PageTopButton

豚骨ラーメンだけじゃない!地元人も通う福岡のネオ屋台

山内亜紀子

今、福岡の屋台といえば豚骨ラーメン!ではないことをご存知ですか?福岡では、2016年から新規屋台の公募で選ばれた屋台が続々オープン!昨年2022年には、4回目の公募があり(公募期間は終了しています)、2023年の今年もまた個性的な屋台が仲間入りしそうです。そこで今回は、そんな新しい屋台の中から“ネオ屋台”といわれる新しいスタイルの屋台を3件紹介します。

福岡屋台の新規参入制度とは


福岡の屋台は、過去に汚水の処理や占拠などが問題になり、“原則一代限り”となっていて、将来的に福岡の屋台はなくなっていく予定でした。

ですが、やはり屋台を福岡の文化として残した方がよいのではと市民、ジャーナリストや有識者、屋台組合で協議が行われ、平成25年に“屋台営業に関するルールを守ることを前提”に、福岡市が新たに公募して新規参入を求めるプロジェクトがはじまりました。

地元人も通う!新しい屋台が話題


新規公募で新たに加わった屋台は、外観もジャンルも様々で店主の個性が楽しめる屋台も多いのが特徴。飲んだあとに〆に豚骨ラーメンを食べたり、旅行者が博多名物を楽しむ屋台はもちろんですが、豚骨ラーメンだけでない屋台も増えています。

屋台構えもオシャレだったり、博多では味わうことができない県外の味をあえて楽しめる屋台があったりと、選択肢が増えたことでこれまで屋台未経験だった地元人たちも屋台に足を運んでいるようです。

話題のネオ屋台3選

今回はその中から特に話題のコーヒー屋台、多国籍屋台、鹿児島屋台にスポットをあてて紹介します。

1. 珈琲と蒸溜酒 メガネコーヒー&スピリッツ/ 日本銀行福岡支店前

2021年度グッドデザイン賞に選ばれた木造折りたたみ式の珍しい屋台。小型ワゴン車に積み込めるようにつくられています。
コーヒー屋台??とびっくりする人も多い、福岡でひとつしかないコーヒー屋台です。コーヒー屋台がうまれたきっかけは、会社員だった店主が福岡市の屋台営業候補者公募のニュースを見て“これ面白そう”と思ってしまったから。

そんな店主の菅原さんが28年間の会社員生活に別れを告げて開店したしたのが「メガネコーヒー&スピリッツ」です。設営2時間、営業5時間、撤収3時間という本人にも理解不能な営業サイクルで「面白いこと」を日々追求しているとのこと。

今ではどんどんファンが増え、このコーヒー屋台を目当てにくる旅行者さんや著名人の方も。とはいえ、菅原さんのやわらかい雰囲気と1杯ずつ丁寧にドリップしてくれる珈琲を待つ時間も楽しむ、ゆったりとしたお客さん達がつくる空気がこの屋台のもうひとつの魅力かもしれません。
「コーヒーハイボール」800円
メガネコーヒーで使用しているブレンド豆をウイスキーに2週間漬け込んだ、オリジナルのコーヒーウイスキーをベースにしたハイボール。

コーヒー豆を漬ける時間や豆の量などを調整しながら試行錯誤の末、このコーヒーウイスキーの味を落ち着いたそう。

炭酸でわることによって更に飲みやすく、コーヒーの風味もなくさずに味わえるコーヒー好きにおすすめのお酒。同じくブレンド豆を焼酎に漬けたオリジナルの珈琲焼酎もおすすめ。
「メガネブレンド」&「ごちそうコーヒー」各600円
コーヒー豆専門店に特注している「メガネブレンド」は、グァテマラやブラジルなど5つの産地の豆を各オリジンごとに中煎りでローストし、ブレンドした珈琲。爽やかな香りで、飲みやすさに加えてしっかりした飲みごたえ、ほんのり黒糖っぽい甘い後口にこだわっています。

「ごちそうコーヒー」は屋台を片付ける時に車を運転するため、時々お客様からお酒を勧められても飲めない店主菅原さんにごちそうしたい!という時に注文するコーヒーです。店主にごちそうして、一緒にコーヒーを飲む時間もいいですよ。

【珈琲と蒸溜酒 メガネコーヒー&スピリッツ】
■住所:福岡市中央区天神4丁目2-1 日本銀行福岡支店前
■営業時間:19:00~24:00
■休:不定休
■席数:8席
 

2. 屋台 Telas&mico(テラスとミコー)/ 天神ロフト前

Telas&micoの看板などはなく、印象的な水色の屋台が目印!
さまざまな屋台が並ぶ天神の屋台エリアでも、ひときわ目立つ水色。この色は店主久保田さんがイギリスのシェアハウスで暮らしていた時のキッチンの色なんだとか。確かにあまり日本ではみかけない水色ですよね。

この屋台は、春吉に店舗をかまえるレストラン「テラスとミコー」の店主久保田さんが、2軒目を出したいなぁと思っていた時に、たまたま目に入った新規屋台公募を見て、面白そうだなと応募したのがきっかけで生まれた屋台です。(春吉にあるレストランが本店、屋台が姉妹店とのこと)

