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"家康の洋時計"平和外交の歴史ひもとく絵本 小学校などに絵本寄贈

徳川家康公をお祀りした最初の神社「久能山東照宮(静岡市)」。
ここに所蔵されている名宝や貴重な品々を集めた特別展「徳川家康と歴代将軍~国宝・久能山東照宮の名宝~」が福岡市博物館で開かれています。

この特別展、家康ゆかりの品々が並んでいますが、戦国武将の品としてはなんともイメージしづらい一品が展示されています。


スペイン国王から家康公に贈られた洋時計

1609年、沖合でスペインの船が座礁・沈没し、乗組員317人を地元住民が救助しました。徳川家康は船を提供し、乗組員を目的地のメキシコに送り届けたといいます。

その2年後、スペイン国王フェリペ3世が家康にお礼として、この洋時計を贈りました。家康公が目指した平和外交を物語るエピソードです。

このエピソードを地元の女の子の目線で描いた絵本があります。
タイトルは「海のむこうからのおくりもの~おんじゅくものがたり~」。


洋時計にまつわる物語を描いた絵本

久能山東照宮はこのほど、福岡市博物館での特別展を機に、福岡市内の小学校などあわせて151校にこの絵本を寄贈しました。

9日に福岡市早良区の百道浜小で行われた贈呈式では、久能山東照宮の落合偉洲(ひでくに)宮司(74)が「地元の海女さんたちが海に跳びこんで、裸で温めて救ったという話が伝わっています。家康公の命を大切にする教えを知っていただきたい」とあいさつ。

代表して絵本を受け取った百道浜小6年の図書委員長、大熊彩未さん(12)は「福岡市の学校に本を贈っていただきましてありがとうございました。私も実際に特別展を見に行き、洋時計を見て興味を持ちました」とお礼を伝えました。


落合宮司(右)から絵本を受け取った大熊さん

続いて、糸島市教育委員会を訪問した落合宮司は、「洋時計の絵本」のほか、国宝に指定されている拝殿正面の彫刻の由来を説いた絵本「くのうざんものがたり~司馬温公の瓶割り~」を糸島市内の小学校や図書館など21の施設に寄贈しました。

贈呈式で落合宮司は、「この瓶割りの彫刻は、中国・北宋の政治家、司馬温公が幼少の頃、水瓶に落ちた友人を助けるために、父親が大切にする瓶を石で割って助けたエピソードを表現したものです」と説明し、2つの絵本に込められた「命を大切にして欲しいという家康公の思い」を多くの子どもたちに知ってもらう機会になればと期待を寄せていました。


糸島市教育委員会にも絵本を寄贈

徳川家康の愛用品を始め、全15代将軍の甲冑、慶喜の書画や陣笠などあわせて150点が展示されている特別展は、9月5日まで(月曜休館)開かれています。

特別展「徳川家康と歴代将軍 ~国宝・久能山東照宮の名宝~」

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