<リード>
6月はRKB70周年を記念した「カラフルマンス」として、SDGs=持続可能な開発目標への様々な取り組みを紹介しています。
今回は13番「気候変動に具体的な対策を」です。
取材したのはアクロス福岡にある「都会の森」です。
完成から26年。年々増え続けている緑は、周辺の環境にも良い効果をもたらしています。
<VTR>
春には桜が咲き、夏は濃い緑に。秋には赤く色づき、冬は雪化粧。
福岡市の都心部で、存在感を放つ森のような建物。
コンサートホールや店舗、オフィスなどからなる複合施設、「アクロス福岡」です。
壁全体が緑に覆われているのは一面だけで、反対側からみるとガラス張りのビル。
そして横からみると階段状になっていることから、この森は「ステップガーデン」と呼ばれていて、屋上まで登ることもできます。
記者リポート「現在、福岡市の気温は25度なんですが、この中に入ると一気に涼しく感じられます」
インタビュー
アクロス福岡ができたのは26年前の1995年。
当時のステップガーデンは、今とは全く見た目が異なります。
完成当時、76種類・37000本だった植物は、現在200種類・50000本にまで増えました。
緑が少ない都心部は、まわりに比べて気温が高くなる「ヒートアイランド現象」が問題となっています。
人工的に緑を加えることで、こうした環境問題を改善させると言われていますが、ステップガーデンにもその効果がみられます。
実際に気候調査を行った九州大学名誉教授鈴木義則さんです。
インタビュー
こちらは、完成当時のステップガーデンの表面温度を表したものです。
コンクリートの部分は高温を示す赤色になっているのに対して、植物がある部分は低温を示す青色になっています。
その温度差は約13度。
さらに、ステップガーデンは南側で日に当たるにもかかわらず、日陰の北側とほぼ同じ気温だったことも明らかになりました。
これは、植物が蒸散することで大量の熱を消費し、周辺の気温の上昇を抑えたためです。
鈴木さんは、2000年を最後に調査を終えましたが「植物が成長し続けることで、環境改善への効果は増している」と推測しています。
インタビュー
ステップガーデンは、自然に成長し続けているわけではありません。
月に6回ほど業者がメンテナンスに入り、伸びた木を切ったり新たな種類の木を植えたりしています。
「どこに何を植えるのか」、植樹の方法を指導するのが造園家の田瀬理夫さんです。
インタビュー
田瀬さんは、ステップガーデンの生みの親でもあります。
完成後26年にわたって、年に数回現地を訪れ、森を成長させ続けてきたのです。
インタビュー
日々の手入れにも、環境への配慮が・・・
インタビュー
さらに、土が吸いきれない分の雨水は、地下のタンクに集められ、施設内のトイレ用の水として再び利用されています。
人の手によって大切に育てられた都会の森。
その美しさで人々を癒やすとともに、都心部の温度の上昇も抑え続けています。
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