますね。作詞・作曲は、甲本ヒロトさんです。この歌、とにかく深い、というか哲学的です。冒頭の歌詞からそうで、

永遠なのか 本当か

時の流れは続くのか

いつまで経っても変わらない

そんな物あるだろうか
――というのは、多くの科学者や哲学者、もっと言えば人類の根源的な問いです。それをまるで居酒屋で「なあ、お前」と語るように歌にできる――凄い才能です。

 

例えば、何が分からないと言って「宇宙」です。宇宙のはじまりは138億年前。超高温・超高密度の火の玉「ビッグバン」の急膨張によって誕生したとされています。誰も見た人はいませんが。

 

じゃあ、その前は何だったのか。最新の考え方として、巨大なエネルギーで満ちた真空=何もない状態=で、それが、物質が存在する状態に突然転移した。これがビッグバンで、その初期の膨張のすさまじさは、シャンパンの泡一粒が、一瞬で太陽系以上の大きさになるほど、だったそうです。

 

何を、歌と関係ない話をしているんだ――と思われるでしょうが、言いたいのはつまり、人類の英知を結集した研究と観測で、宇宙誕生のおおよその姿は見えてきましたが、では、この宇宙の姿は変わらないのか、終わりはあるのか、終わるとすればどんな終わり方なのかは、まだ分かっていません。「永遠なのか 本当か / 時の流れは続くのか」です。

 

歌詞を書いた甲本ヒロトさんはもちろん、そんなことを考えて書いたわけではないでしょうが、さらに続く歌詞――

見てきた物や聞いた事

いままで覚えた全部

でたらめだったら面白い

そんな気持ちわかるでしょう
――もそうです。

 

これはまさに哲学の世界で、「もの」は唯一絶対のものとして「存在する」のではなく、私が見たり感じたりして認識しているから「存在している」。つまりは私の「主観」だと。そして、その主観は私だけのものだから、私が存在しないなら世界は存在しないのと同じだ――という考え方があります。あるいは、絶対的な正しさや理性なんてものがこの世にあるのだろうか――という疑問も、まさに哲学です。

 

そして、そんな深くて根源的な問いを、次の歌詞――

答えはきっと奥の方

心のずっと奥の方

涙はそこからやってくる

心のずっと奥の方
――で、すべて掬い取ります。

 

つまり、自分の外の世界がどう変わろうと、どんなに不確かだろうと=それは評価とか、人の目とか、もしも愛や友情すらうつろうとしても=俺はいる。生きている。涙があふれるような時があったって、それが生きているってことじゃないか――と、聞く人の肩を抱くように、語り掛けてくれます。

情熱の真っ赤な薔薇を

胸に咲かせよう

花瓶に水をあげましょう

心のずっと奥の方
――という最後のサビも、温かいですよね。

 

誰も、何も信じられなくても、自分を信じよう。諦めることなんてない。涙を流せる心を大事にしよう――というメッセージ……じゃないか。と、まあ、私の勝手な解釈ですが、私にはそう聴こえる、大好きな歌です。

本当は解釈など要らない!? 「人にやさしく」

こちらはもっとストレートなメッセージソング「人にやさしく」です。

 

この歌はもう解釈など要らない、素直に歌詞の世界に浸ればいい歌ですね。ホントに元気をもらいますし、カラオケで誰か歌うと、必ず大合唱になりませんか?

 

それはきっと、2番の歌詞にある通り「人は誰でも くじけそうになるもの」で、多かれ少なかれ「僕だって今だって」だし、「叫ばなければ やりきれない思い」をみんなどこかに抱えているからなんでしょう。その「やりきれない思い」すら「大切に捨てないで」と言ってくれる。そのやさしさに、涙が出そうです。

 

さっき「解釈など要らない」と言いましたが、あえて解説するなら、最後の3番、

やさしさだけじゃ 人は愛せないから

ああ なぐさめてあげられない
――ですが、これは親が子に、だったり。あるいは親友だから、だったり。大切な人だからこそ、甘い慰めじゃなく、厳しいことを言わなきゃならないこともあります。続く歌詞にあるように「期待はずれの 言葉を言う時に / 心の中では ガンバレって言っている」んです。

 

だから「聞こえてほしい あなたにも / ガンバレ!」なんですね。

 

ということで、2023年が皆さんにとっていい年になりますように、願いを込めて、ご唱和を願います。「ガンバレ!」

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