<リード>
6月はRKB70周年を記念した「カラフルマンス」として、SDGs=持続可能な開発目標への様々な取り組みを紹介しています。
今回は12番「つくる責任 つかう責任」です。
環境省によりますと、去年、国内で廃棄された衣類は78万7000トン。
捨てられる衣類の素材に着目して、「半永久的」に循環させる技術が、モノ作りのまち・北九州市で進んでいます。
<VTR>
記者リポート
「私が着ているパーカー。実は100%再生素材から作られています」
白のポロシャツに紺のトレーナー。
シンプルでおしゃれな洋服の素材は、100%ポリエステルです。
この洋服で使われているポリエステル、全て捨てられた衣類からつくられています。
インタビュー
「究極」と語る技術とは、どういうものなのか。
北九州市若松区にある日本環境設計の工場を訪ねました。
インタビュー
工場には、不要となった衣類が入った段ボール箱が山積みに。
1日あたり約150箱が、全国から北九州市の工場に送られてきます。
トレーナーやズボンなどの回収された衣類は、従業員がタグを見て素材ごとに分別。
綿や麻などの植物繊維は、車の座席や工業用のぞうきんなどへの再生に回され、ポリエステル100%の服が、「究極の技術」にかけられます。
インタビュー
4階建ての大きな工場で、ポリエステルの服はリサイクルされていきます。
まずは、タンクに服を投入。
溶液の中で服を煮詰めて液体にし、ポリエステル繊維を取り出します。
その後脱色し、原料となる透明なポリエステル樹脂が作られます。
この樹脂から作られる糸で、新たな服が生み出されるのです。
原料に戻すことで、何度でも繰り返しできるこの技術は、「ケミカルリサイクル」と呼ばれていて、ごみの削減につながると高く評価されています。
インタビュー
この「半永久的」に循環し続ける服の生産が始まったのは、12年前です。
開発当時は「黒」の服しか生産できませんでしたが、脱色の技術が向上して「白」のTシャツも作ることができるようになりました。
現在は、リサイクルされる前の服より肌触りが良く、速乾性や耐久性を高めた生地を生み出すことができます。
これらの糸や生地を使用した服は、「サスティナブルファッション」として注目されていて、イギリスやデンマークなど世界各国の有名デザイナーも素材として導入。
今月から、高島屋などの百貨店でも販売が始まり、機能性の高いトレンド服として評価されています。
注目を集める衣類のリサイクルですが、再生されている服は全体からみると、まだほんの一部です。
去年、日本国内で捨てられた服の量は、約78万7000トン。
そのうち日本環境設計の工場で再生されているのは、約5%にとどまるといいます。
インタビュー
サスティナブルな素材のファッションを楽しみながら、要らなくなった衣類はごみにせずリサイクルへ。
この意識の変化が、「大量生産」、「大量廃棄」で環境への負荷が大きいと指摘される、ファッション産業への見方を変えることにつながるのかもしれません。
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