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SDGs 「起立性調節障害」を知ってほしい~福岡の女子高校生が映画製作

ニュース

<リード>

6月はRKB70周年を記念した「カラフルマンス」として、SDGs=持続可能な開発目標への様々な取り組みを紹介しています。

今回は3番「すべての人に健康と福祉を」です。

"朝起きられない"という症状が特徴で、思春期に多く発症する病気の「起立性調節障害」。

自律神経機能の病気ですが、「怠け」、「サボり」と誤解されることも多いのが現状です。

この病気で苦しむ人たちに寄り添いたいと、福岡県内の高校に通う女子生徒が、自身の体験をもとに映画を製作しました。

<VTR>

福岡市中央区で行われた短編映画のロケ。

タイトルは「今日も明日も負け犬」。

演者も裏方も福岡県内の高校生です。

カメラを回しながら監督として現場を仕切るのは、福岡市内の高校に通う西山夏実さん、17歳です。

明るい笑顔で、ムードメーカーの西山さんですが、「朝、起きられない病気」と闘っています。

インタビュー

高校生主体で作り上げたのは、西山さん自身の病気「起立性調節障害」を題材にした、45分のドキュメンタリー映画です。

起立性調節障害とは、立ち上がった時に脳への血流不足が起こり、朝起きられないほか、立ちくらみやめまい、頭痛などさまざまな症状が出る病気です。

思春期に発症しやすい自律神経機能の異常です。

インタビュー

通常、立ち上がった時に一時的に血圧が低下した後、すぐに安定しますが、起立性調節障害の場合、起立直後の強い血圧低下と血圧が回復しにくい傾向がみられます。

西山さんの場合、朝、母親が起こしに来たことも記憶がなく、活動できるようになるのが午後になる日が続いています。

インタビュー

朝、起きられず、夜には血圧が高くなって眠れなくなる体の異常ですが、周囲から「怠け」と誤解されることも少なくありません。

そのストレスで、さらに症状が悪化することもあります。

インタビュー

学校が大好きで、中学校時代はソフトボール部に所属するなど活発だった西山さん。

症状が出たのは、中学1年生の冬でした。

インタビュー

一般的な治療法は、日常生活の過ごし方や食事を変えて、体調を整えることです。

朝は急に立ち上がらず、頭を下げたまま動き始めるほか、低血圧を防ぐために水分や塩分を多く摂ります。

回復するまでに数か月から数年と個人差があり、4年以上経った今も、西山さんの症状は改善していません。

インタビュー

永光医師によりますと、起立性調節障害の症状は小学生の約5パーセント、中学生の約10パーセントにみられるなど、実はそれほど珍しい病気ではないそうです。

「起立性調節障害で自主退学しました」、「この病気を知らなかった半年間、無理解から娘にひどい態度を取ってしまいました」

映画製作をきっかけに、SNSなどで病気を公表した西山さんの元には、当事者やその家族から毎日、数十件のメッセージが届きます。

インタビュー

この病気で苦しむ人が、周囲の無理解によって傷つかないでほしい。

広く病気について知ってもらおうと、西山さんは映画製作を決意。

クラウドファンディングで資金を集め、来月、福岡市内の映画館での上映にこぎつけました。

40回以上のロケを行い、1年かけて作り上げた映画。

朝のロケでは、めまいや吐き気で倒れ込んでしまうこともありました。

インタビュー

同じ病気の人とつながり、映画製作の仲間に囲まれて笑顔の絶えない西山さん。

前を向いて懸命に努力する姿が印象的ですが、映画のタイトルにある「負け犬」という言葉には、深い思いが込められています。

インタビュー

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