過去に行列ができる人気カフェを営業、その後ロンドンやパリのレストランで料理の腕を磨いた経歴がある店主の久保田さんが、海外で習得した料理を、食材が豊富な福岡で再現したいという思いで営む「テラスとミコー」。

料理はもちろん季節のフルーツを使ったシロップ漬け「コーディアル」を使ったドリンクや福岡の人気珈琲店「マヌコーヒー」の豆を使ったコーヒーなど、すべてにこだわりを感じる屋台です。
「季節のコーディアルスカッシュ(ノンアルコール)」600円
取材に伺った時のコーディアルは「ベリー・ベリーコーディアル(4種のベリーを使用)」と「福岡産いちご(あまおう)コーディアル」。

ノンアルコールのスカッシュと、アルコールありの「季節のコーディアルワイン 赤or白」(700円)があります。自然なベリーの甘みを炭酸で割ったスカッシュは飲みやすく見た目も味もオシャレ。
「鉄串三種セット」1,200円(1本400円~500円の鉄串のお得なセット)
単品串は「福岡産華味鳥のタンドリーチキン串」(500円)、「福岡産真鯛、ズッキーニ、ミニトマト串」(500円)、「九州産マッシュルーム串」(400円)。

単品で頼むよりも3本セットがお得な鉄串のセットで、九州産の野菜と食材にこだわったメニュー。スパイシーなチキンやシャキシャキの野菜などは、最初に頼む料理としておすすめです。
「スパイシー汁なしまぜ麺」900円
「テラスとミコー」オリジナルの期間限定メニュー。店舗で大人気のまぜ麺が期間限定で屋台にも登場しています。

店名の“ミコー”の由来でもある妹さんが台湾に住んでいた時、遊びに行った台湾の屋台で出ていたメニューを、せっかくなので博多の屋台でもと期間限定で提供しているそうです。心地よい辛さがクセになるおすすめの一品。

【Telas & mico(テラスとミコー)】
■住所:福岡市中央区渡辺通4-9 天神ロフト前
■営業時間:19:00~24:00
■電話:092-731-4917
■休:毎週月・日曜日
■席数:9席
 

3.博多でかごっま屋台 酔っきー(よっきー)/福岡銀行本店前

福岡銀行本店裏の屋台エリアにある鹿児島屋台「酔っきー」
鹿児島の屋台村出身である大将の山ノ内さんが、観光で屋台が根付いている唯一の街福岡で屋台を勉強したいと応募。いずれ鹿児島に屋台村を出すことが目標だそう。

最近は鹿児島からの旅行者が福岡にいくなら酔っきーへと紹介されてくる人も多く、酔っきーを経由して帰ったり次の旅行地に向かったりするそうです。
「明太子の天ぷら」770円
屋台開業当時にはまだなかったメニュー。鹿児島屋台とはいえ、博多屋台として博多の名物料理を出したいと考案。

明太玉子焼きはよくあるけど、天ぷらはまだ珍しいと出した「明太子の天ぷら」が大好評で、取材中も次々と注文が入る人気メニュー。

明太子を揚げることでカリっといた衣と香ばしく熱が通った明太子が思わず声が出る美味しさ。おすすめです!
「焼きラーメン」1,100円
こちらも開業当時にはなかったメニューで、同じく鹿児島と博多が融合できるメニューを増やしたいと考案した鹿児島の黒豚ホルモンと枕崎の出汁を使った焼きラーメン。

博多屋台の定番メニューとなっている焼きラーメンを鹿児島の食材を贅沢に使ってコラボさせています。ちょうどよい濃さの出汁とソース、プリプリの黒豚ホルモンが絶品で新しい焼きラーメンの味が楽しめる一品です。
酔っきーのレシートと領収書
また、「酔っきー」では会計の際にレシートや希望すれば領収書も用意しています。会計まで料金がわからないのでは?と不安に思う屋台初心者にも安心です。

店舗では当たり前のことですが、こういった取り組みも新しい屋台のスタイルかもしれませんね。

【博多でかごっま屋台 酔っきー(よっきー)】
■住所:福岡市中央区天神2-13-1 福岡銀行本店前
■営業時間:18:00~24:00
■電話:090-8919-0286
■休:不定休
■席数:15席
 

ネオ屋台と昔ながらの屋台をはしごするのも楽しい!

新しく開業した福岡の屋台はまだまだありますが、今回はその中から3件だけピックアップしてご紹介しました。

今回紹介できなかった新規参入屋台には、九州各地や世界各国の味が楽しめる屋台が続々とオープン!創作メニューも様々で、常に試行錯誤やアイディア料理を考えているところも。

ただ、昔ながらの屋台と共通しているのは、店主との距離が近く会話しながら料理とお酒が楽しめ、タイミングによっては同じ時間に同じ空間に居合わせたお客さん同士で仲良くなること。新旧どちらからでもお気に入りの屋台をみつけてくださいね。

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう

この記事を書いたひと

山内亜紀子

福岡の情報誌とWEBメディアにて編集・ライターを勤めた後、現在フリーの広報、ライターとして主に映画、グルメ、旅行、イベント等のコラムを執筆中。

nasse山内亜紀子